A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

連夜の歴史的なライブにメンバーの多くは疲れ果てたのではないかと・・・・

2012-01-14 | MY FAVORITE ALBUM
Profiles / Gary McFarland

1966年といえば日本ではビートルズが初来日した年。その年の2月6日、日曜日の夜、翌7日月曜日にサドメルオーケストラの初ライブを控えた、ボブブルックマイヤーやジェロームリチャードソン、ジェリーダジオン、そしてスヌーキーヤング、ダニームーア、さらにはベースのリチャードデイビスなどなど・・各セクションの主要メンバー達が、続々とマンハッタンのブロードウェイに面したリンカーンセンターのフィルハーモニックホールに集結していた。ここは言わずと知れたニューヨークフィルの本拠地、クラッシク音楽のホームグラウンド。エヴリフィッシャーになってからも音響の悪さで昔からすったもんだしていた所だが、ジャズクラブに較べると桁違いの観客が入れる大ホールだ。

ところが、この日のイベントはクラッシクではなく、アレンジャー、ゲーリーマクファーランドのコンサートだった。当時新人アレンジャー達の中で、オリバーネルソンやラロシフリンなどと並んでクローズアップされていた新進気鋭のマクファーランドの作品のお披露目コンサートだった。よくある過去のアルバムで演奏された曲のライブでのお披露目でもなく、定期的に開かれているジャズコンサートにマクファーランドが出演したわけでもない。その日は一夜限りの彼の新作の発表の場であった。その日のために、ニューヨークのトップレベルのミュージシャンに声が掛かった。というわけで、サドメルオーケストラのメンバーの多くにも声がかかった次第だ。特に、木管系の楽器を多用するので各種の持ち替えが効くミュージシャンとなると、人選にも苦労したと思われる。ジェロームリチャードソンなどは、このコンサートのために9種類の楽器を持ち込んだとか。これだけ肝いりで開かれたコンサートなので、リハーサルにも4日もかけたそうで、忙しいメンバー達を拘束するのはさぞかし大変だったであろう。

8時に、VOAのジャズアワーのアナウンサー、Willis Conoverの司会で幕を開ける。



彼のMCの中でも「プランされたものと自然発生的なものに乞うご期待」との一言が入る。
確かに、全編彼らしいアンサンブルが聴き所だがその間のソロもとって付けた様なソロではない。反対にソロを生かす事を思い描いたオーケストレーションとも言える。
彼の作品には自然の風物を題名にした曲が多い。最初の曲も”Winter Colors”と命名された組曲風の曲だ。作編曲もこの題名を十分に意識して書かれたものだろ。他のアレンジャーとは曲作りの取り組み方も違うのかもしれない。次の“Willie”は前の年の夏交通事故で亡くなってまもない友人のトロンボニストのウィリーデニスに捧げた曲。次の“Sage Hands”はサックスセクションのプレーヤーをクローズアップした曲。ピターガンのイントロに似た感じで始まる”Bygones & Boogie“は彼が子供の頃聞いてお気に入りであったブギウギをイメージしたとか。最後の”Milo's other Samba”はボサノバジャズの世界ではひとつの世界を作ったマクファーランドの世界をアピールしている。とにかく多彩な曲想、そして色々な木管を組み合わせた響き、それに合わせた一流どころのソロと、あっという間に終わってしまうが残りの録音が無いのか気になるところだ。

‘ボサノバブームに乗って一躍有名になったが、彼の原点は幅広く色々な音楽を取り入れ、色々な表現をするということに尽きる。初期のアルバムにはアニタオデイのバックもあったが、その後どちらというと軽いノリのアルバム作りに参加することが多かった。このアルバムのように真正面から取り組んだ作品は聴き応えがある。
このコンサートを企画したのはNorman Schwartz。後に、Sky, Gryphonでマクファーランドとはタッグを組む。また、コルトレーンの全盛期にこのようなライブをアルバムにしてラインナップに加えたBob Thieleの度量には感嘆する。

独自の世界を展開させ将来を嘱望されたマクファーランドだが、このアルバムを録音してから5年後、1971年にニューヨークのバーで毒を飲んで(飲まされて?)亡くなってしまう。詳しい状況は発表されていないようだが、これからという時に何とも残念。もし生きていればというのは、早く逝ってしまったジャズの巨人の残された作品を聴くといつも思うことである。



