ノーベル賞が発表され、今年も日本人の科学者が受賞するそうだ。そのこと自体を否定するつもりはないが、しかし、ひとつのノーベル賞受賞の背景には数え切れないほどの無名の人々の先行研究や失敗が存在していることを忘れることはできない。先行研究や失敗がなければ、形ある成果が生まれることはない。
それはもちろん科学技術の分野だけのことではない。われわれの社会全てにおいて言えることである。もし現在の日本に住む人々が、平和で豊かな暮らしをしていると思うのならば、それを作り出すために無数の人々の努力と犠牲があったことを思わねばならない。それは右翼であれ左翼であれ、社会や政治に対して意識的な人にとっては当たり前のことであろう。
その意味でノーベル賞受賞は同時にそうした無名の人々に思いをはせる機会であってよいのだと思う。
そうした中、いよいよTPP交渉も決着しようとしている。しかしここで語られていることは、こうした先人の努力や意志を引き継ぐものだろうか。特に知的財産権問題においては、アメリカの一方的な権益の拡大が目立ち、医薬品分野や著作権延長問題が、人類に対する恩恵ではなく金銭的富の確保の問題としてのみ醜く争われているという印象しか受けない。
今回のノーベル医学生理学賞に選ばれた大村智氏と提携していた製薬会社は、アフリカの寄生虫病に対して無償で薬を提供してきたのだと言う。TPP論議の対極にある話に聞こえるのはぼくだけなのだろうか。
それはもちろん科学技術の分野だけのことではない。われわれの社会全てにおいて言えることである。もし現在の日本に住む人々が、平和で豊かな暮らしをしていると思うのならば、それを作り出すために無数の人々の努力と犠牲があったことを思わねばならない。それは右翼であれ左翼であれ、社会や政治に対して意識的な人にとっては当たり前のことであろう。
その意味でノーベル賞受賞は同時にそうした無名の人々に思いをはせる機会であってよいのだと思う。
そうした中、いよいよTPP交渉も決着しようとしている。しかしここで語られていることは、こうした先人の努力や意志を引き継ぐものだろうか。特に知的財産権問題においては、アメリカの一方的な権益の拡大が目立ち、医薬品分野や著作権延長問題が、人類に対する恩恵ではなく金銭的富の確保の問題としてのみ醜く争われているという印象しか受けない。
今回のノーベル医学生理学賞に選ばれた大村智氏と提携していた製薬会社は、アフリカの寄生虫病に対して無償で薬を提供してきたのだと言う。TPP論議の対極にある話に聞こえるのはぼくだけなのだろうか。