いわゆる「遠隔操作ウィルス」事件に関して、ヤメ検弁護士の大沢孝征氏が、あるニュースショーに出演してこんなことを言っていた。
いわく「IPアドレスの主が犯人であるという常識があって、取調官は被疑者が犯人であるという確信を持っていたから、自白しないと少年院に行くぞ、認めれば軽くてすむぞ、くらいのことは当然言う。問題はその常識が実は常識ではなかったところにある。
「DNA鑑定でもそうだが警察官・検察官は技術的な部分を理解しているわけではなく、DNA鑑定の結果は正しいと信じているだけだ。今後は科捜研に匹敵するようなネット問題を鑑定する部署が必要になる云々」
バカも休み休み言え、としか言いようがない。
まず第一に今回の問題の根源は、これだけ冤罪が問題になっているときに、いまだに警察の現場では自白主義がまかり通っているということなのである。
もちろん犯人の自白を取ることが不要だと言っているわけではない。しかし、何度も何度も繰り返し言われているように現在の司法においては物証こそが基本なのである。物証軽視・自白尊重は秘密警察の手法であり、冤罪と言うか権力の意のままに民衆を弾圧しようとする思想である。
被疑者が否認しているのならそれを無理に自白させる必要は本来無い。物証が確かだと思うなら被疑者否認のまま送検すればよいだけである。裁判で心証がどうの情状酌量がどうのという話は警察のするべき話ではなく、被告が弁護士と相談して考えればよい問題だ。警察や検察が取り調べのときにそんなことを言うのは明らかに誘導であり、偽証の強要であり、デッチ上げを目論んでいるのだ(意識的にせよ、無意識的にせよ)
しかしそれではなぜ自白尊重が無くならないのか?
そのほうが簡単だからである。
地道に証拠固めをするのは大変なのだ。勉強もしなくてはならないだろうし、手間と時間がかかる。
それよりちゃちゃっと被疑者から自白を引き出してしまえば簡単だ、そういう発想なのである。
三文芝居にはよく「落とし」のナントカとか二つ名のベテラン刑事が出てきて、我々はなんとなくそれが取調官の仕事のように思ってしまうけれど、被疑者を脅迫して自白を引き出すということは、実質上の証拠の捏造なのだということをこの際はっきりさせておかなくてはならない。
先般大問題になった厚生労働省の郵便不正事件での証拠捏造は、それだけを見ると担当検察官が突然ありえないことをしたという印象だが、実は彼らの側から見れば常日頃から自白強要という証拠捏造をやっているのと同じ感覚で出来てしまうことなのかも知れない。
それにしても、そもそも今回のIPアドレスの問題は、大澤氏の言うようなものすごく難しい問題ではない。
警察官だって普通にインターネットは使うだろうし、P2Pを使ったり(もしくは過去に使っていたり)、いわゆる違法ダウンロードをしている人だってきっと沢山いるだろう。多くの警察官がウィルスやマルウェアについて大雑把には知っているはずだ。第三者のコンピューターを踏み台にしてサーバーへの攻撃を行う手法があることを誰も知らなかったとは(大澤氏はともかく)考えづらい。
おそらく大澤氏のような罪なほど無知な上司が「IPアドレスが一致したからあいつ犯人で確定」と言ったら、部下は役人根性丸出しの事なかれ主義でこれ以上面倒なことは言わないでおこうとか思ったに違いない。
誰か大澤サンにこれは科捜研とか言うような問題じゃないんだよと教えてやってくれ。
ついでに言っておくと、DNA鑑定だって絶対ではないというのも常識だ。あくまで他人のDNA型が一致しないというのは確率論的な結論であって、完全に無いとは言い切れない。まして一卵性双生児などの場合、DNA型が一致したっておかしくない。大澤氏にとってはそんな常識も「常識」ではないのだろうか。
それにどうやら検察調べの段階ではすでにログに残っていた2秒で書き込みを終了したという犯行状況が、被疑者の供述と矛盾することがわかっていたようだ。それでも起訴は止められなかった。これまたあまりに役人的な見てみぬふりである。一度決まった公共事業は何があっても止まらないというのと、どこか似たような無責任=責任取りたくない体質である。
役人・官僚が自己保身のために手を抜いたり事なかれ主義になったら、そのしわ寄せは全部一般庶民の側にやってくる。彼らがほんの数日、ほんの数言の手間を惜しむがために庶民の一生が台無しにされる。なぜか? 彼らが紛う事なき権力者だからだ。
