『あさが来た』7週、「だんなさまの秘密」の長文ネタバレ感想まとめ。
朝の九州場所!!
惣兵衛帰還のシーン、『あさが来た』始まって以来で一番泣いたと思う。
関連リンク
・『あさが来た』6週、明治のビジネスウーマン・白岡あさの決心。
・『あさが来た』5週、お姉ちゃんの笑顔、惣兵衛の笑顔、あさの笑顔。
・『あさが来た』4週、時代の変わり目、姉妹の底力。
『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■炭坑編はじまる
「そんな、『なしか、なしか』言われてん、分からんもんは分からんたい。
昨日今日あげんと歩かされたんは初めてやけ。ちょっと休ませてもろてよかろうか」
すっかり根を上げる支配人・宮部。
「昨日今日」と言っているあたり、やはりあの場所で野営したんだろうな。
これが「なしかぁ~なしかぁ~言われてぇ~ん、わからんたぁ~い」と日本昔ばなしな息遣いで、大爆笑。
ところがどっこいこれがあさのスイッチを入れてしまいました。
「半年寝てろや」
「壊しちゃったテヘペロ」
「日本語でおk」
「働かないとかww」
煽っていくタイプのヒロイン(違う
■九州場所、トトン
あさは 引き戸を 押し倒した。
視聴者が心配してるのは炭坑夫たちと小鳥さん。
(ヒロイン兼ヒーロー)
小鳥さんは、ガスに敏感。
坑道での作業中に有毒ガス発生をいち早く知るのに必要な「検知器」です。
ピヨピヨ言わなくなったら危険!やばい!逃げろ!ですね。
(オウム真理教事件のカナリアなんかも有名)
あさが話をつけようとしたのは、山崎銀之丞さん演じる親分。
「うちは白黒ハッキリせえへんかったら、気の済まへん性分だす」
「山の男は筋の通らんことは何があってもせん」
あさと親分は似ている気がする。
他の炭坑夫たちもなかなかの荒くれものだけども、みなさん盛大に勘違い。
目の前にいるその若奥さん、パッと見かいらしいけど、中身は男っていうか怪獣猛j以下略
ただのお転婆娘の女性経営者だったら尻込みする状況なんだろうけど。
新選組のときに強く立ち向かうことを覚えて、加古部屋や玉利さんちでさらに鍛えて、九州で本領発揮。
あさ本人の中ではそんなことの積み重ねで炭坑編があるのかも。
あさ「もう何やの!」
亀助「あきまへんあきません、奥さん殺ったらやったらあきまへん、それだけはあきまへん」
宮部「そうたい。奥さんが怪我でんさせてん奥さんに怪我でんさせてん、支配人の命も危ないですけん支配人の落ち度にされますけん」
■突撃、隣のお姑さん
そのころ、惣兵衛失踪の眉山一家では。
「私なぁあんたの子守なんかせぇへんさかいな~」
「何やってんの?それ。何やってんの?」
「お父ちゃん消えてしもたやないか」
はつが見てないときに藍之助をあやして、はつが声をかけるとびっくりしてしかめ面を作る。
藍之助とふたりだけになると子守しないとか言いながら、しっかり語尾で遊んでる菊さん素敵だわ。
菊さんももう守るものがなくなり、救われたのかもしれない。
茣蓙の上に着物で横になれば眉山家の希望・藍之助と同じ目線になれる。
そこで気づく惣兵衛への思いと刃物を向けられたことへのショック。
そんな菊さんの心情を目だけで演技する萬田さんさすがだ。
そこへやってきたのが、加野屋の姑・よのさん。
あわてて充電スペースに隠れる菊さん。
「暮らしてるってここに?!」
「もうこら人の住むところやあらしまへん」
「こないなところで育てられるやなんてなぁ、ふびんな子やなぁ」
柔らかくてお上品な言葉づかいで悪気なしにディスってくよのさん。
新たなナチュラルいけず、四天王入り間近か。
顔を見ずに背中で芝居しあってる萬田久子さんと風吹ジュンさんがすごいな。
「女手一つで育てられるやなんて、なあ。新やのうて…」
「藍之助だす」
女手一つなんかじゃない。
栄達さんや菊さんがあやしてくれている。
それにはつの心には惣兵衛がいて、帰ってくるのを信じてる。
そんなはつのぎこちない笑顔。
「ほんまのお母ちゃんと思ってくれはってよろしいのや」
先週の栄達お父さんと同じ言葉。
でも栄達さんのそれとよのさんのは重みが違う。
山王寺屋が潰れていく過程は陰惨に思えたけど、結果として家庭的にはよかったのかもなあ。
そんなよのさんとはつの会話を聴いていて、菊さんが……
米のない納屋にネズミがいるはずないのに、ネズミの真似をしてよのさんを帰らせた菊さん。
背中でやりとりする「いけず」の応酬。
菊さん、ネズミ語で「ほんとのお母ちゃんと思ってくれていい」って言ってるんじゃなかろうか。
無事によのさんをおっぱらった菊さんとはつ。
昔惣兵衛が大好きだったというお菓子(よのさんがお土産に持ってきた)を頬張って「懐かしい」と笑う菊さん。
菊さんの気持ちは充分わかったけど、いつか惣兵衛とはつにきちんと謝ってほしいな。
(きっとそのとき栄達さんがいい仕事するんだろうな)
菊がはつを蔵に閉じ込めたとき「理由なんてなにもない。八つ当たりだ」と思ってたけど、
ただの八つ当たりでよかったと今になって思う。
