原発をやめて、地域に根ざした自然エネルギーを爆発的に広めていくには、電力の自由化が最大の鍵です。
そのためには、これだけの被害をもたらした独占企業の東京電力は解体して、小さな発電会社が成立しやすい環境を整える必要があります。
しかし、いまの原発事故の被害を補償するための政府案では、東京電力の地域独占が維持され、自然エネルギー普及の大きな妨げになります。
欧米のように自由化し、エネルギーシフトするために、ISEP(環境エネルギー政策研究所)が以下のような明快な声明を出しました。
震災の被害や復旧活動を伝える報道も大事です。
でも、事故に学んだ日本の未来を考えるには、この話はターニングポイントになると思います。
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「原発事故賠償スキーム政府原案の問題点」
原発事故賠償スキーム政府原案の問題点
1 東京電力の存続の既成事実化
東京電力の「利益」から賠償資金をねん出するスキームであり、東京電力の再編成(発送電分離など)は事実上、不可能となる。また、東京電力の資産売却は「利益」減少となるため、東京電力のリストラを不徹底とし、賠償金は電気料金へ安易に転嫁される。
2 地域独占体制の存続の既成事実化
東京電力は、地域独占体制を前提としたビジネスモデルで経営されているため、「利益」から賠償資金をねん出するスキームである以上、地域独占体制を変えること(全国一体の送電会社など)は、不可能となる。
3 金融機関の貸し手責任の免除
金融機関は3月末の2兆円緊急融資も含め、自らの判断で東京電力に融資した。融資の全額回収は、東京電力の企業組織とビジネスモデルの存続が前提であり、金融機関の貸し手責任を免除するスキームとなっている。
4 全国民による賠償負担
東京電力以外の電力会社も賠償負担金を支払うスキームは、電気料金を通じて全国民が賠償資金をねん出することを意味する。各電力会社の企業組織とビジネスモデルの温存(発送電分離や全国一体の送電会社の阻止)が、負担金支払いの見返りではないか。
5 被害者が人質になっている
福島第一原発事故の被害者にとって、確実に賠償金を受け取るには、「東京電力の存続」と「東京電力の利益」を求めなければならないスキームである。被害者を「人質」として、東京電力の企業組織とビジネスモデルを防衛するスキームとなっている。
以上のとおり、東京電力原発事故賠償スキームの政府原案は、東京電力をはじめとする電力業界と金融業界の利益を第一とするものであり、政府原案を作成したと思われる財務省と経済産業省の省益を第一とするものに他ならない。
そもそも、もっとも緊急性の高い一元的な事故処理スキームの構築を後回しにし、緊急性の低い事故賠償スキーム(東電が仮払金の支払いを表明済)を優先すること自体が、大きな問題である。よって政府は、この政府原案を白紙に戻し、一元的な事故処理スキームを優先して構築すべきである。
また、事故賠償スキームについては、東京電力の資産売却、役員(退任者を含む)の個人資産の全面提供、社員給与の大幅削減、元社員の年金の大幅削減など、東京電力があらゆる努力を尽くすことが大前提である。賠償不足分を政府が負担するにしても、スキーム構築に際して、電力業界の守護神で主要な「戦犯」である経済産業省は絶対に関与すべきでない。
【このプレスリリースに関するお問い合わせ】
特定非営利活動法人
環境エネルギー政策研究所(ISEP)
担当:飯田、田中
そのためには、これだけの被害をもたらした独占企業の東京電力は解体して、小さな発電会社が成立しやすい環境を整える必要があります。
しかし、いまの原発事故の被害を補償するための政府案では、東京電力の地域独占が維持され、自然エネルギー普及の大きな妨げになります。
欧米のように自由化し、エネルギーシフトするために、ISEP(環境エネルギー政策研究所)が以下のような明快な声明を出しました。
震災の被害や復旧活動を伝える報道も大事です。
でも、事故に学んだ日本の未来を考えるには、この話はターニングポイントになると思います。
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「原発事故賠償スキーム政府原案の問題点」
原発事故賠償スキーム政府原案の問題点
1 東京電力の存続の既成事実化
東京電力の「利益」から賠償資金をねん出するスキームであり、東京電力の再編成(発送電分離など)は事実上、不可能となる。また、東京電力の資産売却は「利益」減少となるため、東京電力のリストラを不徹底とし、賠償金は電気料金へ安易に転嫁される。
2 地域独占体制の存続の既成事実化
東京電力は、地域独占体制を前提としたビジネスモデルで経営されているため、「利益」から賠償資金をねん出するスキームである以上、地域独占体制を変えること(全国一体の送電会社など)は、不可能となる。
3 金融機関の貸し手責任の免除
金融機関は3月末の2兆円緊急融資も含め、自らの判断で東京電力に融資した。融資の全額回収は、東京電力の企業組織とビジネスモデルの存続が前提であり、金融機関の貸し手責任を免除するスキームとなっている。
4 全国民による賠償負担
東京電力以外の電力会社も賠償負担金を支払うスキームは、電気料金を通じて全国民が賠償資金をねん出することを意味する。各電力会社の企業組織とビジネスモデルの温存(発送電分離や全国一体の送電会社の阻止)が、負担金支払いの見返りではないか。
5 被害者が人質になっている
福島第一原発事故の被害者にとって、確実に賠償金を受け取るには、「東京電力の存続」と「東京電力の利益」を求めなければならないスキームである。被害者を「人質」として、東京電力の企業組織とビジネスモデルを防衛するスキームとなっている。
以上のとおり、東京電力原発事故賠償スキームの政府原案は、東京電力をはじめとする電力業界と金融業界の利益を第一とするものであり、政府原案を作成したと思われる財務省と経済産業省の省益を第一とするものに他ならない。
そもそも、もっとも緊急性の高い一元的な事故処理スキームの構築を後回しにし、緊急性の低い事故賠償スキーム(東電が仮払金の支払いを表明済)を優先すること自体が、大きな問題である。よって政府は、この政府原案を白紙に戻し、一元的な事故処理スキームを優先して構築すべきである。
また、事故賠償スキームについては、東京電力の資産売却、役員(退任者を含む)の個人資産の全面提供、社員給与の大幅削減、元社員の年金の大幅削減など、東京電力があらゆる努力を尽くすことが大前提である。賠償不足分を政府が負担するにしても、スキーム構築に際して、電力業界の守護神で主要な「戦犯」である経済産業省は絶対に関与すべきでない。
【このプレスリリースに関するお問い合わせ】
特定非営利活動法人
環境エネルギー政策研究所(ISEP)
担当:飯田、田中