マスコミも行政ももうこの辺で幕引きを図っているが、この問題はもっと徹底的に追及されるべきだと思う。
いわく「IPアドレスの主が犯人であるという常識があって、取調官は被疑者が犯人であるという確信を持っていたから、自白しないと少年院に行くぞ、認めれば軽くてすむぞ、くらいのことは当然言う。問題はその常識が実は常識ではなかったところにある。
「DNA鑑定でもそうだが警察官・検察官は技術的な部分を理解しているわけではなく、DNA鑑定の結果は正しいと信じているだけだ。今後は科捜研に匹敵するようなネット問題を鑑定する部署が必要になる云々」
バカも休み休み言え、としか言いようがない。
まず第一に今回の問題の根源は、これだけ冤罪が問題になっているときに、いまだに警察の現場では自白主義がまかり通っているということなのである。
もちろん犯人の自白を取ることが不要だと言っているわけではない。しかし、何度も何度も繰り返し言われているように現在の司法においては物証こそが基本なのである。物証軽視・自白尊重は秘密警察の手法であり、冤罪と言うか権力の意のままに民衆を弾圧しようとする思想である。
被疑者が否認しているのならそれを無理に自白させる必要は本来無い。物証が確かだと思うなら被疑者否認のまま送検すればよいだけである。裁判で心証がどうの情状酌量がどうのという話は警察のするべき話ではなく、被告が弁護士と相談して考えればよい問題だ。警察や検察が取り調べのときにそんなことを言うのは明らかに誘導であり、偽証の強要であり、デッチ上げを目論んでいるのだ(意識的にせよ、無意識的にせよ)
しかしそれではなぜ自白尊重が無くならないのか?
そのほうが簡単だからである。
地道に証拠固めをするのは大変なのだ。勉強もしなくてはならないだろうし、手間と時間がかかる。
それよりちゃちゃっと被疑者から自白を引き出してしまえば簡単だ、そういう発想なのである。
三文芝居にはよく「落とし」のナントカとか二つ名のベテラン刑事が出てきて、我々はなんとなくそれが取調官の仕事のように思ってしまうけれど、被疑者を脅迫して自白を引き出すということは、実質上の証拠の捏造なのだということをこの際はっきりさせておかなくてはならない。
先般大問題になった厚生労働省の郵便不正事件での証拠捏造は、それだけを見ると担当検察官が突然ありえないことをしたという印象だが、実は彼らの側から見れば常日頃から自白強要という証拠捏造をやっているのと同じ感覚で出来てしまうことなのかも知れない。
それにしても、そもそも今回のIPアドレスの問題は、大澤氏の言うようなものすごく難しい問題ではない。
警察官だって普通にインターネットは使うだろうし、P2Pを使ったり(もしくは過去に使っていたり)、いわゆる違法ダウンロードをしている人だってきっと沢山いるだろう。多くの警察官がウィルスやマルウェアについて大雑把には知っているはずだ。第三者のコンピューターを踏み台にしてサーバーへの攻撃を行う手法があることを誰も知らなかったとは(大澤氏はともかく)考えづらい。
おそらく大澤氏のような罪なほど無知な上司が「IPアドレスが一致したからあいつ犯人で確定」と言ったら、部下は役人根性丸出しの事なかれ主義でこれ以上面倒なことは言わないでおこうとか思ったに違いない。
誰か大澤サンにこれは科捜研とか言うような問題じゃないんだよと教えてやってくれ。
ついでに言っておくと、DNA鑑定だって絶対ではないというのも常識だ。あくまで他人のDNA型が一致しないというのは確率論的な結論であって、完全に無いとは言い切れない。まして一卵性双生児などの場合、DNA型が一致したっておかしくない。大澤氏にとってはそんな常識も「常識」ではないのだろうか。
それにどうやら検察調べの段階ではすでにログに残っていた2秒で書き込みを終了したという犯行状況が、被疑者の供述と矛盾することがわかっていたようだ。それでも起訴は止められなかった。これまたあまりに役人的な見てみぬふりである。一度決まった公共事業は何があっても止まらないというのと、どこか似たような無責任=責任取りたくない体質である。
役人・官僚が自己保身のために手を抜いたり事なかれ主義になったら、そのしわ寄せは全部一般庶民の側にやってくる。彼らがほんの数日、ほんの数言の手間を惜しむがために庶民の一生が台無しにされる。なぜか? 彼らが紛う事なき権力者だからだ。
マスコミも行政ももうこの辺で幕引きを図っているが、この問題はもっと徹底的に追及されるべきだと思う。