小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

医者は威張るべし

2008-12-13 02:14:32 | 医学・病気
「医者は威張るべし」

と書いたのは、当然、ある意味があって書いたのである。私はこの主張を否定しているようなあまり好きでない医者を見ているから、そう書いたのである。私が母校の三年の時だった。母校を卒業してから九州大学医の医局へ行き心療内科を学んで戻ってきた先生がいた。彼は母校の第三内科で心療内科をはじめた。たまたま勉強会があったので興味があったから出てみた。そして内容は忘れてしまったが、何かのことで、「それは私にもわかりません」と謙虚に言った時に、何かカチンと違和感を感じたのである。それは、一見、謙虚のように見えるだろうが、私には、「私は謙虚な人格の人間です」という事を誇っているように感じたのである。そこには自分は心療内科のメッカである九州大学医学部で学んだほどの人間だが、それほど知識と能力を持った人間でも、わからないことがあります、という謙虚さの自慢のように私には感じたからである。

そもそも人間は、「わかりません」、「わかりません」と言うクセを持ってしまうと、わかることでさえ、わからない人間になってしまう可能性があるのである。

四年の寄生虫学の授業の時、助教授が講義で面白い事を言ったのを対照的に覚えている。患者に質問されて、わからない事があったら、おもむろな顔つきで、ちょっとトイレへ、と言って部屋を出て、バーと駆け上がって急いで本を開いて調べて答えてた、と言ったのが印象深かった。医者はこうあるべきだと思う。

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