どのタイミングかはわからないけど、はつはそれに気づいて許せる本当に強い女性なんだなあ。
私の中で今、「蔵の鍵を開けたのは菊さん」説がぐいぐい来ていたりする。
発作的なものだったし、ふてくされながら何も声はかけないで開けたのかなとか。
もし直接はつを井戸に落としていたの菊だったら、今日の描写はなかったかもしれない。
なんだこのいいさじ加減な人物設定。
はつが笑顔を取り戻したのはあさのおかげ。
共に生きることを知ったのは惣兵衛のおかげ。
支えられてることを知ったのは新次郎のおかげ。
前向きに生きる大切さに気づいたのは栄達のおかげ。
様々な表情を取り戻せたのは菊さんのおかげか。
はつをめぐる人たちが人間臭くてとてもいい。
■山の神
「炭坑っちゅうのはのう、いつだって死ぃと隣り合わせっちゅうこったい!そげんこつも知らんでバカ女が」
山崎さんのしっかりしたお声にめちゃくちゃ目が醒めた。
親分、提灯持って炭坑に入ったあさを大声で呼び止め外に顔をペシン。
炭坑に火を持って入ったからか、それとも一酸化炭素か、または山のしきたりか。
このさい全部か。
いずれにしてもここはあさがよくない。
親分最後のほう少し涙ぐんでる感じに見えたけど、炭坑で何かあったんだろうな。
死と隣り合わせの仕事。
それでも掘る仕事。
「すんまへんだした!」
「俺に謝るな。山の神様に謝れ」
親分の考え方かっこいいな。そんな危険な職場だからこそ、神様に祈って誓う。
親分がこんなこと言えるのは、親分が本当には山の男だからなんだろうな。
ほんでもってあさのいいところは、すぐに謝れること。
これが清々しい。
■五代さんの贖罪
↑
さっきから登場している炭坑夫たち同様この方も光輝く九州男児です。
五代さんに関して、どこからつっこめばいいのかわからない(全力で褒めてる)
「あれ、五代さんと山王寺屋、はつって面識あったかな?」と思ったら、そういえばあさが言っていました。
ちょうどはつ一家が行方不明になっていたとき。
「山王寺屋をつぶしたのはあんたらや!」
新政府樹立の混乱に犠牲となった人々の人生を救う。
未来のためにも大阪開発に力を注ぐ。
山王寺屋のような没落した商家を救いたい思いなのかもしれない。
■「らしさ」とは。
「うちはそないなほんまは自分の考えもなしに日和見を決め込むお人が一番苦手だす」
激動の幕末の大阪を生き抜いた忠興パパや正吉さん(菊さんも)を見てるあさ。
九州に来て、炭坑に命を懸けている親分たちに出会ったあさ。
だからこそ日和見主義の支配人・宮部の態度に腹が立つ。
「お願いだす、もういっぺんみんなと話さしとくなはれ」
親分、黙ってあさを見据えて。
あさがきてからのこと考えれば「ただのおなごじゃない」と勘付いてるかしら。
中の人たちの目力が強いからなんかドキドキする。
「男らしいってなんだっしゃろな?」
あさ/はつの裏テーマに新次郎/惣兵衛の対比があり。
惣兵衛の一時退場に伴って浮上した炭坑の男たちが『男らしさ』を改めて突き詰めてくるのか。
ほんでも、あさの話を聞きながら器用に針仕事こなす亀助さんが一番男らしいと思うよ。
■押し倒す/押し倒される
あっ、ふ久に押し倒されてた諸岡くんがあさ押し倒してる。
(『ごちそうさん』で泰介の先輩で、ふ久の旦那さんになる諸岡君も演じてた中山義紘さん。あの『諸岡君を複製したい』の諸岡君)
改めて中山さん、ふ久といいあさといい、とんでもないのを相手に闘うんだな。
■がんばれ、あさ。
本当はあさはとっても心細いんだと思う。本当は新選組のときみたく膝が震えそうなんだと思う。
でも、五代さんのくれたピストルと大阪で待ってる旦那様や加野屋が守ってくれる。
そんなことを改めて決心を固めたあさの目が頼もしい。
がんばれあさ。
「おなごやいうてなめたらあきまへんで!!」
「うちは何が何でもこの炭坑を成功させる不退転の気持ちで大阪か来たんだす。
この決心をわかってもらい、石炭掘ってくれはるてしっかり約束交わすまで決して大阪へは帰りまへんよって!」
月明かりのせいか、涙を堪えてるようにも見えるあさ。
平成の今でも20代女性が大勢の男性目の前に「女だからってバカにすんな」と声を張り上げるなんて怖いだろうに。
あさの時代だとより一層の怖かっただろうな。
がんばれ、あさ。
それから炭坑夫があさを押し倒し、さすがに観ている方もハラハラしてきて。
まさにそのタイミングでピストルが胸元から落ちて暴発。
九州にきてから意味深に眺めてるシーンは何回かあったけれど、こんな形で登場するとは予想外。
新選組がやってきたとき、「刀と信用は真逆のもの」と言ったあさ。
ピストルの暴発のお陰で(?)坑夫達が明日から働くと言い出したこと、嫁さん達が「夫を殺さないで欲しい」と懇願しに来たことに納得してないのは当然だろう。
「これじゃない」と。
■時代の底に届いた光。
あさに大変なことが起きていたそのころ。はつのほうも大きな動きがありました。
泥塗れの惣兵衛。顔面泥だらけ、ヒゲも泥だらけ。
逃げることに強い痛みを感じて短くうめいて。
