妄想ジャンキー。202x

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〈06夏、北海道・花めぐり〉トワイライト

2006-08-15 17:22:13 | ○06夏、花咲く北海道へ
8月15日。



【札幌】

久々に横になって寝て。
久々に電波を取り戻して。
久々に大都会で。

札幌の朝は思いのほか静かだった。
やはり北国だ。

悩みを忘れていることに気づく。
そもそも何に悩んでいたんだっけ。
もういい。
私は私の思うがままに生きる。




 

【函館本線】

急行はまなすや北斗星は、青森、函館と北上し長万部から室蘭本線に入る。
函館本線は長万部から小樽方面を回り、別ルートで札幌へ。
今回はその別ルートを南下することにした。

って軽々しく言うけど、札幌を7時に出て函館に着くのは16時。
小樽までは寝ておいたほうがいいだろうって思っていたら、本当に熟睡した。
小樽であわてて乗り換えて、長万部行きでホッと一息。
列車が出てすぐ、海が見えた。
日本海。

あまりの青さに見とれる。
空の青も海の青も、実質的に変わりはなく。
目の中の認識が違うだけなのだと。
難しいことを考えて、また北の風を飲み込む。
あ、レースフラワー!!






【長万部】

長万部には来月にまた来る。
恐怖のゼミ合宿。
「なぁんで私ここにいるんだ」
乗り換えの都合上です。
しかし、何もない。
コンビニは少しあるけばあるようだけど。
「東京から持ってけるものは全部持ってこう」

長万部といえばカニメシ。
あまりおなかがすいていないので、蟹の味噌汁にした。
駅前でズズズズズズ、ああ美味しい。

それでも暇なので駅前を散策することに。
何もないことはわかっていたが、本当に何もない。
同じような境遇の女性二人組が立ち尽くしていた。
「どこ行く?」
「駅から一番近いところで・・・」
「・・・長万部墓地?」
「墓地はちょっと・・・」
「みてみて、東京理科大がある」
「なんだろう、このマリノス長万部って」
みんな考えることは同じなんだなあって。
私は駅前の絵を描きながら、そんなことを考えていた。

変わってる?
ちょっと変わってる?
だいぶ変わってる?
いや、世の中にはもっと変な人のほうが多いよ。

なぜかまりもっこりを買ってしまった。
旭川でも札幌でも買わなかったのに、なぜか長万部で。
蟹最中も買って食べる。
ボーッとして時間が過ぎるのを待つ。
スローライフ。




【内浦湾】

海!!
道南をぐるっとまわりながら、海岸線の向こうに室蘭が見える。
あれが地球岬かな。
でっかい山は駒ヶ岳かな。
先っぽの白い町は函館かしら。

森駅に到着すると、元気な売り子の声が聞こえた。
「いかめしいかがですかー?!」
高校生のようだ。
タンクトップに赤いエプロン。
青い海と空をバックに3人で笑いあっている。
その笑顔があまりにまぶしくて、ついいかめし購入。

列車は渡島半島を南下する。
4年前の修学旅行は新千歳空港からひたすらバスだったけれど。
電車もやっぱり捨てたもんじゃない。
宗谷本線や五能線とは違う大自然が広がっている。






【函館】

16時、ようやく函館に到着。
見覚えのある町並みの中、クラシカルな気分になる。
港町は何かが不思議だ。
何がだかわからないけど、独特の雰囲気が不思議。

観光案内所でいつものようにめぼしをつける。
五稜郭、明治館、摩周丸、公会堂・・・
「修学旅行のとき行ったのはどこだっけなー・・・」
悩んだ挙句にイカ広場、立待岬、函館山に行くことにした。



イカ広場は、イカだかなんだかわからないモニュメントが空に伸びていた。
カモメの泣く声が聞こえる。
船が通るたびに波は高く。
キラキラとした海面がまぶしい。
ああ、ここでずっと。
ずっとのんびりしていたいな。
汽笛が鳴った。






