実は一番まとめるのに苦労しました。
新次郎名セリフ集め。

珠玉の名言集。
まとめ記事
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『真田丸』『精霊の守り人』『ちかえもん』他、大河、Nスペ、BSプレミアムのまとめ。
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「ようよう考えて進んだ道には必ず新しい朝が来る」
押し入れに閉じこもるあさに、梅でできた赤い算盤をプレゼントするシーン。
このとき新次郎が算盤をプレゼントしなければ、物語は始まりませんでした。

「わて赤ん坊の頃から何べんもあさちゃん見てるけど、あさちゃん好きや。好きやで。仲良くやれると思うな」
明かされる許嫁チェンジ。
お転婆すぎるあさを拒んだ山王寺屋に戸惑う加野屋。
そんなときに「ええで」と新次郎の一声とこの言葉でした。
【→1週】

「まあな、こないなときはわてかて誰かて何しようが雨降りの太鼓やさかい。どんもならん言うてな」
加野屋の長男坊・白岡正太郎が労咳で危篤です。
こういうときはどうにもならない、と新次郎だからこそのセリフだなあ。
【→2週】

楽器を弾いている姿がとにかく似合う…!!

「惚れてしもた。わてと夫婦になってくれ」
どさくさに紛れて、接吻。
そして初夜が来た。
【→3週その1・その2】

「お金なんかどうでもええんや。大事なんはあんたの身ぃやで」
視聴者すら心配してなかったあさの身(宇奈山屋敷の加古部屋)のことをずっと気にしてた新次郎さん。
【→4週】
はつに拒まれて落ち込むあさから「うんとかすんと言ってくれ」と言われて。

「すん」
「うんうん、そうだね」の意味の「すん」。
笑いながら出て行った新次郎だけど、あさに笑っていてほしいって思ってる。
「なんだろうね、すんって?なんか可笑しいよね。笑っちゃうよね」って。
【→5週】


「お妾さんを囲うてください」
「本気で言うてますのんか」
いろいろあったけれど、あさは一貫して新次郎に惚れていた。
新次郎の顔を直視できない。答えを聞きたくない。
目を大きく開いて、どんな答えが返ってきても受け入れようとしているあさが切ない。
いったん帰宅するも、雨の中飛び出してしまったあさ。
そんなあさを追いかける新次郎。

神社であさを見つけて、「妾は囲わない」ことを伝える。
新次郎とあさの前途は多難だけれども、ふたりで歩いていく。

(和傘の開き方が圧倒的に美しかった)
そしてあさに本音を伝える。

「そない寂しいこと耐えられへん。」
「泣かされてんのはわての方や言うてんのに」

「加野屋をよろしゅう頼む」
「わて泣かしたらあかんで」
一番言われたかった言葉を一番言われたかった人から言われて、こうやってあさの心が満たされてく。
【→6週】

あさの武器はほっぺの大福餅。
優しさと厳しさを併せ持って石炭と坑夫たちがどれほど大切か説明、使うのはピストルじゃない。
【→7週】
梨江さんに「至らない嫁で」と謝られた新次郎。
そんなことはない、と。

「何やあさの顔見てたら『ま、ええか』と思いますのや」
あさがいい顔してるから「まぁいいか」。
【8週】


三味線がとても似合う。


一番聞きたかった「おかえり」と「ただいま」。

珠玉の三味線BGM…
【→9週その1・その2】
あさにどやされながらも新次郎が出かけたのは、惣兵衛との飲み会でした。
この二人も旧友同士の義兄弟。


「まあえらい道は違てしまいましたけどな」
「どっちの道がええかやなんて誰にもわからへん」

「少のうても若旦那やったころの惣兵衛はんより、今のあんたの方がええ男やけどなぁ」
惣兵衛と新次郎の友情も素敵です。
別の日、和歌山へ出立する直前のはつと藍之助が加野屋にやってきました。

「後生だす。持っていっとくなはれ」
新次郎はもちろん惣兵衛のためもあるだろうけど、半分はあさのために頼んだんだと思う。
はつ一家が失踪したことであれだけ落ち込んだあさが、はつと離れて暮らすことになる。
せめて繋がりをと。
「何で新次郎様はあさを選びはったんだすか」とはつに、許嫁チェンジの真相を聞かれた新次郎。