こみ上げてくるのははつや家族への思いか、自責の念か悔しさか。
『渇いた笑い』が見ているだけでも心が痛む。
背景の暗闇は惣兵衛の心情、背中にあたる光は次に現れるはつの象徴か。
「なんでそないに自分を痛めつけはるんだす」
「なんでお前がこないなとこに…」
はつが現れた瞬間に目の色を変える惣兵衛。
暗かった瞳孔に光が戻った。
はつは表情変えずに。
「あなた様を迎えに来たんだす」
はつを見た瞬間、惣兵衛の目にすっと血が通うかのような目の演技。
全てを表情と短い台詞だけに込める柄本佑って本当何者。
はつが惣兵衛の手を引く。
かつて井戸に落ちたはつを惣兵衛が助けに降りたように、時代の底、人生の底に落ちた惣兵衛を今度ははつが救い出す。
幸せだったお日様の下へ、ふたりで走る。
井戸の回とリンクしてるんだな…
「わしが消えたら、お前もいてへんようになるって思てたのに」
「お家が潰れたんも、お前にあないな暮らしさせたんも、全部わしのせえや」
惣兵衛が姿を消したのははつを想うが故。
自分に対しては「消える」と言うけど、はつへは「いてへんようになる」って、言葉を選ぶのは惣兵衛の聡明な優しさか。
惣兵衛のせいじゃない。
時代のせい、新政府のせいだ。
昨日五代さんをはつに会わせて、あさの怒りを思い出させて、それから今日の惣兵衛のこの言葉。
「あの時ほんまは楽しかってん」
「あの時何でかほんまに楽しかってん」
『本当は楽しかった』から『本当に楽しかった』。
一文字違うだけで惣兵衛の心情はまるで違う。
表情映さないのずるいぞBK(褒めてる
でも背筋伸ばして凛と立つはつの全身を映すのもいいぞBK
「土が温こうてなぁ。
お日さん眩しうてキュウリが美味しいて。
誰の前でも気取ることあれへん、ああこれが人の世だったんやて…」
横顔の小さな目小さなで語る惣兵衛。表情和らぐはつもあのときのことを思い出してるのか。
「それやったらよろしやんか。そやのに何で逃げるようなこと…」
涙をこらえきれない惣兵衛を叱責するでもなく愛を語るでもなく。
そっと側に座って肩に手を添える。
この夫婦のこの状況下でのこの距離感、真に迫るものがあるなあ。
それにしても、許婚チェンジは当人であるあさとはつは受け入れられたけれど、むしろ周りの惣兵衛やよのさんらに影響を及ぼしている。
「もし加野屋/山王寺屋に嫁いでいれば」と「もしあさ/はつじゃなかったら」が交錯してる。
「お前にもう、一生得意な琴も持たしたらへんいうのに、何でわしが笑て生きてられるんや」
山王寺屋のお屋敷、お琴を弾くはつは寂しげに映っていたけど。
画面の外で聴き入っている惣兵衛がいた。それをあえて映さなかった上手さよ。
ていうか宮崎あおいと柄本佑、ほんと何者。
■再会、再生
「今更ええ旦那様になろうやなんて思わんといてくなはれ。ええお父ちゃんになってください」
藍之助を父・惣兵衛に会わせることができたはつの言葉が心強い。
はつの想いを今度はしっかり受け取る惣兵衛。
決して悪い旦那様ではなかった。
守りきれなかっただけだった。
だから今度は絶対に守る、そんな惣兵衛の決意の伝わる目線がもう。
惣兵衛、栄達さんと菊さんと再会。
栄達さん驚いてうまく息を吸えないように「惣兵衛…?」
菊さん初めて納屋から飛び出し「今更何しに帰ってきた?!」と涙目で。
父母それぞれのおかえりが暖かい。笑顔で少し涙腺ゆるみながら惣兵衛はただいま、と。
姿消してしまったことも、刃物振り上げたことも、お家守れなかったことも、「堪忍な」と。
「いつか殺してやりたい」と言っていたお母ちゃん、
本当に刃物を振り上げたお母ちゃん。
能面、貧乏ゆすり、蔵事件。
菊惣兵衛親子はきっと本当は根深かったんだと思う。
でもお家がなくなったことで、絡んだ根も一気にほぐれた。
時代が変わり、生き方が変わること、それは人が変わること。
惣兵衛が殺したかったのは、母親に逆らえず何もしようとしない自分だったんだろう。
時代が変わり、立場も変わり、惣兵衛は母親に逆らうことを選択した。
あの日、ナイフの刃は菊ではなくはつに刺さってしまったけれど、惣兵衛と菊の心の中ではお互いに刺さり合った。
決して見せはしなかったけれど、2人ともたくさんの涙を流して一度死んだんだろう。
眉山家が変わるきっかけになったのがはつだったんだろう。
力強い父、優しい母、暖かい祖父、それから笑顔の妹の中に育てられた聡明なはつだから、眉山家を変えられた。
どちらのお家もいかに人が「育てられるか」ってことを思い知る。
それにこのパターンだと「藍之助が家族のきずなをつないだ」みたいな展開になりそうだけど。
惣兵衛自身が子どもに帰ったように、『親子の再会を大人たちで再現した』ってのがいい。
それにしても…
・五代さんとの再会で「誰も悪くない。仕方ない時代だった」と再認させる。
・ネズミで視聴者に菊さんを許させる。
で、そこからの惣兵衛との再会とは。
なんなの?1週間の使い方うますぎなの?
なんなの?手のひらで踊らされてんの?
……これ15分の朝ドラだよね?