【立待岬】

それから少し市電に乗って、立待岬へ。
函館というか北海道の端っこにあり、本州を臨める岬。
そういえば去年も最後に関門海峡大橋を眺めていたっけな。
同じように今、青函連絡船を追いながら。
本州を思い。
北海道を思い。
よみがえる思い出がジワリと沈んでいく。

ボーッとしていたら、ずっとここでボーッとして。
そのまま風になってしまいたい。
風になって、いろんな空や海や花をみたい。

美しいグラデーションが終わると、海上が一気に明るくなった。
「いさり火!!!!」

いつのまにか7時を過ぎており、あたりはすっかり真っ暗。
混んでいた駐車場も数台を残すのみ。
そうだ、ここ墓地を通ってくるんだった。
大きな声で歌いながら墓地の坂道を下る。
「たーだーの思い出とー風がーささやいてもー」
ドンッ。
大きな音にびっくりする。
あ、花火だ。
函館の町に花火が上がっている。
夜景といさり火と花火と。
ここは、本当に、光の街だなあ。




【函館山】

函館山のロープウェイ乗り場が近づくと、なんだか急に人ごみ。
往復切符を買って、列に並ぶ。

絶対。
絶対絶対振り返らない。
頂上でみるんだ。
ロープウェーの中でも反射する光を目にいれないように、ずっと目をつぶっていた。

頂上で人ごみをかきわけると、そこには星がちりばめられていた。
「わあ!!!!!」
どうにかして何かに収めようとしたけれど、ああそうだこのカメラはフラッシュ使えないんだ。
よし、絵だ。
黄色、赤、ピンク、白、青。
たくさんの色で画用紙を塗りつぶし。
それからまた黒で塗りつぶす。
コンビニの箸袋に入ってる爪楊枝で、ガーッて削るだけ。
暗いところで描いただけあって、かなりとんでもないものになってしまった。

修学旅行のときは制服だったから、柵に上ったりなんかはできなかったけれど。
今回はビーサンを脱ぎ捨てて、柵の上の上まで。
展望台の一番高いところに立ち。
手すりに必死でつかまって震えながら。
高いところは怖いけれど、それでも見たかった。
見物客の頭が足元にある状況で、函館の夜景を独り占め。

すごい。
天の川が降りたみたい。
点の一つ一つが星で。
漁火もそれを祝福していて。
空を見上げたら。
夜景が映ったんじゃないかってくらい、星が輝いていた。

時間の制約はない。
最終ロープウェーで下ればいい。

あのときは高校で来た函館に、今一人できている。
懐かしいな。
ああそうだ。
バスのお誕生日の席で。
登山もしたっけな。
夜景を見て。
集合時間に遅れたもんだから、先生に怒られて。
大して反省もせず。
ただ毎日にはしゃいでいたころ。

いつのまにか、大人になって。
いろんなこと忘れていた。
本気で笑って本気で泣くことを忘れていた。
どこかの歌詞にありそうな言葉だけど。

夜景は、平等に。
一人身でもカップルでも平等に。
空も、太陽も、海も、花も。
みんなに平等に与えられている。

それでも次は彼氏と来たいななんて思ってみたり。
頂上でたばこを吸って、カップルにその席を譲った。




【函館駅】

ロープウェーから駅まで歩く。
ローソンで遅い夕食を食べて、天の川を歩く。
今私は星になっているのかな。

でっかいまんまるい月が、駅の壁に反射して映った。
月の光を飲み込んで。
いやな空気を吐き出して。
イヤホンから耳に音が飛び込んでくる。


0時前に函館駅に到着。
トイレで電気を拝借しながら、友達と連絡をとってみたり。
便利な世の中になったものだなあと思う。
メールも電話も。
もうなかったころを忘れている。

2時半に到着する急行はまなす青森行きを待つ。
待合室は床だとか椅子だとか問わずに横になる人ばかり。
みんな明日の本州に向かうんだなあ。

外に出た。
月は大きさを増して、函館の町を照らしている。

月がひまわりに見えた。

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