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先祖を探して

Vol.224 世之主の墓 (1) ウファチヂからウファへお墓を移動した理由

ご先祖様であった世之主が、中山から来た和睦の船を確認に行った部下の手違いで世之主は誤認し、自害したのは1416年頃と言われています。
世之主と奥方、そして長男の3人が自害したといいます。
長女5歳、二男3歳は乳母と一緒に徳之島に逃げておりますので、一緒に自害した長男はおそらく成人した年齢でしょうから、当時でいえば15歳頃だったのではと思われます。
そうなれば、世之主は18歳で子供が生まれたと考えれば、33歳にはなっていたことになりますが、自害した時の年齢は定かではありません。

自害した後は、古城地跡(現在の世之主神社)の東側にある小高い丘のウファチジと呼ばれている場所に埋葬されたといいます。ウファとは現在の世之主のお墓をそう呼んでいるので、このウファチジとは埋葬した後に呼びはじめた地名だと思われます。



実際にこの地を島の歴史研究家の先田先生が過去に調査されたことがあり、その時の様子を図で書いておられました。



世之主が急に自害してしまったので、お墓の準備も間に合わずに簡単な作りになっていたのか?
このお墓から現在のウファへ移動したのは、三十三回忌の時だったとか諸説あるようですが、お爺様の記録にはこのように書いてあります。

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遺骨は古城の東方の小丘(ウファチヂ)に埋葬してあったという。
その後何年経過したか、付近に居住する人たちの飲料水がその丘の北側の下に湧き出ているところ(住民はヤシ川という)より利用し、いくら島主のお墓でも飲水の上では不衛生的であるから移転して下さるようにとの請願を島役人を通じて琉球王に申し出た。そこで琉球国から墓地の調査に来た。
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これはお爺様が両親や祖父母などから語り伝えられた内容を聞いたまま書き記したものです。
現代風にとらえると、付近の住民といってもかなりの住民がいたわけではなかった感じですので、お墓を移動するくらいなら住民が引っ越しをした方が早いのではないだろうかと私は考えてしまいがちです。しかし付近は城下町(村)で一族や役人関係が多く居住していたと思われますので、生きている住民が優先だったのでしょうね。

ここで1つ私なりの疑問が浮かび上がります。
世之主は北山王の二男でした。お墓の移転を琉球王に請願したということですが、その時の王は中山王です。北山を倒した中山王です。その王統の時(どの王の時か不明)に、墓の移転など頼めるのか?
例えるならば、北山の最後の王の樊安知の墓を、付近の住民が倒した側の第一尚氏の尚巴志王などにに移転の願いが出来るかということです。
そこで移転の請願が出来た理由を考えてみました。

①中山から沖永良部に来た船は和睦の船であったので、北山王の血縁であった世之主の墓であってもそこは問題が無かった。(中山王は寛大であった)

②世之主の奥方は中山の姫君だった。世之主は和睦の船を攻められたと勘違いしたのだから、この奥方の父親は第一尚氏の前の武寧ではないと思ってましたが、実は第一王統の尚思紹王 か尚巴志王の子供だった。それで和睦の船を差し向けていたし、娘の眠る墓の移転も許可した。

③そもそも世之主の墓とは呼んでいるが、この世之主とは北山王の真松千代ではなく、その移転をした時の王統の血縁者の墓であった。よって移転が可能であった。

色々と考えてみたものの、もちろん根拠とする資料や証拠はありませんので、あくまで私の考えです。
しかし、よくよく考えると現在の世之主の墓は和泊町の調査では、お墓が建造されたのは17世紀中旬以降だろうとの判定が出ています。
そうであれば、ウファチジから世之主一家の遺骨を移動させたのもその頃になります。
17世紀中旬といえば1600年代中旬で、薩摩が1609年に侵攻してきた以降の建築になります。島は薩摩が統治している状況下で、北山の血縁者であった世之主の墓の移転をわざわざ中山王(当時は第二尚氏7代尚寧王)に請願するでしょうか?
そう考えると、考察の①②は移転の時期や状況を見ても違うように思えます。

そんなことを考えながら、私は以前に目にした事があった別の話を思い出しました。それは別記したいと思います。

*世之主の墓(ウファ)の調査内容については、Vol.131~134に書いております。

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コメント一覧

yononushi
TM様
メッセージありがとうございます。いつも訪問してくださり、感謝です!
伝承と歴史の挟間の謎解きをしながら調査をしております。あくまで個人の考察ですが、これからも展開を見守って頂ければと思います。
TM
いつも興味深く拝見しております。
ご先祖様探しがどのような展開になっていくのか、とても楽しみです。
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