Gary McFarland Conductor, Marimba, Vibraphone

Bill Berry    Brass
Clark Terry    Brass
Bob Brookmeyer  Brass
Joe Newman    Brass
Bob Northern   Brass
Jimmy Cleveland  Brass
Jay McAllister  Brass
Phil Woods    Reeds
John Frosk    Brass
Bernie Glow    Brass
Richie Kamuca   Reeds
Jerome Richardson Reeds
Zoot Sims     Reeds
Richard Davis   Bass
Gabor Szabo    Gutar
Sammy K. Brown  Gutar
Joe Cocuzzo    Percussion
Tommy Lopez    Percussion

All Songs Composed By Gary Mcfarland
Willis Conover Narrator
Produced by Bob Thiele
Engineer : Rudu Van Gelder
Recorded live at Lincolin Center's Philharmonic Hall on Feb.6, 1966



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セッションリーダーによって、同じメンバーでも出来栄えが変ることが・・・

2012-01-13 | CONCORD
Woody Herman Presents Volume 1 Concord Jam / Woody Herman



Concordレーベルへのウディーハーマンの登場は、エリントンに捧げたアルバム“A Tribute To Duke Ellington”にゲスト参加したのが始めて。他には自己のグループでのアルバムはまだ無かったと思う。そのハーマンが1980年の”Concord Jazz Festival”に登場した。'78年には自己のオーケストラでチックコリアの曲にチャレンジするなど先進的な取組みをしていたが、今回は自己のバンドを引き連れてではなく、Concordでお馴染みの面々のジャムセッションへのゲスト参加であった。が、ゲストといっても“Woody Herman Presents”と銘打った、ハーマンがセッションリーダとなってコンコルドオールスターズのプレゼンテーションだった。

曲はハーマンの十八番、”The Woodchoppers’s Ball ”でスタートする。多分この曲にのってハーマンが舞台に登場したのであろう。聴衆の拍手で盛り上がりを見せて、ハーマンのクラリネットソロが始まる。ライナーノーツには、「彼の熱いクラリネットはジャムセッションに炎を点すトーチのようだ」と記されている。相変わらずのあまり綺麗な音色とはいえないハーマン節だ。そして、メンバー一人一人をフィーチャーして曲が進む。”Body and Soul”では北村英治が登場する。世界に通用する北村のクラリネットは流石に美しい。最後はやはりハーマンナンバーの”Apple Honey”で盛り上がってアルバムは終わる。

ライナーノーツを見ると、いきなり最初にこのセッションに参加したカルジェイダーのコメントが載っている。ジェイダー曰く、「こんなに盛り上がったライブセッション」は始めてだと。
ハーマンのオーケストラは、ファーストハードの時代から、多少荒っぽいがドライイブの効いたパンチのある演奏を得意としている。途中登場するハーマンの演奏は必ずしも上手いとはいえない。でも親分が先頭に立って突撃すると、いつの間にか他のメンバーはそれに巻き込まれていく。
きっとこれがハーマンの得意技なのだろう。持って生まれた才能を発揮する場所は、何も自分のオーケストラばかりではなく、今回のようなジャムセッションでも同じだ。いつものConcord All Starsの面々も、ハーマンが引っ張ることで、今までに無いエネルギーが引き出されていったのであろう。ハーマン自身も語っている、「自分の役割は一緒にプレーするメンバーに普段以上のプレーをさせること」と。

Concord All Starsの演奏は、これまでも毎年のConcord jazz festivalの舞台のハイライトだ。そして世界各地のツアーにも出かけて行って、その録音も残されている。しかし、ハーマンがプレゼンテーションをすると同じメンバーであっても確かに一味違ったダイナミズムが増す。このアルバムが、Concordが出した“Woody Herman Presents”シリーズのVol.1。カールジェファーソンも、多少マンネリ化してきた自分の子飼い達をもう一度奮い立たせるためにハーマンを使うとは、流石いいところに目をつけたものだ。

1. Woodchopper's Ball         Bishop, Herman
2. Rose Room              Hickman, Williams
3. Just Friends            Klenner, Lewis
4. Nancy (With the Laughing Face)   Silvers, VanHeusen
5. Body and Soul           Eyton, Green, Heyman, Sour
6. Someday You'll Be Sorry      Armstrong
7. My Melancholy Baby         Burnett, Norton
8. Apple Honey             Herman