「まだこないに小さな女の子が頭にカエル載せて走り回ってましたんや。それがあさだす」
「あさを選んだのに何か理由があるとしたら、ただそれだけのことだす」

「今はそのうちあさに置いてかれそうで、不安になるくらいだすわ」
新次郎の本音。
そういえば新次郎は兄を看取ってる。
あさが力強いばかりに、いつか先立ってしまうんじゃないかってそれだけが新次郎の本当の不安なのかな。
【→10週その1・その2】
あさが妊娠。うめとともに新次郎が炭坑に駆けつけます。

「おおきにな!」

「口すすぐだけでもよろしさかい、こらわてがいれたお茶や」
「ほれ、これやったら食べられるか」
ただのお茶じゃない。新次郎のいれたお茶。
ただのみかんじゃない。はつが届けたみかん。
そして千代が無事に生まれました。

「やっと会えましたな」
「よう出てきてくれはりました」
親子3人の穏やかな暮らし。


「旦那様にはお見通しだすなあ」
「ややこ抱いてする話やあれへん」
いつか銀行を作りたいと話すあさ。
もうずっと知っていたよ、と新次郎。
しかしそこに飛び込んできた炭坑落盤事故の一報。
まだ幼い千代を連れて炭坑に向かおうとするあさを一喝。


「こないな赤ちゃんに長旅さしてどないしますのや」
「炭坑にはあさがいてなあかん。行っといで」
タイミングよく様子を見に来た五代にあさを託し、千代を守る新次郎。


「どうぞ妻をよろしゅうお願い致します」
「何言うてますのや。親が自分のややこの世話して何が悪いんだす?」

「やっぱりこないなお母ちゃんあかしまへんやろか」
「いいや、それでこそあさだす」
新次郎は否定をしない。出しゃばることもない。
そっと、あさの背中をおす。
【→11週その1・その2】

「あの時松造はわてに言うたんや。『人殺し』、てな。あんだけ仲よかったのにな」
15分間、一度も笑わなかった新次郎。

「わて何や嬉しかったんや。ずっとあの親子があのまま死んでしもてたらて、ずっと思てましたさかい」
「あない背ぇも伸びて立派な男になってたら、そらうれしいなて」
久々な気がする新次郎の笑顔は、自虐的な思い出し笑い。

「ほんま堪忍だす」
事故はのんきだった自分の責任、甘かった自分の責任、負い目を感じていた自分の責任。

「やっぱりこっちのうどんはだしがええなぁ」
「せやろ」
こんなことがなければ、幼馴染との暖かい再会のはずだった。

松造が変わってしまったのは自分のせい。
あのとき助けられなかった自分のせい。
そんな新次郎を、今までで一番の強いんじゃないかって視線で睨みつけてる松造。


松造が堪えていた涙をこぼして。
それを受け止める新次郎。
長年の因縁がほどかれていく瞬間でした。
【→12週その1・その2】


東京の話に心躍らせる表情から一転。
あさの脳裏に真っ先に浮かぶ千代のこと。
「わて、止めしまへん」
あさをずっと見ていた新次郎があさに声をかける。
お家のためではなく自分のために行くのなら、とあさの背中を押す新次郎。
そして東京へ向かうあさ。


声を出さずに歯を噛み締めてるよう堪えて。
でもいざあさが旅立つと寂しそうな表情を浮かべる新次郎。
いろんな感情が過ぎってんだろうな。
そして東京では今井家や五代、福沢諭吉らと時間を過ごすあさ。
しかし帰る日のその朝、大久保卿暗殺の一報が入ります。
そのころ大阪では。


新次郎の三味線の音とBGM。
新次郎の視線の先には、店の番頭台。
お父ちゃんに聴かせるというシーンなのだけれど。
東京でのあさの様子を見ているかのような。
あさを想ってるような新次郎の表情がなあ。
【→13週その1・その2】

実は新次郎、大阪商工会議所の設立の立役者だったことが判明。
そんなとき、女中のふゆの縁談話が盛り上がる。
ふゆに思いを寄せる亀助が、ふゆは新次郎を思っていることを知って「嫁入り前の思い出作り」と町へ送り出した。

「もっと自分に誇り持ってな」
「お妾さんでもいいからそばにいたい」と新次郎に伝えるふゆ。
辛すぎるふゆの頼みと、それを断る新次郎の神対応。
【→14週】
幼い千代に「なんでお母ちゃんはみんなのお母ちゃんと違ってるの?」と聞かれて。


