筑紫文化財研究所

筑紫における歴史的文化の探求と漫遊

初めての「ガンダム」山笠

2024-07-01 20:05:07 | 山笠

2024年の博多祇園山笠で上川端のヤマが見送りでガンダムを採用!
標題は「ガンダム博多迅雷伝」。人形師は田中勇さん。
マスコミが挙って取り上げています。

「長い祭りの歴史で初めて、ガンダムの山笠が街なかを疾走します。」
「放送開始45周年を迎えた「ガンダム」の戦闘シーンがイメージされていて、
人気のνガンダムなど初めてガンダムの人形が飾り付けられました。」

前者の記事はその通り。
後者は間違っています。


シリーズ第1作「機動戦士ガンダム」が1979年4月から放送開始。
その年の今は無き野間アピロスのヤマが初めてガンダムを採用しました。
標題は「宇宙戦ガンダム」。人形師は九十九宏明さんか。
45年を経てのガンダム登場! が、正解です。


2022ヤマ褒め11 番外 櫛田神社

2022-07-22 21:40:20 | 山笠

番外 櫛田神社 飾り山 表 
「義経千本桜」
人形師 中村 信喬

ここ数年、中村親子で表と見送りを奉納されている。
境内のヤマは他のヤマに比べ山小屋の高さがやや高い。
ゆえに小さな人形を上げると、さらに人形が小さく見えてしまう。
ここでもプリントの波や浪花、岩瘤、松や桜が多用されるが、
天神1丁目や中州とは違い、ここのヤマだけ伝統的な竹骨に紙を張った波や岩瘤が一部使われている。
さすがに境内の御神前では全てを印刷物にできない、ということか?
ここのヤマは来年6月まで見ることができる。
綺麗なのかも知れないが、ヤマ好きとしては決してお見事!とはいうことができない。
残念



番外 櫛田神社 飾り山 表 
「義経千本桜」
人形師 中村 弘峰




2022ヤマ褒め10 5番山笠 中洲流

2022-07-20 19:33:46 | 山笠


5番山笠 中州流 飾り山 表 
「五条牛若丸弁慶」
人形師 中村 信喬

撮影当日のヤマの前に現れた6名ほどの小父さん達、
長法被着用の自粛によりフォーマルで揃えてやや一杯気分のヤマほめの一団。
「なに?アクリル板?」
「なんが?」
「波やらたい!」
「5体上がっとうとよね?」
「こまかぁ」
「これ信喬さん?!」
「シー!!」
中州の当番のおにいさんがギロリ・・・
昨年も天神1丁目でビックリしてがっぱししましたが、
ヤマのぼせの正直な感想とお受け止めください。
波や波花、岩瘤、松はほぼデジタルで作画したプロッター出力のものかと思われ、
同じ印刷物をコラージュして貼ったようにしか見えません。






5番山笠 中州流 飾り山 見送り 
「浦島太郎噺」
人形師 溝口 堂央

こちらは信喬のお弟子さんの作ですが、
王道の伝統的な手法で製作された波や岩瘤で構成されています。
子どもの骨格に多少違和感を覚えるほか、
波の並べ方に流麗さよりも無骨さが感じられますが、
やわものですがかえって力強い若さを感じさせます。

2022ヤマ褒め9 12番山笠 福岡ドーム

2022-07-18 19:48:57 | 山笠


12番山笠 福岡ドーム 表 
「奪取 玄海鷹」
人形師 田中 勇

福岡ドームのヤマは昨年まではドーム外の屋外で小屋を建てて仕立てていたが、
今年からはドーム横のMARK IS 福岡ももちのショッピングモール2階のメインフロアに初めて建てられた。
小屋無しだが真横にエスカレーターがあり、空間としては一定の制約がある。
真上までエスカレーターから山笠を至近で見ることが出来、人形師にとっては気が抜けないだろう。
ドームの野球選手は着物を着せない分、人体の基礎的表現が出来ているか試される難しさがある。
藤本監督、甲斐、千賀、柳田とハリーホーク、ハニーホークのキャラクターが登場。
実在の人物、キャラクターの造作では田中氏は博多駅見送りでの実績があり抜擢か。



12番山笠 福岡ドーム 見送り 
「決闘巌流島」
人形師 川崎 修一

今年は千代町の飾り山がキャンセルされ、昨年までドーム見送りを担当された三宅隆氏がなくなったこと等から、
川崎修一氏が担当されたものと思われる。スタッフはキャナルと同じ野田祐輔、光石貴、川崎高歩氏か。
斜め構図の人物と波の配置で武蔵が跳ね木で前に飛び出して飾られ、立体的な飾りになっている。
豪快な波花の間から銀玉の飛沫が表現されているのは博多では川崎氏のヤマだけ(黒崎などのヤマでは多用される)。
堂山のため頂部の処理は、見学者が目の当たりにでき、表と見送りで作者が異なるため課題が残る。


2022ヤマ褒め8 9番山笠 博多リバレイン

2022-07-17 15:21:53 | 山笠


9番山笠 博多リバレイン 表 
「西国無双忠節誉」
人形師 生野 四郎

山小屋を建てない方式の飾り山で、中太にならず上に従って幅を逓減させる形となっている。
人物も上に従って大きさを減じる計算で製作されている。
人形も屋形も波も岩瘤もごく精緻。
ご高齢のため多作せず、このヤマに集中して製作されているらしい。
置鮎与市氏のヤマつくりの系譜のため人形の顔が江戸風で端正。これぞ至極の伝統工芸。
武者の頭は今主流のスチロール切り出しでなく、伝統的な紙芯のパテ盛り足しによるものと思われるが、
生野氏のものは玉眼ではないのが一つの特徴。手も藁芯の盛り足しか。
四方ヤマの体で側面にも波や岩瘤で装飾され表と見送りがつながっている。








9番山笠 博多リバレイン 表 
「天晴桃太郎」
人形師 生野 四郎