Woody Herman Clarinet, Leader
Warren Vaché Cornet
Scott Hamilton Tenorsax
Dick Johnson Altosax, Flute
Eiji Kitamura Clarinet
Dave McKenna Piano
Cal Tjader Vibraphone
Cal Collins Guitar
Bob Maize Bass
Jake Hanna Drums

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer
Ron Davis Engineer

Recorded live at The Concord Pvilion, Concord, California on August 1980

Originally released on Concord CJ-142

Concord Jam Vol 1
Woody Herman
Concord Records
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昔の仲間に迎えられて無事に 帰ってきたものの・・・・・

2012-01-12 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Back Again / Bob Brookmeyer

ボブブルックマイヤーの第2の音楽人生のスタートとなったアルバムは多分先日紹介した“Through A Looking Glass”であろう。実は、10年以上ニューヨークを離れ、一時は音楽活動からも離れて西海岸に居を構えていたブルックマイヤーが、ニューヨークに復帰した直後に、ある種の節目とも言えるアルバムがある。そのタイトルも“Back Again”である。まさに「帰還」であるが、ジャケットを飾るブルックマイヤーの風貌に10年前の面影は無い。髪を長くたらし幾分ほっそりとした顔立ちになった姿は、音楽的のみならず肉体的にも、また人間的にも何かが変化したと思わせる。

そのブルックマイヤーを迎えたメンバーは、以前の長いニューヨークでの生活で一緒に労苦を共にしたサドジョーンズとメルルイスの2人。そして、当時のサドメルオーケストラのベーシストであったジョージムラツ。ピアノは、同じ時期一緒に西海岸からニューヨークに帰ってきたジミーロウルズの4人だった。

この手のセッションの出来栄えは誰がシナリオを作るかが重要だ。単なるジャムセッションでもセッションリーダーが重要だが、この面子だとシナリオ無しのセッションという言う訳にもいかない。尚且つ、ブルックマイヤーの復帰を祝うアルバムとなると。
それまでブルックマイヤーが参加するセッションは、ブルックマイヤーがアレンジを含めて全体の構成を作ることが多い。ブルックマイヤーとスタンゲッツの65年の再会セッションは、ハンコック、カーター、そしてエルビンのリズム隊が超豪華な顔合わせであったが、ゲーリーバートンを加えた4人が実に綺麗で爽快に流れるようなバックを生み出した。スイングジャーナルでこのアルバムの解説をした児山紀芳氏は、「同じ編成でブルーノートでのセッションもいくつかあるが明らかに音が違う。それはブルックマイヤーの指示が徹底していたに違いない」とコメントしていた。

一方で、迎える御大サドジョーンズも曲作りとアレンジに長けているだけでなく、演奏そのものでも情感豊かな表現で、時にはお茶目な、そして意表をつくプレーが得意である。ここでは、今回の主賓ブルックマイヤーを立てて自分は引っ込んでマイヤーに花を持たせたのか、反対にサドがマイヤーを迎えるお膳立てをしたのかは定かではない。曲はセッションがやり易いスタンダードを中心に、ブルックマイヤーの曲が2曲。これを見ると、やはりブルックマイヤーの構成かもしれない。
トロンボーンのソロは昔と変らない、そしていつものように掛け合いを楽しみながら、各人のソロが続く。ロウルズの朴訥なピアノも味がある。でも、全体を通してみると何故かしっくりこない。それぞれは悪くは無いのだが、皆一緒にプレーをした仲であったのに何故か他人行儀な感じだ。久しぶりなのか、遠慮があるのか・・・?

そして、この年にブルックマイヤーの復帰と入れ替わるように、今度はサドジョーンズがニューヨークを、そして自分のオーケストラを去ることになった。その真意が語られる事は無かったと言われているが、その後しばらくはオーケストラの面倒をブルックマイヤーが裏方としてみることになる。このアルバムが実は2人の引継ぎのような物だったのかもしれない。

1. Sweet and Lovely            Arnheim, LeMaire, LeMare, Tobias 8:30
2. Carib                  Brookmeyer 4:07
3. Caravan                 Ellington, Mills, Tizol 7:37
4. You'd Be So Nice to Come Home To    Porter 6:49
5. Willow Weep for Me           Ronell 3:45
6. I Love You               Porter 5:58
7. In a Rotten Mood            Brookmeyer 5:55

