広州は広東省の中心地で、南中国の最大都市です。
ここは伝統的に「革命揺藍の地」で、前世紀の清朝を打倒した「北伐」もここからスタートしました。
近年でも広州は暴動が過激化する都市として有名で、それは農民工(出稼ぎ労働者)を搾取する工場が近郊に集中しているからです。 広州近郊の大規模暴動
広州駅前の広場では毎晩数百人の農民工が野宿していて、私もよく一緒に野宿しましたが、寝ている間に外套のポケットを切られて財布(10万円入ってた)を盗られてしまいました。
広州近郊には中国で一番大きな「大学城」もあり、10以上の大学キャンパスが集まっています。
中国の大学生はみんな寮で暮らすので、そこは中国で最も多く若者が集中している街です。
前回登場させた胡(フー)もここのOBとし、学生時代は有名企業の御曹司として憧れの的でした。 卒業後も学生をスカウトしによくここを訪れたフーは、大学の名誉理事にもなっており、学生達から「雲の上の存在」として尊敬を集めていました。
そんな中国版オリガルヒと言える彼も、会社が倒産して借金取りから逃げなければならなくなり、仕方なく大学城の学生寮に潜伏します。 彼はまだ30代で、学生の中に紛れ込むコトが出来ました。
そんなフーが曾て遊び半分で救った「闇っ子」、徳流河(ドゥルーガ)の闇社会での活躍を知ったのは、彼女が「再教育中心の解放」の犯行声明をネットで流し、脱走者たちの亡命先での支援事業に賛同金を募ったからでした。
それ以前からも流河の「女子鉄道突撃隊」はネット動画を沢山アップしており、彼女達が火車の自由席車両で女子十二楽坊の「敦煌」の様な曲を奏でる姿は「偉大なる中国の復興」と讃えられていました。 その中でも笛を吹いて踊る流河は一番人気で、「まるで天女のようだ」と評判でした。
胡から再会を望むメッセージを受け取った流河は、数人の「女子」を引き連れて広州大学城を訪問します。
フーはあまり外出したくなく、数人の学生をバス停に迎えに行かせルーガを寮の部屋で待ちます。
2人の再会は10年ぶりで、お互いにスッカリ境遇が変わってしまったコトを語り合います。 この再会の場にはとうぜん学生達や「女子」は席を外し、ルーガは「女子」に学生達と「友達に成るよう」指示を与えます。
ここで2人の話は次回にするコトとし、今回は「女子」の活躍を描きます。
ルーガが連れて来たのは「再教育中心」に職員として潜入していた「女子」数名で、彼女達は指名手配されたので大学城に潜り込ませるコトにしました。
「女子」はみんなまだ20才前後の若さですが、その胆力は周りの女子学生とはケタ違いでした。
学生達も「党」に反旗を翻したフーに付き従う位なので、みんな「志士気取り」の若者でしたが、本物の革命に身を投じた「女子」の話は彼等を圧倒します。
「女子」は学生達を「志士」として持ち上げ、これから共に革命を戦って行く同志としての「契り」を結ぼうとします。 そこにはとうぜんロマンスの香りも漂い、学生達はそうした「女子」の策略にまんまと乗せられます。