小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

人権擁護局は馴れ合い

2008-12-23 04:55:56 | 医学・病気
人権擁護局は八百長

精神科の閉鎖病棟には電話があるが、電話の横に、人権擁護局の電話番号が書かれてある。精神科では、患者の人権を治療のため、制限する事が多いからだ。不満や不審に思うことがあったら、人権擁護局に電話できるよう、電話番号が書かれてあるのである。私が研修医の時、私はある女性の患者を受け持った。彼女は、措置入院だった。彼女は、色々と面白く、また、かわいく、彼女の事は、また書きたい。しかし、彼女はある時、病院に不満を持って、人権擁護局に電話してしまったのだ。患者は、滅多な事では、人権擁護局に電話しない。医療者に文句を言う。そして、人権擁護局の人が来る事が決まった。その時の私のオーベンの医長の先生は、かなり権力を持った人で、また、やたら明るかった。私は先生を尊敬していた。そもそも付属の准看護学校の入学式に先生の誘いでついていったら、生徒達が、一斉に、「××先生」と歓声を上げた。私は、この先生は、こうまで愛されているんだ、と少し嫉妬したほどである。先生のおおらかな性格なら、それも無理はないが。あからさまに見せつけられると、やはり驚いた。
さて、人権擁護局の人が来る事になった時、先生は、
「人権擁護局の人は僕の友達だからね」
と言って私を安心させてくれた。
考えてみれば、それも無理はないだろう。人権擁護局の人も地域によって担当者が決まっている。だから、同じ人が病院に何回か来るうちに、先生の明るい性格から話してるうちに友達になってしまったのだ。しかし、これでは八百長だ。人権擁護局の人は中立であるべきだ。患者だってそう思ってる。しかし、だからといって、本当に八百長とは言えない。親しくしても手心を加えるという事はない。しかし病院に問題がある事はまずない。患者の人件制限での不満は、ほとんど100%が患者の被害妄想的なものだからである。もっとも医者ももっと丁寧に説明すべきなのだが、仕事に慣れてしまっているので、患者が納得いくまで説明すべき事を、少しいいかげんにしているところがある。

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