Bob Brookmeyer (vtb)
Thad Jones (cor,fh)
Jimmy Rowles (p)
George Mraz (b)
Mel Lewis (ds)

Produced by SamCharters
Engineer Elvin Campbell
Recorded at CI Studio, New York City on May 23-25, 1978




Back Again
Bob Brookmeyer
Universal
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異国の地で、レギュラーグループを離れると不思議に名演が・・・

2012-01-11 | MY FAVORITE ALBUM
Overseas / Tommy Flanagan Trio

歳をとると記憶の連鎖が切れてくる。まずは時間軸から。この前と思ったのが、それから5年経ち、いつの間にか10年経ってしまう。仕事に関してはいくつかの区切りや節目があるのでそれを辿ると繋がってくる。ところが、プライベートになるとそれは難しい。特に好きなゴルフに関しては、記憶に残るラウンドの前後関係は記録を見ないとかなり曖昧だ。ジャズの世界は常に新旧取り混ぜて古い録音も聴くので、同時進行で聴いていたものを思い出すのが大変だ。LPがCDに替わったのが大きな節目といえば節目だが。





先日古いスイングジャーナルを引っ張り出したら、急に記憶が整理されだしたから不思議なものだ。67年の5月号を見ていたら、懐かしいスイングジャーナル選定「ゴールドディスク」第一号が紹介されている。幻の名盤のはしりともいえる有名なトミーフラナガンの「オーヴァーシーズ」だ。当時一枚15,000円で取引されていたとか。今の貨幣価値と較べるとたいそうな金額だ。
今では、マニアックなアルバムまでどんどん発掘され、2度3度と再発される内に、未発表曲までおまけで付くようになっている。中古の盤もネットで簡単に探せて「即オーダー」可能。オリジナル盤に拘るマニアでなければ、欲しいアルバムがいとも簡単に手に入る次代にいつの間にかなってしまった。

さて、昔はレギュラーグループが国内外のツアーに出ると、そのメンバーが別行動でセッションを行い、それが録音されるということが良くあった。地元のメンバーが加わったりしてレギュラーグループでは味わえない貴重な演奏が残されている。特に、ヨーロッパ遠征で名盤といわれるのが多いのは、やはり異国の地で普段とは違う刺激を受けるからであろう。この前の、ペッパーアダムスのアルバムもそのような一枚だ

このオーヴァーシーズも、J.J.ジョンソンのグループの一員としてヨーロッパツアーをしていたフラナガンがトリオで、スウェーデンに滞在中に録音したもの。このメンバーが、ジョンソンのグループで”“Dail JJ5”を録音したのは‘57年の1月。それからすでに8ヶ月一緒にプレーをしているので呼吸はピッタリだ。久々にこのアルバムを聴いたが、フラナガンのピアノに加えて、エルビンのドラミングはやはり素晴らしい。エルビンはどうしてもコルトレーングループでのプレーの印象が強いが、このドラミングがエルビンのドラムの原点だろう。自分のオーディオ装置も当時(1965年)と較べると格段に進歩しているので音も良い。フラナガンの初リーダーアルバムとしてだけではなく、エルビンのブラッシングの切れ味を楽しむのもこのアルバムの価値だと思う。



1. Relaxin' at Camarillo  Parker
2. Chelsea Bridge   Strayhorn
3. Eclypso        Flanagan
4. Beat's Up       Flanagan
5. Skål Brothers     Flanagan
6. Little Rock      Flanagan
7. Berdandi        Flanagan
8. Dalarna        Flanagan
9. Willow Weep for Me  Ronell

Tommy Flanagan (p)
Wilbur Little (b)
Elvin Jones (ds)

Recorded on August 15, 1957 in Stockholm, Sweden


Overseas
Tommy Flanagan
Ojc
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メインストリートよりも脇道に宝物が・・・・

2012-01-10 | CONCORD
Side Track / Louie Bellson


サイドトラックというのは引込み線のこと。道路でもメインストリートから一筋外れた所に隠れたお店や名所があるように、いつものレギュラーな仕事と少し離れた所でちょっと一息入れた感じの集まりが何の世界でもよくある。



