レトロの小部屋

紙物を中心に古物を集めています。
ついでに所蔵品の思い出も。

糸要らず今昔

2020年04月02日 10時19分51秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

裁縫上手というボンドがあるそうです。webから画像拝借しました。

昔もこんなのがありました。戦前のものでしょう。
特許とってあるので、特許庁のホームページからいつのものか調べられるのですが、今日はめんどくさい。

縫うのがめんどくさいから、作られたのでしょうが。

ビンのカテゴリーにしようかと思いつつ、インクビンに混じらせて忘れていました。

ビンのガラスが均等で無いのか穴が開きそうな部分があります。これだけでしょうが欠陥です。
もっと、大きいい容量のも見たことがあります。

今も昔も容量に2種類あるのも、同じ発想なんですね。


ミシンの話

2019年11月25日 15時26分09秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

ミシンの宣伝絵はがきなのだと思った。

ひっくり返してみると、アレアレ絵はがきじゃない。

説明文を読むと、3個抽斗の家庭用ミシンで、使用しない時は頭部を唐木の台にしまい込める。
家庭へ無料出張教授すると書いてあります。

ミシンに座っているのは、袖丈から見て独身女性で、メーカーから来て使い方を説明している。
背中越しにこの家の主が見ている。
前から見ているのが主の妻と息子。
畳に座るのは主の母と娘だと想像します。

母も、農家なのでモンペとか、ワンピースとかゴム入りのスカート縫ってくれました。

ウェブで、図書館の本で見た記憶のある浮世絵を発見しました。

主人がお世話になった禅寺の和尚様が「一汁一菜あれば、子供を置いて働きに行くな」とおっしゃいました。
今の人が聞いたらびっくりするでしょう。

言いつけを護って工業用の貸ミシンで内職を始めました。
慣れないうちは、一日12時間くらいも、背中を丸めて品物と格闘しても、1000円くらいしかできません。
仕事先からはダメ出し食らって、ほどいてやり直すのに3日かかりましたが、めげずに続けました。

和物から、ブラウスを縫えるようになり、子供の病気や学校行事も家庭の用事も、夜なべで納期を守り他人より良い品物に仕上げました。

貸ミシンを返して、より性能の良いオーバーロックとコンピューターミシンを買って独立しました。
仕事先を私が選びました。
バブル期には、高級な仕事がたくさんありました。
バブル崩壊、仕事はアジアへ行ってしまいました。
子供が大学と高校になっていたのでパートに出ました。

サイズの統一は崩れて素材も怪しいものがあふれるようになりました。

消費税が上がったとたんミシンが動かなくなり、思い切って買い換えました。
家庭用ミシンは捨ててしまったし、あっても、工業用を踏んだ人は家庭用は物足りない。
要らなくなったら、私が死んだら買い取ってくれるんだって。

 

 


ゴム通し

2018年10月06日 07時56分12秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

祖母が愛用していた頭の色が赤のゴム通し、耳かきによく借りていましたので、予備の紺色の頭のをくれました。
平成元年のクリスマスに88歳で逝き、今では形見です。

裁縫箱の中身を蒐集するようになると、様々なものがあったことを知りました。
アイデア商品の一つだったかとさえ思います。

ゴムを耳にかけたガーゼのマスクのゴムを外して、靴下のゴムの補強にしたときは、こちらが便利でした。

プラスティックのもあります。

現在はコレばかり使っています。


和服用裁ちばさみ

2018年09月09日 11時36分19秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

和裁用のはさみです。

左の一番大きいのが裁ちばさみで19㎝あります。
刃の反対側が丸い特徴があり、丸い肩を滑らせながら切り進みます。
和服の反物の幅はおよそ38㎝。
襟(えり)や衽(おくみ)を裁つ場合でも、直線裁ちですからこれで充分でした。
祖母が使っていました。
見つけた時、懐かしかった。
よく使い込んであります。