精神と時の部屋にでも入ったかのような、15分の満足感。
ああ、いいもの食べた。
■来ちゃった
そんな感動の木曜日だったのですが、ラスト30秒。
シーンは九州に戻りました。
「来てしもたがな」
感動の再会を、新次郎のあほぼんで〆る。
涙では終わらせるもんか、笑わせてやる、そんなスタッフの気合が一番すごい。
ずっと旦那を出せと言っていた炭坑夫らなので、もちろん若旦那・新次郎いは興味津々。
「あげな気性の激しい嫁さんの手綱ば握っちょう男じゃ。どけに恐ろしい顔が見に行っちみるか」
と意気込んで覗いてみたはいいものの。
親分「……??」
渋くかっこいい炭坑夫な親分すらも笑い要員にしてしまう新次郎、ああ恐ろしい。
■雁助さんとうめのフラグ
社内恋愛か。
■大福はピストルよりも強し
あさの武器はほっぺの大福餅。
優しさと厳しさを併せ持って石炭と坑夫たちがどれほど大切か説明、使うのはピストルじゃなくてピストン。
「口の立つおなごだ」と納得してもらう一連の流れがうまいんだよなあ。
3週の新選組登場は「あさと新次郎の関係の変化」に繋げるだけじゃなくて「あさの武器は何か」へも。
その前の1週におじいちゃんが子あさに「おなごのやらかさ」を説いてるのがすごい。
つなげたのか、つながったのか。
「一番偉いのは山の持ち主でも支配人でもだれでもない。現に山に入って石炭とるあなた方だす」
「一番偉いのは経営者でもなく現場の最前線に立つ人間」
そんな言ってくれて「実」が伴う経営者がいたら、頑張れるだろうなって思う。
■そこにいるのは怪獣さんだ
で、「それでも納得いかないんならもう相撲で決めよう」とあさ。
じゃあ誰がする?どうする?となったとき。
ダチョウ倶楽部を朝ドラで見る日がくるとは。
「こんバカたれが!おなご投げ飛ばしてどげするとか!
そげなもんクソの自慢にもならん!お前らいつからそげ腰抜けになったとか、こら!」
親分の腹から出る声で目が覚める。
ガチにおいこらされてそうな諸岡くんよ。
なんのかんので大好きな相撲となると楽しんでそうなあさが素敵。
あさの「おなごらしい強さ」を表すのに、柔軟性が肝心な相撲に焦点当てるのいいなって思う。
※亀助と新次郎が心配してるのは親分です(多分)
■九州場所!!
で、対戦相手はこの人。
「なして俺っち……」
そ の 発 想 は な か っ た !
「山の男は女子と勝負しない」という道理を通すため、山の男ではなく一番弱そうな宮部を選ぶ親分。
あさの提案を無視することなく、自分らのプライドも曲げずに、ちゃんと筋を通すところ。
ああこれが九州男児か。
お相撲好き、朝ドラ好きとしてはご褒美すぎるガチな相撲シーン
勝昭「あさちゃん粘ったね。そこからの喉輪での押し返し、右四つからの下手投げ。
うんうまい、うまいね。身体の柔らかさが生きてるね」
(そんなこと言ってません)
ちなみに勝昭さんも「あさが来た」を御覧になっているようで。
先日のリアル九州場所の解説、「びっくりぽん」を使っておりました。
宮部に肩入れでもなく、かといってあさだけを応援するでもなく。
観ている側が自然と本気で楽しむ。
土俵の上ではそれまでのいざこざは抜きにして、純粋に楽しむ。
見ていて気持ちのいいシーンだなあ。
こら伊作、顔
■信頼を得るまで
あさの勝利に喜んでる奥さんたちいいな。
この作品、頑張る女性たちが純粋に輝く瞬間ってのを逃さない。
だからあさもはつもみんな「頑張れ!」って言いたくなる。
ピストルという武器ではなく、大阪商人のキャリアでもなく。
あさの大福みたいな柔軟性、言葉や根性が坑夫らの硬い硬い石頭を納得させた。
今週1週間、腹立つ宮部から丁寧に描いてくれたから「信頼」って言葉に違和感ないんだなあ。
共に働く親分夫婦もまた夫婦の形。
様々な夫婦の形が描かれるのもまたいい。
こういう周りの人たちと繋がりが「白岡あさのサクセスストーリー」っていう一見単純な構図を、より面白くさせてるんだなって今更実感。
■新次郎の秘密
番傘開くときとも駕籠から降りてきたときともまるで違う新次郎が明かす秘密。
もう話さなくちゃかな、と腹をくくったのか目元も口元も笑えてない。
新次郎にとって本当に辛い思い出で、今でも心に刺さってるんだろうなあ……
昨日うめが雁助さんに尋ねてたのもしっかり回収。
20年前の秘密を知ってるのは、正吉父ちゃんと雁助だけ。
しかしここを雁助さんに喋らすとは、前に番頭さん漫才で出てきたバツイチの話が生きてきてるなあ。
「お金いうのは恐ろしいで」
新次郎はそんな思いがあったから、田舎暮らしで笑顔を取り戻した惣兵衛はつ夫妻にまた格別な思いを持っていたのかもなあ。
お金がないことは人生にどう影響してくるか。考えさせられる…。
雁助さん「加野屋で働きたい」ではなく「旦さんの下で働きたい」とな。
正吉さん不老不死じゃあるまいし、いつか亡くなるシーンがあるとは思うんだけどそうなったら雁助さんどうするんだろ。
■まだ何かあるな
炭坑きた→話聞かない→ピストル→駕籠できた→相撲→旦さんの秘密、
この1週間こんな感じで進んできたあさ炭坑編ストーリーラインに長塚さんが登場。
炭坑編、まだまだ一悶着ありそうな予感。
小鳥をしっかり映してるのも嫌な予感、あと親分の過去とか。
つか新次郎の秘密は、てっきりお兄さんの正太郎さん関連かと思ってたら違うのか。
「自分が死ねばよかった」くらいのこと言っちゃうから、こりゃ相当闇深いなとは思ってたが。
えっあっあっ!
二段階?二段階か?!「旦那さまのひみつ、その2」なのか?!(゜Д゜)
■おじいちゃん
あさに「柔らかさ」を一番最初に話した忠政おじいちゃん。
囲碁の相手がいなくて、画面左が大きく開けてるのがさみしそう……
本当に奥行きのある画面。
そんな忠政おじいちゃんが……
それではまた来週。
(来週は多分個別に画像アップします)
朝の九州場所!!
