竹久夢二風の大正モダンスタイルの博多人形です。
コレクターの方から依頼を受けて右足の欠損を修復してみました。
補修は欠損した部分を粘土で整形して焼成後に貼付する方法がありますが、
焼成による収縮と多方向の歪みが発生することから効率が良くありません。
使用した補修材に歯科用石工や第一合成社のクレイテックスなどを試しましたが、
ゲル状の物質を固化させて後に彫塑する方法では本体と接したままでの作業となり、
本体のダメージを避けるためには型どりしたモデリング原体を作成する手間が生じました。
そこで今回は日清アソシエイツ社のマイネッタという石粉粘土を使用しました。
粘土を少し練ってやや硬い状態にしたものを大雑把に指で成形し、それを欠損部に充てます。
ポックリやつま先の大きさ、角度を本体にあわせて修正します。
補修部分を本体から取り外して、2時間ほど自然状態で乾燥させ、
固化する少し前に再度本体の欠損部分に強く押し充て、細い工具で
補修部位と本体との隙間の調整をおこないます。
硬く固化する寸前では多少の可塑性が残っているため
石粉粘土にはこのような最終調整ができる特性があります。
あわせて軽く表面に水を含ませて表面の仕上げ調整(滑面化処理)をおこないます。
乾燥の過程で収縮や歪みが起こらないことが最大の利点です。
彩色にはアクリル系絵具のリキテックスを使用しました。
下塗りのホワイトを乾燥させながら二度塗りします。
この時、足袋の割れ目など成形時のディテールを潰さないよう気をつけます。
ポックリはオリジナルのオレンジを出すためにカドミュームイエローに
水性絵具の赤を少量ずつ混ぜて色を近づけていきます。
あらかじめ用意した粘土の乾燥状態のサンプルに彩色して
色の載り具合を原体と比較しながら濃度を調整します。
オリジナルのポックリ表面の光沢には透明ニスを上塗りします。
こうして完成した補修部位を木工用ボンドで本体に接着して完成です。
本日、福岡市博多区上川端に福岡市が指定管理者制度で運営する
「はかた伝統工芸館」が開館しました。
午前9時40分より冷泉公民館でオープニングセレモニーがあり
福岡市の高島宗一郎市長が挨拶し、九州新幹線開業にあわせ
能動的にはかたをアピールする戦略拠点として最も期待する
施設であることが述べられました。
10時10分には館の正面玄関でテープカットがおこなわれ、
来賓をあわせて150名近くの参加者が館内を見学しました。
(博多織工業組合理事長寺嶋貞夫氏の解説を受ける福岡市長
・・・ネクタイも新柄の博多織としかり気遣いが感じられる)
福岡市が博多区上川端にある旧冷泉小学校の一角に
指定管理者制度で運営する「はかた伝統工芸館」が
平成23年4月7日に開館することで準備が進められています。
展示には博多織、博多人形、博多張子、博多曲げもの
博多鋏(はさみ)、マルティグラス、筑前博多矢などがあるようです。
櫛田神社の北隣にあり、新博多駅開業に合わせた博多観光の
あらたな拠点とする企画のようです。