「10人10通りのお母ちゃんがいてますのや」
「まずいのはひょっとしたらわての方やあれへんのかなあって…」
「10人の人がいたら10個の生き方/人生がある」、なんだかうれしいエール。
そんな暖かい言葉を選んだ新次郎だけども、「でも問題なのは父親の自分なのかもしれない」と重ねてくる。
誰か新次郎に「お父ちゃんも10人いたら10通り」って言ってあげてくれ。
北海道開拓使官有物払い下げ事件が起こります。
マスコミに責め立てられる五代。

「五代様、おなか黒いの?」
「わてもまだ裸の付き合いまではしてへんさかい、見た事あれんよってなぁ」
千代の言葉に「実際に見た事ないからわからない」と新次郎。
あさや新次郎自身に対して「自分の目で見てきたもの、聞いてきた話を信じろ」って言い聞かしてるのか。

「みんなを守るために戦うてくれてる」
「よっしゃもう一回や。ご苦労さんて」
この放送日は1月14日、あさのモデルとなった広岡浅子さんの命日でした。(1919年1月14日)
そして商法会議所。
駆けつけた五代は、言い訳はしないと頭を下げます。
しかしながらそれでは納得できない。

「これ全部説明するのは面白ない言うか、面倒くさいことだすなあ」
騒然としかけたタイミングに新次郎が資料を持って現れた。
榮三郎のアシストもあり、商人たちは五代への信頼を取り戻します。

「さあトモちゃん!」
これでも会頭を辞任するのか?と問いかける。
ここで『トモちゃん』と呼びかけるのが新次郎らしい気遣いです。
【→15週その1・その2】
銀行設立へ動き出そうとしている加野屋。
大番頭・雁助の去就をめぐり、新次郎が声をかけました。

「それが雁助の選んだ道やったら、そら止めたらあきまへん。あいつの人生だす」

「もし出ていくて決めたんやったら、、のれん分けはでけへんけど、どっかでお店だせるくらいのお金用意さしてもらいますよって」
「それが加野屋からあんたへのせめてもの恩返しだす」
その一方で、五代の体調が悪化し、死期が近いという。
その五代を訪ねた新次郎。

「大丈夫だすか?」
「ようよう会えましたな」
五代から多くの言葉を託される新次郎。
その五代について朝の言葉を受け、新次郎の想い。

「五代さんはあさを『もっと育てたい』言うてはったし、あさは五代さんに『恩を返さな返さな』言うし…あんたたちこそまるで比翼の鳥だがな」
しかしこのまま別れるわけにはいかないと、新次郎はあさを五代のもとに連れていきました。
あさに別れを告げる五代。
それを待っている新次郎。


「最期まで、私は、この国の未来のために命を懸けたい!」
五代さんの言葉、それにかぶさる新次郎。

廊下で立っているだけの新次郎が印象的でした。
光の中に溶けていきそうな新次郎の立ち姿が挟まれたからこそ、五代さんとあさの最後の時間が際立った。

「今日の空も製藍工場の煙と造幣局の煙が並んで上がって、そらええ眺めやったで」
「大阪の空も、五代様のこと名残惜しい思てますのやろなあ」
近代大阪経済の父を見送った空。
【→16週その1・その2】
千代の子育てに悩むあさ。
「どこで育て方間違えてしもたんやろか」と。

「間違えたいうのもちょっと違いますのやろけどなあ」
あさも千代も否定をしない新次郎のフォロー力、都市伝説レベル。

「(女学校で勉強しているうちに)家の仕事手伝いたいてそない思うようになるかも分からへん。ちょっとも思わへんかも分からへん。」
「せやけどそれは千代が決めることだす。」
学んでるうちに自分のやりたいことが見えてくる、それは千代自身が見つける。
親はいつでも帰ってこれる港としてそこにいなきゃいけない、と話す。
【→18週】
あさと和歌山に行ってきた新次郎。
眉山家の新たなスタートを見守ります。

「お母ちゃんかて、お姉さんのおはつさんみたいな道に憧れてるとこもありますのや。そやけど自分にはこの道しかあれへん思て、前向いて歩いてます」
はつとあさのこと見てる新次郎じゃないと言えない言葉だ。
【→19週】
女子大学校設立にむけて成澤と動き出すあさ。
しかし世間の風当たりは思ったより厳しく、資金集めも難航。
「世間様の考え自体は大きゅう変わってへんのかもしれません。要はどないな人に出会えるかいうだけで」
そう言うあさが取り出したのは、思い出のパチパチはん。

