ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

河合隼雄『対話する生と死-ユング心理学の視点』2006・だいわ文庫-心理療法を深める

2024年05月13日 | ユング心理学に学ぶ

 2019年春のブログです

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 河合隼雄さんの『対話する生と死-ユング心理学の視点』(2006・だいわ文庫)を再読しました。

 これもかなり久しぶりで、小さな文庫本なので、本棚の片隅にあったのを見つけて読んでみました。

 しかし、中身は充実していて、いい勉強になりました。

 さすがは河合さん!です。

 今回、特に印象に残ったところを一つ、二つ。

 一つめは、治療者の私が、もう一人の私としての病者を自覚すると、病者の心の中のもう一人の私としての治療者が働きはじめる、ということ。

 深い言葉です。

 転移・逆転移を表現しているとも言えそうですし、患者さんの自己治癒力の発現の機序を語っているようにも思えますし、さらには、もっと深いことがらを表現しているようにも思えます。

 たぶん北山修さんも同じようなことを話されていて、もっともっと考えてみたいな、と思いました。

 二つめは、治療者が安定してそこにいることの大切さ。

 治療者が患者さんを理解しつつ、そこに一緒にいることの重要性を説きます。

 これはもう、精神分析でもさんざん話題になっていることがらですね。

 三つめは、心理療法において練習を積むことの大切さ。 

 鍛えたうえでこそ、とっさに出てくることが理にかなう、と述べます。

 そして、苦しくても頑張りぬく姿勢が大切で、いい気になると駄目なことが多い、と警告をされます。

 一般、初心者向けの本ですが、丁寧に読むと、かなり奥深い、いい本だと思います。

 さらに、謙虚に、勉強を続けようと思いました。     (2019.4 記)

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 2020年11月の追記です

 練習を積むことの大切さは、他の世界でも同じでしょうが、心理療法でもいろんな方が強調されています。

 まずは基本を身に付ける、型を究める、などなど。

 そのうえで、土居健郎さんのいう、出たとこ勝負、が重要になるのかもしれません。    (2020.11 記)

 

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沢木耕太郎『旅のつばくろ』2020・新潮社-沢木さんが日本を旅する

2024年05月13日 | 随筆を読む

 2020年5月のブログです

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 沢木耕太郎さんの『旅のつばくろ』(2020・新潮社)を読みました。

 沢木さんの新刊です(えっへん!すごいでしょ)。

 本書はJR東日本の車内誌「トランヴェール」に連載されたエッセイをまとめたもの。

 おもしろいです。

 老人になった(?)沢木さん(沢木さん、ごめんなさい。でも、沢木さんはじーじより7歳年上なのです)の、しかし、気持ちの若々しさがうらやましいです(何がちがうんだろ?)。

 旅は、沢木さんの高校時代の東北貧乏旅の思い出から始まって、東北、北陸の旅や思い出話などが綴られますが、沢木ファンには懐かしいお話も出てきます。

 例えば、エッセイ集『246』(たぶん?)に出てきたハチヤさん(養蜂家)のお話や、別のエッセイでの高倉健さんのお話、『深夜特急』でのお話などなど。

 また、作家吉村昭さんとの仙台でのお話もこころ温まります。

 そうそう、青森の三内丸山遺跡の話も出てきます。

 入場料が無料と書かれていて、あれ?じーじが行った時はたしか340円(?)だっだよな、と思って読んでいくと、最後に、念のために調べてみると、入場料は2019年4月以降、有料になっていました、残念、とあって、沢木さんの几帳面さがここでもうかがえます。

 やはり、まじめな方なんだなと、改めて感心させられました(このへんがじーじとはだいぶちがいます)。

 本書を読んでいると、ゆっくりと時が流れる感じにひたれます。

 いい本を読めて、幸せです。     (2020.5 記)

 

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