惣兵衛帰還のシーン、『あさが来た』始まって以来で一番泣いたと思う。
関連リンク
・『あさが来た』6週、明治のビジネスウーマン・白岡あさの決心。
・『あさが来た』5週、お姉ちゃんの笑顔、惣兵衛の笑顔、あさの笑顔。
・『あさが来た』4週、時代の変わり目、姉妹の底力。
『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■炭坑編はじまる
「そんな、『なしか、なしか』言われてん、分からんもんは分からんたい。
昨日今日あげんと歩かされたんは初めてやけ。ちょっと休ませてもろてよかろうか」
すっかり根を上げる支配人・宮部。
「昨日今日」と言っているあたり、やはりあの場所で野営したんだろうな。
これが「なしかぁ~なしかぁ~言われてぇ~ん、わからんたぁ~い」と日本昔ばなしな息遣いで、大爆笑。
ところがどっこいこれがあさのスイッチを入れてしまいました。
「半年寝てろや」
「壊しちゃったテヘペロ」
「日本語でおk」
「働かないとかww」
煽っていくタイプのヒロイン(違う
■九州場所、トトン
あさは 引き戸を 押し倒した。
視聴者が心配してるのは炭坑夫たちと小鳥さん。
(ヒロイン兼ヒーロー)
小鳥さんは、ガスに敏感。
坑道での作業中に有毒ガス発生をいち早く知るのに必要な「検知器」です。
ピヨピヨ言わなくなったら危険!やばい!逃げろ!ですね。
(オウム真理教事件のカナリアなんかも有名)
あさが話をつけようとしたのは、山崎銀之丞さん演じる親分。
「うちは白黒ハッキリせえへんかったら、気の済まへん性分だす」
「山の男は筋の通らんことは何があってもせん」
あさと親分は似ている気がする。
他の炭坑夫たちもなかなかの荒くれものだけども、みなさん盛大に勘違い。
目の前にいるその若奥さん、パッと見かいらしいけど、中身は男っていうか怪獣猛j以下略
ただのお転婆娘の女性経営者だったら尻込みする状況なんだろうけど。
新選組のときに強く立ち向かうことを覚えて、加古部屋や玉利さんちでさらに鍛えて、九州で本領発揮。
あさ本人の中ではそんなことの積み重ねで炭坑編があるのかも。
あさ「もう何やの!」
亀助「あきまへんあきません、奥さん
宮部「そうたい。
■突撃、隣のお姑さん
そのころ、惣兵衛失踪の眉山一家では。
「私なぁあんたの子守なんかせぇへんさかいな~」
「何やってんの?それ。何やってんの?」
「お父ちゃん消えてしもたやないか」
はつが見てないときに藍之助をあやして、はつが声をかけるとびっくりしてしかめ面を作る。
藍之助とふたりだけになると子守しないとか言いながら、しっかり語尾で遊んでる菊さん素敵だわ。
菊さんももう守るものがなくなり、救われたのかもしれない。
茣蓙の上に着物で横になれば眉山家の希望・藍之助と同じ目線になれる。
そこで気づく惣兵衛への思いと刃物を向けられたことへのショック。
そんな菊さんの心情を目だけで演技する萬田さんさすがだ。
そこへやってきたのが、加野屋の姑・よのさん。
あわてて充電スペースに隠れる菊さん。
「暮らしてるってここに?!」
「もうこら人の住むところやあらしまへん」
「こないなところで育てられるやなんてなぁ、ふびんな子やなぁ」
柔らかくてお上品な言葉づかいで悪気なしにディスってくよのさん。
新たなナチュラルいけず、四天王入り間近か。
顔を見ずに背中で芝居しあってる萬田久子さんと風吹ジュンさんがすごいな。
「女手一つで育てられるやなんて、なあ。新やのうて…」
「藍之助だす」
女手一つなんかじゃない。
栄達さんや菊さんがあやしてくれている。
それにはつの心には惣兵衛がいて、帰ってくるのを信じてる。
そんなはつのぎこちない笑顔。
「ほんまのお母ちゃんと思ってくれはってよろしいのや」
先週の栄達お父さんと同じ言葉。
でも栄達さんのそれとよのさんのは重みが違う。
山王寺屋が潰れていく過程は陰惨に思えたけど、結果として家庭的にはよかったのかもなあ。
そんなよのさんとはつの会話を聴いていて、菊さんが……
米のない納屋にネズミがいるはずないのに、ネズミの真似をしてよのさんを帰らせた菊さん。
背中でやりとりする「いけず」の応酬。
菊さん、ネズミ語で「ほんとのお母ちゃんと思ってくれていい」って言ってるんじゃなかろうか。
無事によのさんをおっぱらった菊さんとはつ。
昔惣兵衛が大好きだったというお菓子(よのさんがお土産に持ってきた)を頬張って「懐かしい」と笑う菊さん。
菊さんの気持ちは充分わかったけど、いつか惣兵衛とはつにきちんと謝ってほしいな。
(きっとそのとき栄達さんがいい仕事するんだろうな)
菊がはつを蔵に閉じ込めたとき「理由なんてなにもない。八つ当たりだ」と思ってたけど、
ただの八つ当たりでよかったと今になって思う。
どのタイミングかはわからないけど、はつはそれに気づいて許せる本当に強い女性なんだなあ。
私の中で今、「蔵の鍵を開けたのは菊さん」説がぐいぐい来ていたりする。
発作的なものだったし、ふてくされながら何も声はかけないで開けたのかなとか。
もし直接はつを井戸に落としていたの菊だったら、今日の描写はなかったかもしれない。
なんだこのいいさじ加減な人物設定。
はつが笑顔を取り戻したのはあさのおかげ。
共に生きることを知ったのは惣兵衛のおかげ。
支えられてることを知ったのは新次郎のおかげ。
前向きに生きる大切さに気づいたのは栄達のおかげ。
様々な表情を取り戻せたのは菊さんのおかげか。
はつをめぐる人たちが人間臭くてとてもいい。
■山の神
