妄想ジャンキー。202x

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〈07冬、別所温泉ノスタルジー〉ウラ

2006-02-22 22:25:47 | ○06冬、別所温泉ノスタルジー
別所温泉やら上田って地味に遠い。
日帰りで行く場所かっていったら多分そうでもない。

上田からしなの鉄道を待っているときに考えた。



一人は楽しい。
でも寂しい。

夕暮れラッシュに溢れる高校生たち。
買い物帰りの主婦。

みんな家に帰る。
帰る、家に。

──家に帰る。

私は?
私はどこに帰るの?


夕暮れ時はいつもそう。
あれだけ出たいと思っていた家が恋しくなる。

汚い風呂も。
ちらかった部屋も。
丸い背中でご飯を作るお母さんも。

多分これがホームシックってやつだ。


──今日はどこに泊まるんだっけ?

高校生の会話を盗み聞きしながら、ふと考えた。

──長野の漫画喫茶。

漫画喫茶は便利だ。
充電もできるし、ネットのチェックもできる。
個室で横になれるし、熟睡もできる。
読みたかった漫画も読めるし、朝食もついている。

でも、誰も「おかえり」は言わない。


鹿児島でも熊本でも青森でも、いつもそう思っていた。
ここから帰ってもいいんじゃないかなって。

──もう、帰ろうかな。

湯田中渋温泉も行きたい。
猿と混浴だってしたい。

でも、帰りたい。
ホームシックだ、こりゃ。

長野駅のベンチでしばらく考えていた。
どうしようか。
別に宿の予約があるわけじゃない。
バスの払い戻しだってできる。

気がついたら新幹線改札に向かっていた。

「大宮駅まで自由席、大人1枚」

長野から1時間ちょいでいつもの大宮に着く。
いつもの街に着く。
いつもの家に着く。






流れる車窓を眺めながら。
こみ上げる気持ちを堪えながら。

「お台場だとか横浜の夜景もいいけど、こういう市街地の夜景がいい」
「光の点の一つ一つに家庭がある」
「点の向こうに笑顔がある」

いつだったか元彼と話した覚えがある。
ニコタマの河川敷で座りながら。

「そうだね」
「私は夜に走る電車とか好きだよ」
「みんな、どこに帰るんだろうって考える」

シュール。
今思えば実にシュールな会話だ。

東京タワーより二子玉川。
お台場より善光寺平。
みなとみらいより関東平野。

──どっちでもいいか。

多分私の家も夜景の一部になってるんだと思う。
きっと誰かが思ってる。

「あの光の下には家庭がある」

早くあの光の下に帰りたい。
光の下に。

+++++++++++++++++++++++++++++++++

私は弱い。
強くない。

ただ強がりなだけ。

「悲劇のヒロイン気取り」
「誰かに見られたい願望」

悔しかった。
私そんなんじゃないって。

そんなつもりじゃない。
たった一度の人生、自分に正直になりたいだけだって。

──勝手なこと言うな!

だから。
だからそれなりに。
私なりに私を見つけてきたんだ。


でもやっぱり弱いんだ。
結局弱いんだ。

別所温泉で幸せに浸り、上田についたとたん超強力なホームシック。
なんてザコ。
ほんとバカ。
成人してるくせに。
異邦人気取ってたくせに。


曲を体に流し込む。

大丈夫。
大丈夫だから。

私、大丈夫。

佐久平から見える夜景に涙が止まらなくなった。
長野で買った白ワインを飲み干した。

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