tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

ピーター・ブルックとグランド・シャルトルーズ

2014-11-25 17:26:39 | 映画-は行
 『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』、サイモン・ブルック監督、2012年、仏・伊合作。

 今、この瞬間を生きるということは、とても難しいことなのだな、と改めて思う。
 俳優さん達は、「嘘です」という世界を、「現前」させるために特訓を行う。それは体の動きであり、即ち「今生きている」ことへの集中力だ。それと共に、リアルに辿りつくには「想像力」が必要だということにも、やはり衝撃を覚える。

 「本当です」ということの、いかに偽が多いか。

 でもそれを見分け、認識するのはなかなかに困難だ。


 そう思うと、例えば、

 『大いなる沈黙へ グランド・シャルトル―ズ修道院』、フィリップ・グレーニング監督、2005年、仏・スイス・独合作、
 
 こちらは脳に制限をかけた人たちの話だ。

 善良な人達だと思う。ちなみに余計な話もしないから、その中ではもめ事もない(ように見える)。
 脳にうまく制限をかければ、生きるための「合目的的行為」のみで足りる(ように見える)。いや、それでも祈らないと脱線するのかな。作品の中の祈祷の時間は、脳と意識に制限をかける、魔法の時間とも受けとれる。ここまでです、あとは神様にゆだねなさいと。

 想像力の使い方について考える。

 善良な人間でありたい。難しいけど。