A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ベースのソロを味わうのはやはりデュオが一番・・・・

2012-01-25 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
As One / Richard Davis

サドメルの初代ベースはリチャードデイビス。最初のアルバムから参加していて、あの68年の初来日時もメンバーの一人として来日した。メンバー全員がニューヨークでは忙しいスタジオワークをこなしていた。中でもデイビスは当時売れっ子のベーシスト。日本でのブッキングがうまく行われていないと分かると、一人でさっさと帰国してしまって後は稲葉国光が代役を務めた。したがって、デイビスのプレーを実際に目の前で見、そして聴けたのはピットインに駆けつけたほんの200人程度だった。サドジョーンズ特有の複雑なリズム&テンポ、そしてアンサンブルワークの中でのプレーだけでなく、ソロのバックに廻った時、さらには自分自身のベースソロになった時のプレーはまさに神業に近いものであった。

デイビスは、昔からサラボーンのバックをやっていたり、エリックドルフィーのグループに参加したり幅広く活動していた。スタジオミュージシャンとして参加したセッションのアルバムまで入れると星の数ほどあるが、デイビスのリーダーアルバムとなるとそれほど数が多いわけではない。さらにデイビスのソロがたっぷり聴けるアルバムとなると“Heavy Sounds”もあるが、他にはすぐには思い浮かばない。もっとも晩年のアルバムを聴いていないが。

地元ニューヨークで相変わらず忙しい合間を縫って、このアルバムで共演している女性のピアニスト、ジル・マクマナスと“The Fugue”というクラブに日曜日の夜に出演していた。このフーガという小さな寛いだ暖かい雰囲気をデイビスが気に入ったそうだ。そして、スタジオ録音を考えていたデイビスが、このクラブでの録音を最終的に決め、10月の日曜日2週に渡って、このフーガに録音機材が持ち込まれてこのアルバムが生まれた。丁度古巣のサドメルオーケストラが3度目の来日をしていた時だった。

演奏はピアノとベースだけのデュオ。ドラムレスの演奏はベースの動きが手にとるように聞こえる。マクマナスのピアノもあまり派手に動き回ることなくこの雰囲気にピッタリな演奏だ。デイビスのデュオの演奏というのは、アルバムの中の一部を別にすれば、全編デュオというアルバムは多分無かったであろう。デイビスが気に入ったと言っている聴衆との間の和んだ感じは録音からも感じられる。聴衆の一人に加わってクラブの雰囲気を味わいながらデイビスのベースを楽しむにはこのアルバムはお勧めだ。

1. Blue Bossa
2. All Blues
3. Blue Monk
4. Speak Low
5. Fugue In

Richard Davis (b)
Jill McManus (p)

Produced by Elliot Meadow
Recording Engineer : Malcom Addey
Recorded at The Fugue, New York on October 19, 26, 1975

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