ドラムのルイベルソンというと、Skin Deepに始まり、どうしてもビッグバンドでの豪快なプレーとドラムソロが有名だ。このアルバムでは、この映像の様なプレーは聞けない。が、実は小編成のグループでも小気味良いプレーを聴かせてくれる。また、彼は、プレーだけでなく曲作りや教育にも熱心で幅広い活躍をしていた。
Concordには設立されてすぐに登場しているが、ビッグバンドだけでなく小編成のアルバムもある。またカールジェファーソンのプロデュースしたものだけでなく、自分でプロデュースしたアルバムも出している。ルイベルソンをリーダーにした物すでに6枚目になる。先にリリースされたダイナマイトは’79年8月のコンコルドジャズフェスティバルでのライブなので、こちらのアルバムの方が少し前の録音になる。

このアルバムのメンバーは、ピアノのフランクコレット、ベースのジョンハードが自己のバンドのメンバー、そしてトランペットのサムノートがゲスト参加という形だが、このアルバムのミソはコンガをもう一人加えていること。通常の2管+ピアノトリオにこのコンガが加わったことでこのアルバムの雰囲気も一味違っている。特に、キャラバンではドラムとこのコンガの掛け合いがハイライトだ。といっても、ドラムが前面に出るのはこの一曲だけ。他の曲ではベルソンは裏方に徹しているが、このグループのサウンドは実にスマートだ。ハードバッパーのサムノートのトランペット、ドンメンザのテナーは実に力強いが、ドラムがつられて決して煩くならないでツボをきちんと押えている。これがビッグバンドドラマーの特徴かもしれない。テナーのドンメンザもベルソンとの付き合いは長い、その前はバディーリッチのオーケストラにも参加していたが、彼もリーダー作は少ないがどこのグループでも要の一人になるプレーヤーだ。このアルバムもドンメンザとサムノートのアルバムといっても不思議ではない。

このアルバムの録音はいつもの西海岸ではなくラスベガス。何でも、このメンバーでラスベガスでの“Wayne Newton”のショーのハウスバンドを務めたとか。ということを踏まえると、このアルバムはメンバーといい企画といい、普段の活動の延長ではなくいくつかの条件が重なってたまたま生まれたものかもしれない。しかし、その結果はレギュラーグループのように実にしっくりしているから不思議だ。ジャズというのは昔から本線が決まっているのではなく、いつの時代でもその支線の中から新たな始まりがあるのだと思う。

1. Side Track
2. Medley
     Don’t You Know I Care
     You Don’t Know Me
     Polka Dots And Moonbeams
3. Caravan
4. Fat’s Blues
5. Cinderella’s Waltz
6. Out of Nowhere
7. I See You

Louie Bellson :Drums
Frank Collett :Piano
John Heard  :Bass
Don Menza  :Flute, Sax (Tenor)
Sam Noto   :Trumpet
Walfredo Reyes :Conga

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer Phil Edwards
Recorded atlas Vegas Recording Studio, Las Vegas, Nevada June 1979

Originally released on Concord CJ-141
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初打ちは100叩き・・・・今年一年が思いやられる

2012-01-09 | SHOT OF THE DAY
年明けの初打ちはホームコース。関東平野の真ん中、赤城下ろしの北風が身に染みる季節になった。昨年末は好感触、好スコアで終わっただけに新年早々今年の出来を占う意味でも、気合が入る初ラウンドであった。

昨年後半はショットの調子を極端に落としたこともあり、ダラダラと目標の無いゴルフが続いてしまった。そういう意味では。今年は何事においても、もう一度色々拘ってみたいというのが今年の抱負だ。いいショットで好スコアを狙うのもいいが、ゴルフはやはりミスの競技。いかにミスを起こさないか、そしてミスを続けないかが結果的に好いスコアに繋がることは、長年の経験で分かっているだが。
ということもあり、今年はトリプル以上を叩かないというのをひとつ目標にしてみることにした。年末の最後のゴルフはダボなしゴルフ。やはり、このようなプレーは印象に残るし、プレーを思い出しても当たり前だが大きなミスはなかった。このようなプレーができれば、ストレス無く楽しいゴルフができるのだが。

