ぶらり各駅停車に揺られて紅葉狩り。
名勝・吾妻渓谷へ。
本来なら最寄駅は川原湯温泉駅だけど今日はその1個手前、岩島駅で下車。
無人駅に改札代わりの写真撮影。
キセルは犯罪だと分かっているけれどやめられない。
岩島駅から降りて、国道沿いを歩く。
紅葉ベストシーズンの連休とあって交通量はかなり多い。
謡いながら歩くこと1時間。
渓谷を臨む歩道が出てきた。
「ほらやっぱり」
吾妻線に沿う吾妻川、というより川に沿う路線。
渓谷遊歩道の最寄りから順路を辿るのが正しいのだけれど、逆からでも行けるはず――そんな勘が命中。
しめしめと急勾配の階段を降りたら、観光客が点々と紅葉狩りをしていた。
渓谷は美しさを一層増していて、秋が一秒一瞬毎に降りている。
目を離してはいけない静寂。
一歩出遅れたイチョウも、追い付け追い越せと言わんばかりに黄色を塗りたくる。
モミジは赤を自慢気に揺らす。
足元はカサカサに、今年の葉が土に溶けていく。
急激に下がった朝夕の気温に急かされた山は、一瞬の美を纏う。
やがて冬がくる、その前に――。
エメラルド色の吾妻川は母のようにゆったりとせせらぐ。
小鳥が歌い、秋が流れる。
季節の間隙をこんなにまで鮮やかに見たのは初めてだった。
遊歩道とは名ばかりで実際はきつい山道の連続。
スニーカーで来たからいいものの、入り口で出会ったピンヒールのお姉さんは大丈夫かな。
いらぬ心配をしつつお弁当タイム。
蛇行する吾妻川が美しい。
至福の瞬間。
つかまったら余計危ないだろう手すりや、栄養ドリンクのCMで出てきそうな絶壁。
ほらニホンカモシカ、あっちにはムササビだよ。
カサカサと耳元で音がしてびっくりする。
モミジがマフラーに座っていた、ちょこん。
かわいいかわいい。
「落石注意だなんてどう注意しろってんだ」
今地震起きたら間違いなく死ぬわ私。
そんな大きな岩が歩道にせりだしている。
何かの鉱脈があるらしく、白いラインが横に走っていた。
鉱脈に目をとられていたら、沢が歩道に進出してぬかるむ足元がステン。
駅から渓谷へは4キロ1時間で歩けたのに、遊歩道ではその倍以上かかってしまった。
2キロの山道を歩き終えたあとはもうヘトヘトで、体力低下をとことん呪う。
再び国道に出て、川原湯温泉駅へ。
この駅舎に二度と来ることはない。
この渓谷を二度と全部歩き通すことはない。
先にある温泉街も入らぬまま終わる。
ヤン車飛び交う国道も、オレンジとグリーンの映える吾妻線も。
ポストも信号も看板も。
ダムの底に沈む。
線路や国道はもちろん川原湯温泉も源泉が確保されて移転されるし、吾妻渓谷も半分以上は残される。
全てが沈むわけじゃない。
それでもやがては水の底。
そういう未来があるからこそ、渓谷は一層美しくそして懐かしい。
悲壮感を漂わせず、きれいな水や緑を変わらず守り育て続ける。
記憶に刻むべきは風景だけじゃない。
全ての事象を含んだ空間そのものだ。
いつの頃からか、そう思いながら全国を旅してきた。
北海道もシルクロードも九州南東北も沖縄も、群馬の山奥でも。
出会った幸せ不幸せ、全部刻みこまれている。
朝から調子のおかしかったカメラとウォークマンは昼過ぎに壊れてしまっていた。
所詮この世は因果応報、キセルなんかしてごめんなさい。
とはいえ桶川までの乗車券を買ったらとんでもないことになってしまうから、逆隣の長野原草津口駅まで。
湯畑を見たわけでもないのに草津に行った気分になる。
帰りは行きに入ったままの定期で出ればいい。
本日の旅費、おやつ代と交通費しめて450円也。
昭和の原風景を車窓に流し、列車は未来のダム底を発つ。
4時間かけて歩いた岩島駅へは10分とかからずに着いた。
また明日から忙しい日々がはじまる。
次の空間を楽しみにして、がんばろう。
名勝・吾妻渓谷へ。
