山笠の飾りに変化が見えています。
今年びっくりしたのは中村信喬さんの天神一丁目の山笠です。
飾り山の装飾である「岩こぶ」がデジタルで作画され、
厚紙に印刷された立体組み立て式のパーツとなり、
これもまた印刷された「川」「波花」「雑木」「雲」「道」
と組み合わせたモジュールとして演示されていました。
2012年頃から天神一丁目や中州、櫛田神社の飾り山で、
砕け散る波頭を表現した「波花」に印刷もののような
同じ意匠のパーツがあり気になていましたが
今年ついに背景がほぼ印刷ものになってしましまいた。
造形の揺らぎがなく手仕事の良さが全否定された感があり、がっかりしました。
ヤマに違和感を感じた方は少なくないと思います。
真摯な手仕事にこそ神が宿るのではないでしょうか?
デジタル出力でよいなら人形師でなくイベント会社でも安価で請け負えると言われそうです。
コロナでなくてもクライアントさん達は売り上げが減る中で山笠に出資をできなくなりつつあり
協賛を取りやめる判断をしたり、出資を減らしたりする中で今年のヤマが成り立っています。
今年、上川端ではデジタル3Dのヤマが演示され注目されています。
新しい流れは必要ですが、手仕事を捨てた先の
人形師(伝統工芸士)の立場が危うくなることを強く心配します。
博多のヤマ好きの間で大いに論議してほしいものです。
2011年の天神一丁目「尊氏多々良浜誉」中村信喬作
まだ迫力と立体感のあった頃の信喬さんのヤマの飾り