出だしのロングは第3打を引っ掛け気味でバンカーへ。ボギースタートだ。次の長いミドルもボギーオンをまさかの3パット。トリこそ叩かないがつまらないミスが続く嫌な感じが続く。次のショートではグリーンを狙えない木の後ろへ。横に出して何とか3オン。奥からのパットが合わずに何と4パット。早くも3ホールにして、トリ無しゴルフは夢と消えた。その後何とか踏ん張ったものの、最終ロングでは、またもや3打目を極端に引っ掛けてOB。おまけに池ポチャまでついての9。何ともしまらないスタートとなってしまった。

後半も、2番ホールでまたもやアンプレのトリプル。14番でも3パットでトリプルで万事休す。開き直った15番からは3連続パー。最終ホールも惜しいパーパットを外したものの何とか復調。このパットが入っていれば90台であったが、結果はジャスト100。トリプルを叩くのはミスの連鎖が原因。これを断ち切れなければトリ無しゴルフは難しい事を改めて実感。新年早々たいそうな目標は掲げたものの、しまらないゴルフであった。
唯一の収穫は16番の池越えの第2打。強い北風でティーショットも距離が出ず。200Y近く残った第2打を見事に2オン。このようなショットが出ると次のホールにも続く。

気分屋ゴルフは早々直るものではない。昨年はサボったスコアの記録も再開し、ミスの連鎖を無くすために少しはイメージトレーニングでもすることにしよう。
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海外遠征でも、大きなステージではなくクラブでの演奏はリラックスした気分で・・・

2012-01-07 | PEPPER ADAMS
JULIAN / Pepper Adams


サドメル創設時のサックスセクションの一人であるバリトンサックスのペッパーアダムスは、その時のメンバーの中ではアルトのジェリーダジオンと2人で在籍最長記録であったと思う。レコーディングされた中でも、66年2月の最初の録音のオープニングナイトから、76年のミュンヘンのライブまで10年間参加している。

サドジョーンズよりは7歳年下だが、同じデトロイトの出身。同郷であったが、小さい時にニューヨークに移りジャズに染まっていったようなので、地元での接点は無かったであろう。しかし、アダムスとサドジョーンズには音楽的にも何か2人を結び付ける接点があったように思う。このペッパーアダムスのプレーは白人であったが、バリトンの雄ジェリーマリガンとは好対照なゴリゴリサウンドで、ウェストコーストよりもハードバップが似合う。ドナルドバードとのクインテットではいい感じだった。彼の、バイオグラフィーを見るとベニーグッドマンからコルトレーンまで実に多くのプレーヤーと共演している。サドメルのメンバーでは、ジミーネッパーとアルバムも作っていた。活動拠点も、東海岸、西海岸両方であり、50年代からスタジオワークもこなしていて、クインシーの初期のアルバムにも参加している。サドメルに参加してからも、レギュラーメンバーで各国のツアーにも参加していたが、晩年まで実に色々な所で、そして色々なメンバーと演奏をしていたスーパーマンだ。じたがって、オーケストラの一員としてのスタジオワークではなく、自己のアルバムや他のリーダーアルバムのサイドメンとしての参加も数多くアルバムも多く残されている。

そのアダムスが75年にヨーロッパに遠征した時、ミュンヘンのドミシルでのライブがこのアルバムだ。ピアノのウォルターノーリス、ベースのジョージムラツもサドメルのメンバーなので、バンド全体でのヨーロッパツアーの途中だったのかもしれない。
アダムスのワンホーンなので、アダムスのプレーもたっぷり聴ける。サドジョーンズの曲もいつもとビッグバンドとは趣きが違うが、サドの曲はメロディーも綺麗なのでソロやコンボの演奏でも映える。2曲目のJULIANは5日前に亡くなったキャノンボールアダレイにアダムスとムラツが捧げた曲。綺麗なバラードだが、奇しくもこの曲がアルバムタイトルになったようだ。

自分は元々サックス、それもバリトン好きであったが、このペッパーアダムスはお気に入りにプレーヤーの一人だ。



1. Jirge
2. Julian
3. Spacemaker
4. Ad Astra
5. Three and One
6. 'Tis

Pepper Adams (bs)
Walter Norris (p)
George Mraz (b)
Makaya Ntshoko (d)

Produced by Horst Weber & Mattias Winckelmann
Recorded by Carlos Albercht on 13 August 1975, Live at the Domicile, Munich

ジュリアン(紙ジャケット仕様)
クリエーター情報なし
コロムビアミュージックエンタテインメント
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サドメルのメンバーの普段の仕事場は・・・・