その隣のはさみは、裁ちばさみと糸切ばさみ兼用です。
刃の反対側が、丸みを帯びているのと、なだらかなのです。

右に並んでいるのが糸切ばさみ達です。

裁縫に不慣れな頃、はさみを握りしめすぎた経験はありませんか?
すると、ここで怪我しそうになります。

30年以上前からキャップを付けたものが作られていて、子供たちが小学校で使ったお道具箱に入っていました。
いいアイデアで、これなら安心です

90~110㎝幅で曲線裁ちの洋服の裁ちばさみですが、前々から和服もこちらです。


繊維の変遷

2017年12月11日 11時16分42秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

いったい、織と編みはどちらが先だったのかと思った事がありました。
遺跡の出土品にこんなものがあったと、本に載っていました。

イラクサやアカソ、楮(こうぞ)や藤の皮をはいで繊維にしたそうです。

イラクサです。

アカソです。

苧麻(ちょま、からむし)の皮です。
茎のことを軽(から)といい、茎の皮をはいで蒸したので、植物の名がカラムシになったそうです。

楮(こうぞ)です。

葛です。

大麻です。

麻糸つむぎが上手だった慶応生まれの曾祖母の元に、町から業者がたびたび訪ねて来ていたと祖母が話してくれました。
これは曾祖母の残したものです。

歴史的には綿より絹が先だそうです。

絹を紡いだ蚕の繭です。

山で見かける山繭と比較です。

私が子供のころ、母が婦人会で講習を受けたのか農閑期に絣を織っていました。
大工さんに作ってもらった織機。付随する筬など諸々の道具が揃っていました。

畑で綿を栽培して糸にして、自らデザインした絣。
池で腐らせて乾燥した植物繊維で防染して紺屋に依頼します。

綿です。

綿にはたくさん種が入っています。

それを「綿繰り機」に通し取り除きます。

綿を挟んでハンドルを回すと、種が押し出されてポロポロ落ちます。
潤滑油に鯨の油を塗っていました。キーコキーコと音がしました。
祖母が母を手伝って、15歳で嫁いだ祖母、19歳という年齢差の嫁姑が仲良く冬を過ごしました。
平成元年のクリスマス祖母は88歳で逝きました。

綿は糸車で糸にします。
祖父母も両親も逝った後、この糸車は遺品としてもらいました。

一般的にハンドル部分がこんなのがあります。

腕を大きく回すのは疲れるでしょう。
こちらは外輪は大きく、ハンドルは手元で小さく回し効率が良い。

そして作られた縦糸です。
実際は反物の長さ13mです。母のではありません、古物として入手しました。
これにデザインした種糸を一本添わせ、墨印の部分を防染し、機にかける前に種糸を抜きます。

小学生のころ、糸を筬(おさ)に通していく作業の手伝いをしました。
雪明りの縁側でかじかむ手で糸を一本づつ、一本でも順番が間違っていると母がその場所までガサッと全部抜いてしまい、また後戻りでした。

茎の皮を細く裂いてつなぎ縒り合わせて糸にすることを「績む(うむ)」と言う。
綿や繭から繊維を引き出し糸を縒ることを「紡ぐ(つむぐ)」と言う。
紡績という言葉が生まれました。

綿の種を入手したので懐かしく、花壇に蒔いてみました。
つぼみです。

開花。

酔芙蓉のように紅くなります。

そして、

茶色い綿もあったこと初めて知りました。花も葉も見分けがつかず、綿がみえてはじめてわかります。

母も祖母も知らなかったろうと思います。 

 


アイロン 1

2017年05月29日 09時43分45秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

アイロンは蒐集していませんが、露店で写真を撮らせて頂きました。
中に炭火を入れて熱して使います。

蓋を外すと。

鉄全体が熱くなりますから、持ち手を握る指の熱さ予防に上部に付けられた舟形の鉄ですが、やがては熱が伝わるのではないかと心配します。

後ろ姿です。

内部です。

後方のアルミのパイプは置かれている椅子です。

この形は戦後まで残っていました。



昭和のお初めには電気アイロンが出来ていましたが、壁や柱にコンセントが普及していません。
天井から下がる電球を外して、丸いコンセントをねじ込んで電化製品を使いました。

こちらはコテのように全体を火に入れて温めて使うモノらしいです。

古くから火でシワをのばすので「火のし」という、ひしゃく型の物がありました。
オモチャですが「火のし」と「コテ」です。

 


女学校生の雛形作品 6 選科

2017年05月27日 07時17分13秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

竹で作られています。袖の丸みの型取りに使ったのでしょう。

裏に「選科い組」と持ち主の名前があります。

専科ならわかりますが、選科。
昔の学校制度では本科に準じて、科を選んで学べたので選科と言ったのだそうです。

洋服を選んだ?
ポケットは大きく分けて貼りポケットと切りポケットがあります。
貼りポケットはカッターシャツの胸の様にぺたんと貼り付けます。

これは切りポケットの見本です。
生地を切って、上と下2枚のポケット布を縫い付け内側に入れ込みます。

内側です。

蚊帳のミニチュアです。
蚊帳を家庭で仕立てる事があったのかどうかは、わかりません。


ある骨董市で、紫の緞子(ドンス)で仕立てられて、四角に豪華な紫の房の付いた未使用の蚊帳を見た事が有ります。


女学校生の雛形作品 5 

2017年05月26日 07時19分35秒 | 裁縫用具・布・仕立雛形

女性の着物は日常着ですから普通に仕立てる事ができました。
女性との違いを把握するためにか、衽(おくみ)を省略した男性の着物がありました。

着物の上にコートを着て出かけます。衿の縫い方が分かる様に片方は仕上げてありません。
11月から3月まではコートを着用しました。
コートを着ないで外出していると、帯が見えるので「帯裸(おびはだか)と嘲笑されました。
4月から10月までは透けて見える絽や紗のコート、あるいはレースのショールを着用する人もありました。

飾り結びした紐は、縫い付けてあります。

丈の短い半コートです。

女性の着物の比翼仕立ての方法の見本です。
比翼とは重ねて着ている様に見せる技法で、現在は留袖にみられます。
重ねて着ていた名残で、寒かった昔、浮世絵などでは実際に重ねて着ています。。

衿は広衿です。
2枚重ねて着ているように見せ、袖も裾も動いても着くずれしない仕立て方です。

単衣物(ひとえもの)にもあります。裏布のある袷(あわせ)の着物ほど袖や裾は大きく開きません。

絽の着物にも見られます。

図書館の和裁の本の1ページです。