「今度はあさがみんなにそろばんあげる手伝いしたいことだすな」
新次郎はそう言うものの…
榮三郎とへえさんからあさは「混乱させてしまうから銀行に顔を出さないでくれ」と言われてしまい。
さらには千代とも衝突。
そんなとき、銀行の店頭で暴れ出したのが萬屋でした。
その萬屋を押さえつけたのが…


「萬屋さん。わてなぁ、大概のことはそない気になれへんのだすけど、2つだけどないしても腹に据えかねることがありますのや」
「それはな、男がおなごに手ぇ上げる事と、わての嫁さんに的外れの悪口言われることだす!帰っとくれやす!」
新次郎、本気出した。
しかし逆上した萬屋は、偶然店の表にいたあさを見つけて、その体に刃を突き立てました。
そのまま意識不明となり、病院へ運ばれるあさ。
生死の境をさまようあさに、新次郎はその手を握り離しかけるのでした。


「わてより先に死ぬことだけは金輪際許さへんで。許さへん。わて置いていったら許さへんで…あさ!」

この涙の流し方。しわの寄せ方よ……
そしてあさは一時的ながら意識を取り戻します。

「よかった……よかった……よう頑張りましたな。よう還ってきましたな。」
あさ、奇跡の「ただいま」。
新次郎の涙の「おかえり」。
【→20週その1・その2】
あさは無事に一命をとりとめました。
しかし萬屋はまだ逃走中。
そこでボディガードとなったのが、九州から駆けつけた亀助でした。

「さすが中番頭や。頼りになりますわ」
炭坑部門の社長、ではなく『中番頭』で誉める新次郎。
そしてその亀助に、もう一つのことをお願いします。

「今回のことで身に染みてしもた。亀助。どうかあさのそばにいてて、守ってやってくれへんか」
亀助は嬉しそうに了承します。
【→21週】】
あさは無事に退院し、女子大学校設立に奮闘する中、一人娘の千代の縁談の話が盛り上がっていました。
なんだか落ち着かない新次郎。
千代にアドバイスしようとするも言い返されてしまうあさ。
そんなあさへ、新次郎からのアドバイス。


「千代はまだ蝶々で言うたらサナギの時期だす」
「おてんとさんみたいにさんさんと照らしてやることだけかも分からしまへんな」
千代はまだサナギであると新次郎。
道を照らしてきた大恩人たちがかつてのあさにそうしてきたように、あさも太陽であれって新次郎そのとおり。
それこそが『あさが来た』なのかなと。
【→22週】
雁助が倒れました。
神戸に向かう新次郎、榮三郎、亀助、うめたち。
雁助は無事に意識を取り戻すも。
「身内でもあらへんのに親身になって」と雁助の妻の言葉がチクっと刺さるうめ。
そんなうめへ。

「一緒に帰りまひょな」
何気ない一言ながら、うめは加野屋の身内だと優しく伝える新次郎。
本当に小さな気遣いが上手い方です。
【→23週】
千代の縁談、それは一筋縄ではいきませんでした。
一度断られてしまう千代。
そこで新次郎は、晴花亭で縁談相手である東柳啓介と会っていました。
啓介に君が縁談を断った理由は「政府で国を動かす仕事をしたい」という道を歩みたいがためでした。
役人になりたいという啓介に新次郎はある男の話をします。

「トモちゃんというお人がいてたんだす」

「トモちゃんいうのはなぁ、新政府で働いてましたのやけど、中央にいてたらしがらみばっかりででけへん事がある言うて、権判事辞めて、大阪でお商売始めましたのや。
商いの力で日本変えるのや言うてなぁ。鉱山や、紡績、商船…いろんなお商売やって、ほんまに大阪の町や、日本中のいろんな事変えてしもた。」
この時点で啓介は「トモちゃんとはもしかして」と気づくのですが、新次郎は続けます。

「啓介さん。わてらにはな、今の政府よりず~っと昔から守ってきた、のれんがあります。」
「江戸の世も御一新の時も明治の御世になっても、この世がどないに変わろうと、加野屋ののれんは270年ずっと懸命にこの国、裏から支えてきましたのや。」
啓介はよの、新次郎、あさ、それから千代自身の魅力に動かされ、
加野屋で「エジソンを支える仕事をしたい」と婿入りをすることになりました。
【→24週】
いよいよ開校を迎えた日の出女子大学校。
大阪恐慌を無事に乗り越えたあさは、自分も通ってみたかった大学校の席に座ります。
そのあさを見つめる新次郎は、机に向かうあさに、嫁ぐ前のまだ10代半ばだったころのあさを思い出していまいした。
新次郎は、惣兵衛たちのいる和歌山に向かいます。