2012-01-05 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Roll ‘em / Shirley Scott Plays The Big Bands





60年代の中頃元気があったレーベルといえば、マイルスのいたコロンビア、コルトレーンを擁していたインパルスやピーターソン、ゲッツ、ウェス、ジミースミスなどの大物を抱えていたヴァーブなどのメジャーレーベルだった。中でも、インパルスはボブシールのプロデュースした作品は、一味凝った味付けでいい作品が多かった。さらに、綺麗にコーディングされたダブルジャケットは見た目も豪華で今でも綺麗な状態を保っている物が多い。メジャーレーベルのアルバムはお金をかけられるのか、コンボの演奏だけでなく、オーケストラをバックにしたアルバムも多かった。日本ではあまりボーカル物も含めてオーケストラをバックにしたアルバムは人気が無かったが、中にはアレンジを含めていいアルバムも多いのだが。

サドメルが結成されたのは65年の暮れ。実際には66年から本格的に活動開始し、本拠地Village Vanguardの最初のライブは、66年の2月7日のであった。この模様はアルバムで残されているが、このメンバーがほぼ創設時のメンバーであったと思う。メンバーを見渡すと、大部分がニューヨーク在住のベテラン揃い。スタジオワークでも良くクレジットで名前を見かけることが多い面々だ。このスタジオワークのひとつがこのようなビッグバンド編成をバックにしたレコーディングだった。サドメルのオーケストラが初のライブを録音してしばらく経った4月19日、いつものルディーヴァンゲルダースタジオに御大サドジョーンズを含む面々が集った。その日の主役、オルガンのシャーリースコットのアルバムの録音であった。

アルバムのタイトルも”PLAYS THE BIG BANDS”という往年のビッグバンドの名曲にチャレンジしたアルバムだった。内容はビッグバンドをバックにしたもの(アレンジはオリバーネルソン)もあるが、トリオの演奏もあるという、少し捻った構成になっている。オルガンは他の楽器よりは表現力がありそうだが、流石にオルガンだけでビッグバンドの名曲&名演にチャレンジは少し荷が重い。やはり、ビッグバンドの名曲はビッグバンドのサウンドが耳に残ってしまうの。ビッグバンドをバックにしたものの方がオルガンの演奏も生きているように思う。オリバーネルソンのアレンジもそれほど凝る方ではないので、快調にスイングするバックにはうってつけだったと思う。そして、スイングするバックにはグラディーテイト、そしエドショネシーのドラムもピッタリだ。

実は、先日捨てずにダンボール詰めにしてあった古いスイングジャーナルを久しぶりに引っ張り出してみた。丁度このアルバムがリリースされた1966年の頃の物から捨てずに残っているが、パラパラ捲っていると、当時ニューヨークに在住の秋吉敏子のニューヨーク報告の記事が目に留まった。当時ニューヨークでも話題になっていたサドメルのライブにようやく行った、その感想であった。それは、「メンバー良し、アレンジ良し、場所も良しなのに何故かひとつしっくりこない。ひとつは明らかに練習不足。そして最悪なのがドラムのメルルイス。彼のノリの悪いドラムがすべてを台無しにしている、彼ほどオーバーレイテッドなドラマーはいない。」とメルを酷評するものであった。結果は、メルルイスがこのバンドを引き継ぐことになったのだから皮肉なものだ。
このアルバムを聴きながらこの記事を読んで、もしサドジョーンズがドラマーとしてこのアルバムで起用しているグラディーテイトかエドショネシーを自分のオーケストラに選んでいたら、果たしてサドメルはどうなっていたであろうか・・・・・?と、つまらないことが気になった。

1. Roll 'Em              Williams 4:08
2. For Dancers Only          Oliver, Raye, Schoen 3:43
3. Sophisticated Swing         Hudson, Parish 2:49
4. Sometimes I'm Happy         Caesar, Grey, Youmans 3:53
5. Little Brown Jug          Winner 3:57
6. Stompin' at the Savoy        Goodman, Razaf, Sampson, Webb 3:57
7. Ain't Misbehavin'          Brooks, Razaf, Waller 3:30
8. A-Tisket, A-Tasket          Alexander, Fitzgerald 3:55
9. Things Ain't What They Used to Be  Ellington, Ellington, Persons 5:19
10. Tippin' In             Smith, Symes 4:33