「炭坑っちゅうのはのう、いつだって死ぃと隣り合わせっちゅうこったい!そげんこつも知らんでバカ女が」
山崎さんのしっかりしたお声にめちゃくちゃ目が醒めた。
親分、提灯持って炭坑に入ったあさを大声で呼び止め外に顔をペシン。
炭坑に火を持って入ったからか、それとも一酸化炭素か、または山のしきたりか。
このさい全部か。
いずれにしてもここはあさがよくない。
親分最後のほう少し涙ぐんでる感じに見えたけど、炭坑で何かあったんだろうな。
死と隣り合わせの仕事。
それでも掘る仕事。
「すんまへんだした!」
「俺に謝るな。山の神様に謝れ」
親分の考え方かっこいいな。そんな危険な職場だからこそ、神様に祈って誓う。
親分がこんなこと言えるのは、親分が本当には山の男だからなんだろうな。
ほんでもってあさのいいところは、すぐに謝れること。
これが清々しい。
■五代さんの贖罪
↑
さっきから登場している炭坑夫たち同様この方も光輝く九州男児です。
五代さんに関して、どこからつっこめばいいのかわからない(全力で褒めてる)
「あれ、五代さんと山王寺屋、はつって面識あったかな?」と思ったら、そういえばあさが言っていました。
ちょうどはつ一家が行方不明になっていたとき。
「山王寺屋をつぶしたのはあんたらや!」
新政府樹立の混乱に犠牲となった人々の人生を救う。
未来のためにも大阪開発に力を注ぐ。
山王寺屋のような没落した商家を救いたい思いなのかもしれない。
■「らしさ」とは。
「うちはそないなほんまは自分の考えもなしに日和見を決め込むお人が一番苦手だす」
激動の幕末の大阪を生き抜いた忠興パパや正吉さん(菊さんも)を見てるあさ。
九州に来て、炭坑に命を懸けている親分たちに出会ったあさ。
だからこそ日和見主義の支配人・宮部の態度に腹が立つ。
「お願いだす、もういっぺんみんなと話さしとくなはれ」
親分、黙ってあさを見据えて。
あさがきてからのこと考えれば「ただのおなごじゃない」と勘付いてるかしら。
中の人たちの目力が強いからなんかドキドキする。
「男らしいってなんだっしゃろな?」
あさ/はつの裏テーマに新次郎/惣兵衛の対比があり。
惣兵衛の一時退場に伴って浮上した炭坑の男たちが『男らしさ』を改めて突き詰めてくるのか。
ほんでも、あさの話を聞きながら器用に針仕事こなす亀助さんが一番男らしいと思うよ。
■押し倒す/押し倒される
あっ、ふ久に押し倒されてた諸岡くんがあさ押し倒してる。
(『ごちそうさん』で泰介の先輩で、ふ久の旦那さんになる諸岡君も演じてた中山義紘さん。あの『諸岡君を複製したい』の諸岡君)
改めて中山さん、ふ久といいあさといい、とんでもないのを相手に闘うんだな。
■がんばれ、あさ。
本当はあさはとっても心細いんだと思う。本当は新選組のときみたく膝が震えそうなんだと思う。
でも、五代さんのくれたピストルと大阪で待ってる旦那様や加野屋が守ってくれる。
そんなことを改めて決心を固めたあさの目が頼もしい。
がんばれあさ。
「おなごやいうてなめたらあきまへんで!!」
「うちは何が何でもこの炭坑を成功させる不退転の気持ちで大阪か来たんだす。
この決心をわかってもらい、石炭掘ってくれはるてしっかり約束交わすまで決して大阪へは帰りまへんよって!」
月明かりのせいか、涙を堪えてるようにも見えるあさ。
平成の今でも20代女性が大勢の男性目の前に「女だからってバカにすんな」と声を張り上げるなんて怖いだろうに。
あさの時代だとより一層の怖かっただろうな。
がんばれ、あさ。
それから炭坑夫があさを押し倒し、さすがに観ている方もハラハラしてきて。
まさにそのタイミングでピストルが胸元から落ちて暴発。
九州にきてから意味深に眺めてるシーンは何回かあったけれど、こんな形で登場するとは予想外。
新選組がやってきたとき、「刀と信用は真逆のもの」と言ったあさ。
ピストルの暴発のお陰で(?)坑夫達が明日から働くと言い出したこと、嫁さん達が「夫を殺さないで欲しい」と懇願しに来たことに納得してないのは当然だろう。
「これじゃない」と。
■時代の底に届いた光。
あさに大変なことが起きていたそのころ。はつのほうも大きな動きがありました。
泥塗れの惣兵衛。顔面泥だらけ、ヒゲも泥だらけ。
逃げることに強い痛みを感じて短くうめいて。
こみ上げてくるのははつや家族への思いか、自責の念か悔しさか。
『渇いた笑い』が見ているだけでも心が痛む。
背景の暗闇は惣兵衛の心情、背中にあたる光は次に現れるはつの象徴か。
「なんでそないに自分を痛めつけはるんだす」
「なんでお前がこないなとこに…」
はつが現れた瞬間に目の色を変える惣兵衛。
暗かった瞳孔に光が戻った。
はつは表情変えずに。
「あなた様を迎えに来たんだす」
はつを見た瞬間、惣兵衛の目にすっと血が通うかのような目の演技。
全てを表情と短い台詞だけに込める柄本佑って本当何者。
はつが惣兵衛の手を引く。
かつて井戸に落ちたはつを惣兵衛が助けに降りたように、時代の底、人生の底に落ちた惣兵衛を今度ははつが救い出す。
幸せだったお日様の下へ、ふたりで走る。
井戸の回とリンクしてるんだな…
「わしが消えたら、お前もいてへんようになるって思てたのに」
「お家が潰れたんも、お前にあないな暮らしさせたんも、全部わしのせえや」
惣兵衛が姿を消したのははつを想うが故。
自分に対しては「消える」と言うけど、はつへは「いてへんようになる」って、言葉を選ぶのは惣兵衛の聡明な優しさか。
惣兵衛のせいじゃない。
時代のせい、新政府のせいだ。
昨日五代さんをはつに会わせて、あさの怒りを思い出させて、それから今日の惣兵衛のこの言葉。
