2番目に欲しいものを探しに大きい街へいきました。
腕時計です。
小さい文字盤は針だけ。
やたら長い革製のバンドは細く二連に。
留め具はゆるいのですぐはずれてしまう。
去秋に行った飲み屋で亡くしてしまいました。
その飲み屋には何度か出向いて探したのですがありません。
飲み屋で亡くしたのではなく帰りのセンター街あたりで亡くしたのかもわかりません。
どちらにしろ絶望的であることに間違いはありません。 . . . 本文を読む
小さい頃から自転車が絶対の交通手段だった。
自転車こそ世紀の大発明だと思う。
2人乗りにはたくさんの思い出がある。
まだ我が家に乗用車が来ていなかった頃。
保育園に送迎するため、地元を走りとおした2年間。
前に弟、母の背中に妹、ハンドルを握る母、後ろに私。
気候のいい季節は、手をつないだ4人が林の中を歩いていた。
高校から駅までの長い道。
スカートがめくれないように、それでも豪快に。
彼 . . . 本文を読む
渋谷の街は眠らない。土曜日、23時。
ハチ公前は相変わらず人でごったがえしてて、犬の姿がみえない。
待ち合わせ場所の意味を成してない。
スクランブル交差点。
所在なげに大スクリーンを眺める。
酔っぱらう若者。
路上の段ボール。
足早に歩くサラリーマン。
駅に向かう人より街へ出る人のほうが多いんじゃないか。
交差点を渡った人々はセンター街に道玄坂に吸い込まれていく。
吸い . . . 本文を読む