「昔からの日本の景色が見たなって来てしまいましたのや」
どんどん変わっていったあさや加野屋の人々、そして時代。
新次郎はそんなことを考えて、少し寂しくなったのでしょうか。

同じく体調を崩している惣兵衛もこのときばかりははじけるような笑顔を見せます。
新次郎も惣兵衛も変わった。
穏やかに聞いてる笑顔が、改めて時間の流れを感じさます。
その惣兵衛が旅立ちました。

「惣兵衛さん……そっちはどないだす?」
新次郎がおみかんの山、山王寺屋を見上げながら惣兵衛に語りかけて。
穏やかな新次郎の隠れた涙。
やがて千代に第一子が誕生しました。

「ありがたいなあ、なんて美しいのや」
生命が「ありがたい」「美しい」と、新次郎。
いろんなことを見守ってきた新次郎らしい言葉であるなあと。
しかしそんな新次郎の様子がどうもおかしい。
あさは新次郎に「一緒に病院に行ってくれ」と頭を下げました。


「うん、わかった。ほんなら行こうか」
優しくも辛い「ほんなら行こうか」。
あからさまに弱るのではなく、内臓の細胞がひとつずつ死んでいくような、静かに静かにむしばまれていくような。
それが老いというものなのでしょう。
【→25週】


大塚医師の往診を終えたあと、あさに新次郎の病状が知らされます。
新次郎には直接知らされるわけではないのですが、この表情。
新次郎は、自分の覚悟はとっくに出来ているのでしょう。

「わてらなぁ、夫婦になってじき40年になりますのやで」
「ほんでなぁ、記念に木ぃでも植えとこか思てな」
記念植樹にあさが選んだのは梅の木でした。
幼いあさに新次郎がプレゼントしたぱちぱちはんも梅の木でした。


「あさがパチパチはん振ってたん踊ってたんを忘れられへんかったよってなあ」
「思う存分遊んでもらお思て、ええ音がなる雲州で作りましたのや」
明かされるあのときの新次郎の本音。
そろばんを弾くあさを愛していた、今も昔も。
あさは商いから手を引くことを新次郎に伝えます。

「そらあさが…誰よりもお商売の好きなこの白岡あさがお商売よりわてのほうが大事ゆうことだすか?」
誰よりもあさを知ってる新次郎が、今あさの本当に大切なものを知ること。
新次郎がずっと抱いていた『不安』が溶けていく安堵と幸せが、表情と涙に現れていた。
しかし、その命に残された時間は長くはないものでした。

「あさの思い、いろんなとこに伝わってますのやな」
「これからもいろんな人にパチパチはんを渡してあげて──」
忠政じいちゃんの役割を新次郎がもらい受け、これからはあさが新次郎の役割を。
そう言いかけた瞬間に。

本当に人が倒れるときに見るような倒れ方とその大きな音に、玉木さんの役者魂を感じます。
その夜、新次郎は家族に看取られながら最期の時を迎えます。
榮三郎、千代、啓介、亀助にそれぞれ話をしながら、あさの胸に抱かれ、あさに呼びかけました。


「忘れんといてなぁ。そばにいてるさかいなぁ。はあ…そばにいてるさかい。」
「あ~さ……」
新次郎の優しくあさを呼ぶ声が、最期の言葉になりました。
葬儀の日。
あさは涙をこらえきれず、中庭に出ると天気雨が降り出します。

新次郎と雨。
新次郎はずっと言っていました、「楽しいこと、嬉しいことがあると雨が降る」と。
祝言の日も、あさを迎えにいくときも、千代が生まれたときも。
新次郎は雨、優しい雨。
そしてまた月日が経ち。
あさは商いから手を引いたものの、静かに、しかし確かに女子教育に邁進していました。
新たに開催された勉強会。
あさは「本当にやらかい力を持っていたのは旦那様だ」と話をしたあと、ふとトンビの鳴き声のする方に目をやると。


新次郎のもとへ走り出すあさ。
それは老婦人ではなく、かつて加野屋に嫁いだばかりの頃、新次郎を追いかけていた若いあさでした。


「ご苦労さん。今日もよう頑張ってはりますな」
新次郎はずっと、そばにいる。
あさのそばにいる。
【→26週その1・その2】
「おいど」「なもなも」など「このニート何言ってんの?!」な数々の発言はこちら。
・【完全版】『あさが来た』まとめ3.新次郎の迷言・珍場面集【ハイスペック高等遊民】
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