GRPオイル添加剤のほうは、プラント設備の一部に保険的に
使用しており特に悪くなることもなく稼働中。
(デモのチムケンテストで極圧状態での性能見ているので)
というわけでチキソグリスも使おうとテストしてみた。
設備のなかで軸受が若干損傷(運転に問題ないレベルで内輪もしくは
外輪に傷があると思われる状態)のものにチキソグリス(♯2)をグリスアップしてみた。
…しかしチキソグリス給脂直後から耳でわかる程異音が大きくなり、
振動測定の加速度Acc(OA)も1.5G→2.1Gと増大してしまった。
マズいと思い、すぐに従来使用のグリス(アルバニア、#2)を打ち直した
ところ元の1.5Gに復旧。
チキソグリスを給脂したときの音質(聴診棒による五感)は、軸受の転動面の
油膜が薄く潤滑不足を思わせるような感じのものであった。
この結果から、使用条件によりチキソグリスも一般的なグリスより劣る
ケースもありうるように思えた。
(GRPオイル添加剤だと、もともと油潤滑だから添加しても潤滑環境的(粘度)
に影響のある程の変化で無く、潤滑メカニズムも変わらないと思われるし
条件下で添加剤の効果があるののと思われる。
グリスだと潤滑剤そのものを変えることになるから今回の現象が起こったのだと思う)
今回のケースの原因として
1)静止時の粘度は同等でも攪拌時の流動性(チキソトロピック)が
一般のグリスに比べて悪く粘度が高いために軸受で飛ばされたグリスが軸受箱内の側面
に付着し、そのままの状態を保持して軸受に戻ってこないので潤滑不足になるのでは?
2) 1)とは逆に攪拌時の流動性が良すぎて摺動面の油膜が薄くなり転動面の傷の振動
の吸収(緩衝)が悪くなり振動値(加速度)が増大した?
の何れかの状況になったのではと思われる。
これらにつき原因検討をさらに進めるためにメーカー(代理店経由)へ
・チキソトロピック性についてのデータ(出来れば常温、50~60℃のときも
含む多数の温度条件)について入手出来ないか依頼した。
※例:「見かけ粘度とせん断速度の関係」
「ずり速度とずり応力の関係」など
→質問依頼に対し、12日経過しても回答が無いので
「チキソグリスは問題無い」という根拠が示せるデータが
無いのだと思う。
→この記事書いた翌日(13日)にメーカー見解あり
3)グリスの混合(今まで使用していたアルバニア#2(リチウム系)のところに
チキソグリスを給脂したために混合グリスの粘度低下が発生した?)については
今まで使用していたグリスと十分入れ替わる位にグリスアップ(給脂)しても
改善されなかったので可能性としては低いと思われる。
【参考】
今回給脂して現象が出た機器情報
・機器:ブロア
・軸受潤滑方法:グリス(リチウム#2)
・軸受:6310C3
・回転数(ブロア):3650rpm
大まかな摺動面(軸受)周速度は55.0km/h(15.3m/sec)
もともと傷が無い軸受等への使用や摺動速度の低いものであれば
良好な結果が出るのかもしれないし、基油と増ちょう剤が分離して
困っているケースには良いのかも。
軸受異音で壊れそうなものにチキソグリスを給脂して延命したという
ような効果が書かれていたりするが、今回の結果を見てチキソグリス
使用にて全ての条件で改善される訳ではないと感じた。
グリスが一般的に「基油+増ちょう剤」で構成されているのに対し
チキソグリスはオイルベ-スでグリスと同等の粘度になるよう
作られているので摺動面での潤滑メカニズムが異なるのでは?
というようにも思われる。
この記事アップした後に来たメーカー見解については
次のブログにアップ予定です。
その2
https://blog.goo.ne.jp/zan06446/e/1484a46bcf9df99c1ab1ed7dc7293d92
その3
https://blog.goo.ne.jp/zan06446/e/0e9186d7230159aec8707b2e1470773b
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