「あの時ほんまは楽しかってん」
「あの時何でかほんまに楽しかってん」
『本当は楽しかった』から『本当に楽しかった』。
一文字違うだけで惣兵衛の心情はまるで違う。
表情映さないのずるいぞBK(褒めてる
でも背筋伸ばして凛と立つはつの全身を映すのもいいぞBK
「土が温こうてなぁ。
お日さん眩しうてキュウリが美味しいて。
誰の前でも気取ることあれへん、ああこれが人の世だったんやて…」
横顔の小さな目小さなで語る惣兵衛。表情和らぐはつもあのときのことを思い出してるのか。
「それやったらよろしやんか。そやのに何で逃げるようなこと…」
涙をこらえきれない惣兵衛を叱責するでもなく愛を語るでもなく。
そっと側に座って肩に手を添える。
この夫婦のこの状況下でのこの距離感、真に迫るものがあるなあ。
それにしても、許婚チェンジは当人であるあさとはつは受け入れられたけれど、むしろ周りの惣兵衛やよのさんらに影響を及ぼしている。
「もし加野屋/山王寺屋に嫁いでいれば」と「もしあさ/はつじゃなかったら」が交錯してる。
「お前にもう、一生得意な琴も持たしたらへんいうのに、何でわしが笑て生きてられるんや」
山王寺屋のお屋敷、お琴を弾くはつは寂しげに映っていたけど。
画面の外で聴き入っている惣兵衛がいた。それをあえて映さなかった上手さよ。
ていうか宮崎あおいと柄本佑、ほんと何者。
■再会、再生
「今更ええ旦那様になろうやなんて思わんといてくなはれ。ええお父ちゃんになってください」
藍之助を父・惣兵衛に会わせることができたはつの言葉が心強い。
はつの想いを今度はしっかり受け取る惣兵衛。
決して悪い旦那様ではなかった。
守りきれなかっただけだった。
だから今度は絶対に守る、そんな惣兵衛の決意の伝わる目線がもう。
惣兵衛、栄達さんと菊さんと再会。
栄達さん驚いてうまく息を吸えないように「惣兵衛…?」
菊さん初めて納屋から飛び出し「今更何しに帰ってきた?!」と涙目で。
父母それぞれのおかえりが暖かい。笑顔で少し涙腺ゆるみながら惣兵衛はただいま、と。
姿消してしまったことも、刃物振り上げたことも、お家守れなかったことも、「堪忍な」と。
「いつか殺してやりたい」と言っていたお母ちゃん、
本当に刃物を振り上げたお母ちゃん。
能面、貧乏ゆすり、蔵事件。
菊惣兵衛親子はきっと本当は根深かったんだと思う。
でもお家がなくなったことで、絡んだ根も一気にほぐれた。
時代が変わり、生き方が変わること、それは人が変わること。
惣兵衛が殺したかったのは、母親に逆らえず何もしようとしない自分だったんだろう。
時代が変わり、立場も変わり、惣兵衛は母親に逆らうことを選択した。
あの日、ナイフの刃は菊ではなくはつに刺さってしまったけれど、惣兵衛と菊の心の中ではお互いに刺さり合った。
決して見せはしなかったけれど、2人ともたくさんの涙を流して一度死んだんだろう。
眉山家が変わるきっかけになったのがはつだったんだろう。
力強い父、優しい母、暖かい祖父、それから笑顔の妹の中に育てられた聡明なはつだから、眉山家を変えられた。
どちらのお家もいかに人が「育てられるか」ってことを思い知る。
それにこのパターンだと「藍之助が家族のきずなをつないだ」みたいな展開になりそうだけど。
惣兵衛自身が子どもに帰ったように、『親子の再会を大人たちで再現した』ってのがいい。
それにしても…
・五代さんとの再会で「誰も悪くない。仕方ない時代だった」と再認させる。
・ネズミで視聴者に菊さんを許させる。
で、そこからの惣兵衛との再会とは。
なんなの?1週間の使い方うますぎなの?
なんなの?手のひらで踊らされてんの?
……これ15分の朝ドラだよね?
精神と時の部屋にでも入ったかのような、15分の満足感。
ああ、いいもの食べた。
■来ちゃった
そんな感動の木曜日だったのですが、ラスト30秒。
シーンは九州に戻りました。
「来てしもたがな」
感動の再会を、新次郎のあほぼんで〆る。
涙では終わらせるもんか、笑わせてやる、そんなスタッフの気合が一番すごい。
ずっと旦那を出せと言っていた炭坑夫らなので、もちろん若旦那・新次郎いは興味津々。
「あげな気性の激しい嫁さんの手綱ば握っちょう男じゃ。どけに恐ろしい顔が見に行っちみるか」
と意気込んで覗いてみたはいいものの。
親分「……??」
渋くかっこいい炭坑夫な親分すらも笑い要員にしてしまう新次郎、ああ恐ろしい。
■雁助さんとうめのフラグ
社内恋愛か。
■大福はピストルよりも強し
あさの武器はほっぺの大福餅。
優しさと厳しさを併せ持って石炭と坑夫たちがどれほど大切か説明、使うのはピストルじゃなくてピストン。
「口の立つおなごだ」と納得してもらう一連の流れがうまいんだよなあ。
3週の新選組登場は「あさと新次郎の関係の変化」に繋げるだけじゃなくて「あさの武器は何か」へも。
その前の1週におじいちゃんが子あさに「おなごのやらかさ」を説いてるのがすごい。
つなげたのか、つながったのか。
「一番偉いのは山の持ち主でも支配人でもだれでもない。現に山に入って石炭とるあなた方だす」
「一番偉いのは経営者でもなく現場の最前線に立つ人間」
そんな言ってくれて「実」が伴う経営者がいたら、頑張れるだろうなって思う。
■そこにいるのは怪獣さんだ
で、「それでも納得いかないんならもう相撲で決めよう」とあさ。
じゃあ誰がする?どうする?となったとき。
ダチョウ倶楽部を朝ドラで見る日がくるとは。
「こんバカたれが!おなご投げ飛ばしてどげするとか!