本来なら最寄駅は川原湯温泉駅だけど今日はその1個手前、岩島駅で下車。
無人駅に改札代わりの写真撮影。
キセルは犯罪だと分かっているけれどやめられない。
岩島駅から降りて、国道沿いを歩く。
紅葉ベストシーズンの連休とあって交通量はかなり多い。
謡いながら歩くこと1時間。
渓谷を臨む歩道が出てきた。
「ほらやっぱり」
吾妻線に沿う吾妻川、というより川に沿う路線。
渓谷遊歩道の最寄りから順路を辿るのが正しいのだけれど、逆からでも行けるはず――そんな勘が命中。
しめしめと急勾配の階段を降りたら、観光客が点々と紅葉狩りをしていた。
渓谷は美しさを一層増していて、秋が一秒一瞬毎に降りている。
目を離してはいけない静寂。
一歩出遅れたイチョウも、追い付け追い越せと言わんばかりに黄色を塗りたくる。
モミジは赤を自慢気に揺らす。
足元はカサカサに、今年の葉が土に溶けていく。
急激に下がった朝夕の気温に急かされた山は、一瞬の美を纏う。
やがて冬がくる、その前に――。
エメラルド色の吾妻川は母のようにゆったりとせせらぐ。
小鳥が歌い、秋が流れる。
季節の間隙をこんなにまで鮮やかに見たのは初めてだった。
遊歩道とは名ばかりで実際はきつい山道の連続。
スニーカーで来たからいいものの、入り口で出会ったピンヒールのお姉さんは大丈夫かな。
いらぬ心配をしつつお弁当タイム。
蛇行する吾妻川が美しい。
至福の瞬間。
つかまったら余計危ないだろう手すりや、栄養ドリンクのCMで出てきそうな絶壁。
ほらニホンカモシカ、あっちにはムササビだよ。
カサカサと耳元で音がしてびっくりする。
モミジがマフラーに座っていた、ちょこん。
かわいいかわいい。
「落石注意だなんてどう注意しろってんだ」
今地震起きたら間違いなく死ぬわ私。
そんな大きな岩が歩道にせりだしている。
何かの鉱脈があるらしく、白いラインが横に走っていた。
鉱脈に目をとられていたら、沢が歩道に進出してぬかるむ足元がステン。
駅から渓谷へは4キロ1時間で歩けたのに、遊歩道ではその倍以上かかってしまった。
2キロの山道を歩き終えたあとはもうヘトヘトで、体力低下をとことん呪う。
再び国道に出て、川原湯温泉駅へ。
この駅舎に二度と来ることはない。
この渓谷を二度と全部歩き通すことはない。
先にある温泉街も入らぬまま終わる。
ヤン車飛び交う国道も、オレンジとグリーンの映える吾妻線も。
ポストも信号も看板も。
ダムの底に沈む。
線路や国道はもちろん川原湯温泉も源泉が確保されて移転されるし、吾妻渓谷も半分以上は残される。
全てが沈むわけじゃない。
それでもやがては水の底。
そういう未来があるからこそ、渓谷は一層美しくそして懐かしい。
悲壮感を漂わせず、きれいな水や緑を変わらず守り育て続ける。
記憶に刻むべきは風景だけじゃない。
全ての事象を含んだ空間そのものだ。
いつの頃からか、そう思いながら全国を旅してきた。
北海道もシルクロードも九州南東北も沖縄も、群馬の山奥でも。
出会った幸せ不幸せ、全部刻みこまれている。
朝から調子のおかしかったカメラとウォークマンは昼過ぎに壊れてしまっていた。
所詮この世は因果応報、キセルなんかしてごめんなさい。
とはいえ桶川までの乗車券を買ったらとんでもないことになってしまうから、逆隣の長野原草津口駅まで。
湯畑を見たわけでもないのに草津に行った気分になる。
帰りは行きに入ったままの定期で出ればいい。
本日の旅費、おやつ代と交通費しめて450円也。
昭和の原風景を車窓に流し、列車は未来のダム底を発つ。
4時間かけて歩いた岩島駅へは10分とかからずに着いた。
また明日から忙しい日々がはじまる。
次の空間を楽しみにして、がんばろう。
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