モンゴルは草原以外に何も無い国でしたが、近年は鉱山開発によって経済発展を遂げています。
しかしそれは外資に頼った開発であり、一番目立つのはロシア資本で、韓国と日本からの投資も多く見かけますが、中国資本は一切入っていませんでした。
それだけモンゴルと中国は仲が悪いコトが伺え、それは永い歴史的な対立と、内モンゴルでのエスニック-クレンジングと言える現状がそうさせているのでしょう。
わたしはモンゴルには冬場に一回だけ行ったコトがあり、首都のウランバートルはダイヤモンドダストが見られる程の寒さで、普通の靴では足先が凍傷になるのでゴツイ毛皮靴を買わなければ外を歩き回れませんでした。
ウランバートルにはバックパッカーが集まる安宿があり、物価も中国並みに安いので旅するのに問題はありませんでしたが、ウランバートル市の周りには遊牧民のゲルが立ち並んでおり、そうした遊牧民達は仕事にあぶれて昼間から酒を飲んでいて不穏な感じでした。
一度そうした物乞いまがいの靴磨きをする遊牧民に捕まったコトがあり、足を掴んで離さないので仕方なく磨いて貰いましたが、法外な大金を請求されて持ち合わせていなかったので傍の銀行へ行き、てっきり銀行員達はわたしの味方になって適正な値段で折り合いを付けてくれると思ったのですが、彼等は遊牧民に味方してわたしはまんまとボッタクられてしまいました。
この実に面白くない話をしたのは、それだけ遊牧民暮らしを棄てて街に住み着いた人々の暮らしが厳しいコトを語るためで、靴磨きのオジサンにもきっと養わなければならない家族がいたから、あれだけ執拗に食い下がって来たのだと思います。
なので「美の女神パールワティー」のモンゴルに於けるエンタープライズは、こうした遊牧生活を辞めた遊牧民に働き口を与えるモノにしたいと思いますが、現実にはそれは鉱山が担っています。
しかし外国資本の鉱山はモンゴル人労働者を搾取して、環境汚染対策もおざなりにしか行わない傾向があります。 中でも特に問題なのはウラン鉱山で、これはアメリカのナヴァホ族や中国のチベット人コミュニテイーを破壊して来た歴史があります。
そんなウラン鉱山の排水(精製工程で大量に出る)を有効微生物群(EM)で浄化しようと起業したモンゴル人女性が居り、わたしは彼女(ドルジ女史)に話を聞きに行きました。 この微生物による放射性物質を取り込みと、フロック効果(団粒化)による分離技術は確立されており、放射能汚染水の浄化は上手く行っているとのコトです。
これは朗報なので、汚染水をたれ流しにして深刻な環境破壊を生んでいるとチベット亡命政府が告発しているンガパ県のウラン鉱山にも同じ対策を求めに行きましたが、そこは入境規制された山奥で観光客が入れるような場所ではありませんでした。 亡命政府の報告ではそのウラン鉱山は「労働改造所」で、政治犯が強制労働させられていて安全対策などは無く、ナヴァホ族がみんな肺がんになってしまった労働環境よりもずっと酷いとされます。
ナヴァホのウラン鉱山では精製で生じたスラッジ(カス)を建築資材に回したコトでも健康被害が拡大しており、企業というのはムダを減らして出来るだけ利益を上げようとするので、ロシア企業が主流のモンゴルのウラン鉱山でもスラッジの利用は進められています。
しかしそれはドルジ女史曰く農業ハウス用だそうで、鉱山会社はCSR(社会貢献事業)としてモンゴル人の野菜不足を改善するタメに、かなりの規模でハウス農業をやっているそうです。 もちろんそこでは農薬の代わりにEMが用いられて最高級の有機野菜として売られていますが、そうした温室栽培にはかなりのエネルギーを投入しなければならず、採算が合わないのでCSRとしてしか広まらないと言っていました。
因みにウラン鉱石のスラッジは微量の放射線を出しますが、それは植物にとってかえって有効に働くとされます。 この「Plant Hormisis」の研究はかなり進んでおり、放射線により植物が大きく逞しくなるコトは一般にも知られています。 それは地球にまだオゾン層があまり無くて宇宙線がバンバン降り注いでいた頃から植物は繁栄していたタメで、その放射線を利用するように進化したのは自然と言えます。
また更に、農聖テルヒガ(EM開発者、子供の頃から農聖サイオンの生まれ変わりと讃えられる)曰く、EMの中核である光合成細菌が持つカーボン-マイクロ-コイルによって、直進的で破壊的な放射線はらせん状の育成波動的に変換されるので、EM処理した放射性スラッジは建築資材としても有効利用できるとしています。
これはまだ科学的な証明が十分に成されていませんが、近未来の物語ではモンゴルのエンタープライズとして「健康になる家」の資材を生産するのも考えられます。
今回はパールのブログに入れませんでしたので、次回に台湾資本の農業振興プロジェクトを彼女が監督するストーリーで語ります。