すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【レアル久保建英】大暴走する日本の「スターシステム」

2019-08-04 09:30:10 | その他の欧州サッカー
レアルは大手術が必要か?

 レアル・マドリードがピンチである。

 プレシーズンのインターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)はアトレチコ・マドリーに3-7と大敗するなど、いいところなし。

 その後参加したアウディカップでも、なんと3位決定戦で格下のフェネルバフチェと5-3とザル同士の打ち合いになる始末だ。そのため危機感を抱いたスペイン紙は盛んに「久保が必要だ」などと煽るが、はてさて。

 実際、レアルが深刻なのはスタメン組にモチベーションがない点だ。メンタルに問題がある。まるで消化ゲームのような雰囲気で致命的にインテンシティが低い。球際も激しく競るでなし、緩慢なパスミスも目立つ。

 守備の崩壊も目が当てられない。レアルは前でボールを失うと自ゴールまで敵が直通になる。攻撃陣はボールロストするととたんに足を止め、ネガトラもへちまもない。

 チーム全体に強くプレスをかけるわけでもなく、両サイドは絞りながら引いてこないわ、バイタルはスカスカだわ、もうさんざん。

 選手別ではオーバーウェイトのエデン・アザールはゲームから完全に消えている。あのダイエットが必要な胴回りは致命的だ。クロスを入れる際にカラダをひねるのにもひと苦労している。

 かたやベンゼマはフェネルバフチェとの3位決定戦では、相手がユルかったせいでたまたまハットトリックしたが、やる気がないのはミエミエで動きが重くインテンシティが低い。

 この2人が象徴的だが、ほかにもミスだらけのマルセロや、アンカーなんて無理なのに押し付けられてひと苦労のクロース。また準レギュラーのイスコは自己中サッカーでバランス感覚に欠ける。チーム全体にスタメン組は決定的に覇気がない。まるで今のレアルは死人の群れのようである。

売り上げ倍増を狙う商売人たち

 てなわけで危機感を抱いたスペイン紙は、「久保をトップチームに」などと蜂の巣を突ついたような騒ぎになる。とはいえ彼らスペイン人の反応は久保うんぬんがというより、むしろだらしのないスタメン組に対するアンチテーゼである。同国人を応援したい日本人とはちがう。

 だがそれを利用して日本のメディアが煽るわ、煽るわ。「スペイン紙が久保絶賛!」「スペイン紙の人気投票で久保が1位に」などと、スペイン現地紙の紙面を引用する形で、いかにも「客観報道」を装いながら恣意的な情報コントロールが行われている。洗脳だ。

 そもそも試合の70分すぎからたった20分だけプレイした久保をつかまえ、「美技に圧倒!」みたいな持ち上げ方をするのはどう考えても異常だ。

 もちろん久保が1軍入りすれば、それを追う日本のスポーツ紙やサッカーメディアは売り上げ倍増でウハウハだろう。ラ・リーガを配信しているDAZNも契約者数がハネ上がる。降ってわいた未来の「広告塔」に、さぞかし電通も舌なめずりしているにちがいない。

 かくて「久保特需」を狙う商売人たちによる、あのテこのテの報道合戦が炸裂するわけだ。

 だいたい練習中のユルいミニゲームで久保が見せる小ワザ動画をいちいち公式ツイッターで配信して人気を煽る、レアルの営業サイド自体が異常なのだが。

 で、じゃあ実際どうなんだ? といえば……そりゃあ、いまの生気のないスタメン組で行くくらいなら、ヴィニシウスと久保、ロドリゴを軸にしたほうがはるかにマシ、に見えてしまうのがレアルの致命的なところなわけで。

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