そげなもんクソの自慢にもならん!お前らいつからそげ腰抜けになったとか、こら!」
親分の腹から出る声で目が覚める。
ガチにおいこらされてそうな諸岡くんよ。
なんのかんので大好きな相撲となると楽しんでそうなあさが素敵。
あさの「おなごらしい強さ」を表すのに、柔軟性が肝心な相撲に焦点当てるのいいなって思う。
※亀助と新次郎が心配してるのは親分です(多分)
■九州場所!!
で、対戦相手はこの人。
「なして俺っち……」
そ の 発 想 は な か っ た !
「山の男は女子と勝負しない」という道理を通すため、山の男ではなく一番弱そうな宮部を選ぶ親分。
あさの提案を無視することなく、自分らのプライドも曲げずに、ちゃんと筋を通すところ。
ああこれが九州男児か。
お相撲好き、朝ドラ好きとしてはご褒美すぎるガチな相撲シーン
勝昭「あさちゃん粘ったね。そこからの喉輪での押し返し、右四つからの下手投げ。
うんうまい、うまいね。身体の柔らかさが生きてるね」
(そんなこと言ってません)
ちなみに勝昭さんも「あさが来た」を御覧になっているようで。
先日のリアル九州場所の解説、「びっくりぽん」を使っておりました。
宮部に肩入れでもなく、かといってあさだけを応援するでもなく。
観ている側が自然と本気で楽しむ。
土俵の上ではそれまでのいざこざは抜きにして、純粋に楽しむ。
見ていて気持ちのいいシーンだなあ。
こら伊作、顔
■信頼を得るまで
あさの勝利に喜んでる奥さんたちいいな。
この作品、頑張る女性たちが純粋に輝く瞬間ってのを逃さない。
だからあさもはつもみんな「頑張れ!」って言いたくなる。
ピストルという武器ではなく、大阪商人のキャリアでもなく。
あさの大福みたいな柔軟性、言葉や根性が坑夫らの硬い硬い石頭を納得させた。
今週1週間、腹立つ宮部から丁寧に描いてくれたから「信頼」って言葉に違和感ないんだなあ。
共に働く親分夫婦もまた夫婦の形。
様々な夫婦の形が描かれるのもまたいい。
こういう周りの人たちと繋がりが「白岡あさのサクセスストーリー」っていう一見単純な構図を、より面白くさせてるんだなって今更実感。
■新次郎の秘密
番傘開くときとも駕籠から降りてきたときともまるで違う新次郎が明かす秘密。
もう話さなくちゃかな、と腹をくくったのか目元も口元も笑えてない。
新次郎にとって本当に辛い思い出で、今でも心に刺さってるんだろうなあ……
昨日うめが雁助さんに尋ねてたのもしっかり回収。
20年前の秘密を知ってるのは、正吉父ちゃんと雁助だけ。
しかしここを雁助さんに喋らすとは、前に番頭さん漫才で出てきたバツイチの話が生きてきてるなあ。
「お金いうのは恐ろしいで」
新次郎はそんな思いがあったから、田舎暮らしで笑顔を取り戻した惣兵衛はつ夫妻にまた格別な思いを持っていたのかもなあ。
お金がないことは人生にどう影響してくるか。考えさせられる…。
雁助さん「加野屋で働きたい」ではなく「旦さんの下で働きたい」とな。
正吉さん不老不死じゃあるまいし、いつか亡くなるシーンがあるとは思うんだけどそうなったら雁助さんどうするんだろ。
■まだ何かあるな
炭坑きた→話聞かない→ピストル→駕籠できた→相撲→旦さんの秘密、
この1週間こんな感じで進んできたあさ炭坑編ストーリーラインに長塚さんが登場。
炭坑編、まだまだ一悶着ありそうな予感。
小鳥をしっかり映してるのも嫌な予感、あと親分の過去とか。
つか新次郎の秘密は、てっきりお兄さんの正太郎さん関連かと思ってたら違うのか。
「自分が死ねばよかった」くらいのこと言っちゃうから、こりゃ相当闇深いなとは思ってたが。
えっあっあっ!
二段階?二段階か?!「旦那さまのひみつ、その2」なのか?!(゜Д゜)
■おじいちゃん
あさに「柔らかさ」を一番最初に話した忠政おじいちゃん。
囲碁の相手がいなくて、画面左が大きく開けてるのがさみしそう……
本当に奥行きのある画面。
そんな忠政おじいちゃんが……
来週は今井さんち編だ。おじいちゃんネタとお姉ちゃんネタには泣く。これは心して見なければ。
#あさが来た pic.twitter.com/KYtlDV5w5N
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 14
それではまた来週。
(来週は多分個別に画像アップします)
ヒゲへび惣兵衛さんを深夜に投下(色々と台無し
#あさ絵
#あさが来た pic.twitter.com/VZiY4I140V
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 12
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