妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

春の亡霊

2008-03-29 11:17:37 | 日記
先日。

最後に残っていた1コマを終えて、3年間勤めた塾講バイトを退職してまいりました。



ブカブカだった学生服がツンツルテンになる間、私も大学生活を楽しみました。
色んな生徒がいたなあ、と今つくづく思います。
たとえ見た目がどんなに田舎っぽくとも、みんな根っこで優しく暖かい子たちでした。

講師モノ経験者にはより伝わると思いますが、人に何かを教えるというのは本当に難しいです。
自分では判っていてもそれをどう言葉にすれば、板書にすればいいのか。
勢い任せと言ってしまうと、「そんなやつに教わっていたのか」とクレームが来てしまいそうですが、実際勢い任せでした。
生徒たち一人一人の反応を、聴覚、視覚、あるいはシックスセンスやカンというもので確かめながら。
教壇に立った私は先生であり、生徒ではない。
よくよく考えれば結構高いプレッシャーでしたが、自分が現役時代に通っていた塾だったせいでしょうか、リラックスしながら全力の講義をすることが出来ました。


3年生が先々週に旅立ったのと同じように、私も旅立つ。
塾という箱に居座っていた春の亡霊がようやく成仏する。


新任の18歳の先生に引き継ぎをして、多少のアドバイスもして。
「長いことお世話になりました」
「こちらこそありがとうございました。飲み会は来てくださいね」
花束をいただいていると、新3年生の塾生が顔を出してきた。
「先生辞めちゃうの?!」
「えーうそー!」
「何で何で」
「まさか彼氏と結婚?!」
んなわけねえだろ。
最後の最後まで女子中学生のパワーに圧倒されてしまう。
じゃあねと手を振って、最後の給料を鞄に入れた。



湿った夜風にぼやきながら、紫煙をくゆらしながら、春の亡霊は成仏していく。

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