Thad Jones, Joe Newman, Jimmy Nottingham, Ernie Royal, Clark Terry (tp)
Quentin Jackson, Melba Liston, Tom McIntosh (tb)
Paul Faulise (btb)
Jerry Dodgion, Phil Woods (as) Bob Ashton, Jerome Richardson (ts) Danny Bank (bars)
Shirley Scott (org)
Attila Zoller (g)
George Duvivier (b)
Grady Tate (d)
Oliver Nelson (arr, cond)

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, April 19, 1966

Shirley Scott (org)
Richard Davis (b)
Ed Shaughnessy (d)

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, April 15, 1966
Produced by Bob Thiele
Engineer Rudy Van Gelder



Roll Em
クリエーター情報なし
Grp Records
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メッセンジャーズで鍛えられた成果を十分に発揮して・・・・

2012-01-02 | CONCORD
Images(Of Things To Come) / James Williams


2012年の新年は風邪気味で体調も不調で迎えたのですっかり寝正月になってしまった。
昨年復活したこのブログも、今年も中断しないように続けたいと思うのだが・・・・。
今年は何事にももう少し「こだわり」を持ってみたいと思うが、ジャズのアルバムの棚卸しも、Concordレーベルとサドメルへの拘りは引続きししばらく続けてみようと思う。
という訳で、新年の一枚目はConcordから。

何の仕事でも、年をとるとだんだん身近な仲間との気軽な付き合いが増えてきてしまい、若者のグループに自ら身を置くことが少なくなる。だが、きっと仕事に長けた人間は、自ら身に付けた技を少しでも後輩達に伝えようという努力を惜しむことはない。今、会社組織の中で、このような「年寄り」の使い方ができなくなっている、企業にとっても、また教えられる方、教える方にとっても不幸なことだ。このような「職人芸」の伝承が何事においても重要だと思うのだが。

よくスポーツの世界で名選手が必ずしも名コーチや名監督になるとは限らないという話を良く聞く。新人を育てて一流に仕上げるには、プレーが上手いだけでなく、技を教えるそれなりの才能とチームのマネジメント力の両方が必要だからだろう。アートプレーキー&ジャズメッセンジャーズには、グループの編成当初から新人の登竜門としての役割があったが、晩年までその位置付けが変らなかったのは、やはりブレーキーの人柄と拘り、そしてチームマネジメント力があったからかもしれない。ブレーキーのジャズメッセンジャーズというユニットは、きっとモダンジャズ創成期の何かエネルギーを脈々と引き継いでいたのであろう。メッセンジャーズ出身の若手には、演奏の上手い下手とは別にそこで「何かパワーの源」が注入されて巣立っていったように思う。

ピアノのジェームスウィリアムスもその一人だ。メッセンジャーズに在籍中のキーストンコーナーのライブ演奏がConcordのアルバムに残されているが、卒業後のリーダーアルバムもConcordからリリースされた。このアルバムはそれに続く第2作。テナーのビルピアースはウィリアムとはデビュー以来のコンビ、メッセンジャーズにも一緒に参加していた仲間同士なので呼吸もピッタリだ。

演奏の内容は、ハードバップの延長上の新主流派。実にエキサイトだ。Concordレーベル特有の枯れたスマートさではなく、若さを感じされるエネルギッシュな演奏だ。自作の曲はこのアルバムのための曲ではなく、何年か前に作られたとのことでこなれた演奏だし、スタンダード曲の解釈も新鮮だ。タイトル曲の”Images”は、76年に開かれた教会でのコンサート用に書かれた曲だそうだ。まだメッセンジャーズに加入する前だが、まさにその後彼の人生に起ることをその時想像できたのかもしれない。それを実際にこのアルバムの演奏で実現できたのは、もちろんウィリアムス自身のメッセンジャーズでの経験と、それを身に付けた潜在能力を引き出した、プロデューサー、フランクドリティーの手腕かもしれない。

1. I hear a rhapsody
2. You go to my head
3. You’re my everything
4. Wishful thinking
5. Beautiful love
6. Images (Of things to come)
7. My ideal
8. Focus

James Williams (p)
Bill Pierce (ts)
Charles Fambrough (b)
Carl Burnett (ds)

Produced by Frank Dorritie
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California June 1980

Originally released on Concord CJ-140
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