tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『バッド・ウェイヴ』…彼の犬は幸せの源

2022-11-22 00:08:25 | 映画-は行

 花粉が凄くて、しまい込んでいた空気清浄機を引っ張り出した。

 そんな良く晴れた11月のとある日に、dTVで観た映画。

 

 『バッド・ウェイヴ』、マーク・カレン監督。2017年、94分、米。

 ブルース・ウィリス、ジョン・グッドマン、ジェイソン・モモア。原題は、『Once Upon a Time In Venice』。

 

 「世界一ついてないあの男、完全復活!」とコピーが付いた邦題は、「バッド・ウェイヴ」。

 『ダイ・ハード』シリーズを彷彿とさせ、全盛期の飛ばしまくるブルース・ウィリスをイメージさせようとしたんだろう。

 

 

 でも残念ながら、これはそんな映画じゃない。

 カルフォルニアのヴェニスという、ビーチの有名な小さな町。とある何でもない日に、ちょっとしたドタバタが起きました。もう「ほんわかコメディ」と言った方がいいんじゃないかな。

 ブルース演じるスティーブを筆頭に、個性的なキャラクターが笑わせてくれるけれど、極端に良い人もいなければ、極端に悪い人もいない。

 大体スティーブ。

 運が悪いなんて、当人は多分そんな事は思ってもなさそうだ。良くもないけど、悪くもない。目の前で起こる「珍事」(と思ってそう)を咄嗟に「解決」しようとしているだけ。

 そこはいつも通り、後先考えない方法で。

 

 結局スティーブは、盗まれたバディ(犬の名前で、相棒という意味)を取り戻し、どさくさで自分の生まれ育った両親の家(不動産屋のものになっていた)も取り戻す。

 そう。観客がふと気がついた時には、町で唯一の探偵である主人公が、自分の盗まれた飼い犬を、必死に取り戻そうとしているだけの話になってるのだった(笑)

 

 「俺の犬はどこだ。」

 いい台詞だなぁ。

 気がつくとこればっかり言ってる、ブルース・ウィリス。

 

 

 「とある何でもない日に、ちょっとしたドタバタが起きました。舞台はカルフォルニアのベニス・ビーチ。主人公の生まれ育ちもベニス・ビーチ。今は観光地として生まれ変わりつつあるけれど、ちょっと前はスラム化していて、安い家賃を目当てにおかしな芸術家が集まっていたという、ベニス・ビーチ。主演は、ブルース・ウィリスです。元警察官で、今は探偵です。」

 Once upon a time in Venice.

 

 いや、絶対観るでしょ。そんな事ない???

 

 いい話だなぁ。

 

 

 今年2022年の3月30日、失語症を理由にブルース・ウィリスが俳優を引退すると、奥さんと元奥さんから発表があった、という記事を読んだ。

 記事の中では、奥さんと元奥さんと、その子供達と、皆で並んで、仲良く写真に写っていた。

 

 ありがとう、ブルース・ウィリス。

 沢山ワクワクさせてもらった。あと、幸せな気分をありがとう。どうぞいつまでもお幸せに。

 

 

不祥事で警察官を退官し、町で唯一の探偵になったスティーブ。↓しょっぱなで警察の御用になりそうに。裸族はいかん(笑)

親友のデイヴと。↓子供の頃から同じように、サーフボードを持って並んで歩いていたんだろうなぁ。

親友役のジョン・グッドマン。この表情はハリウッドの至宝。↓

不動産屋と、バディ(犬)と、青い空。↓

   

日本とアメリカのポスターそれぞれ。↑ 米版の下部には、「男の犬に絶対手を出すな」と。いや、だから笑っちゃうから。笑っちゃって、ちょっと泣けた。

 

 

 

 


『アムステルダム』…仮称でありつづける楽園

2022-11-13 21:23:48 | 映画-あ行

 実話を交えたサスペンスというけれど、夢の中にいるような気持ちになる。

 

 アムステルダム。バートとハロルドは第一次世界大戦で負傷兵となる。ヴァレリーも加わり、そのまま終戦後もオランダのアムステルダムで、三人は日々を過ごした。

 1918年の終戦から、1939年に第二次世界大戦が勃発するまでの21年間の物語。

 

 戦後の混沌とバブル、戦争の英雄と復員兵。仕事に就けない負傷兵たち。

 そしてとある政治的陰謀。

 

 史実の要素に、コミカルなフィクションを織り込んだ。いや、逆かな。フィクションに史実の要素を織り込んだ。何だか境目が分からない。

 

 けれど一つ分かるのは、「アムステルダム」という楽園は、いつもどこかに確固として存在しているということだ。

 楽園だからこそ、それは仮称でありつづける。いや、逆かな。仮称であるからこそ、楽園なのだ。史実にも現実にも縛り付けられない、どこかの場所で。

 

 

 『アムステルダム』、デビッド・O・ラッセル監督。2022年、米、134分。原題は、『Amsterdam』。

 クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントン。等々、豪華キャストが登場。テイラー・スウィフトもちょい役で。ロバート・デ・ニーロが観られたのも最高。

 

1920年代、三人の友情。「生涯お互いを守り合うこと」と誓う三人。↓

時は経ち、上流階級のパーティーにて。↓ボヘミアン・ラプソディのラミ・マレックは資産家役。

七変化のクリスチャン・ベール↓


『RRR』…観れば血流ナイアガラのごとし

2022-11-07 13:56:52 | 映画-あ行

 『RRR』、S・S・ラージャマウリ監督、2022年、179分、インド。N・T・ラーマ・ラオ・Jr、ラーム・チャラン。

 第88回ニューヨーク映画批評家協会賞、監督賞。第80回ゴールデングローブ賞、作品賞(非英語作品)ノミネート。オリジナル歌曲賞(「Naatu Naatu」)受賞。

 

 インドの超巨大アクション・エンターテインメント。

 『トップガン-マーヴェリック』同様、このジャンルは結構好き嫌いがあると思うけど、個人的には、いや~改めて好きだぁ!

 

 それで、この映画の何が凄いって、とにかく人間パワーとエネルギーが凄い。心身ともに。

 IT大国インドとは言え、そんなもん関係ねぇ!とばかりに、血をたぎらせる訳ですよ。いや、VFX技術とかも凄いんですよ、そりゃ。大金掛けてますし。インド映画史上最高額の、製作費約97億円。聞いた話では、今夏の『キングダム2』は約20億円。それでも日本映画破格の最大規模(プロデューサーによると「普通の映画の約7本分」)と言われるんだから、桁違いです。

 ちなみに『トップガン-マーヴェリック』は、約218億円。ハリウッドでは、まあ多い方かな?位だそうで、日本映画にももっとお金を掛けられたらなぁ・・と普通に感想が出ます。

 

 お金の話はさておき、さて、画面からほとばしるこの沸騰した人間力。

 大体主人公が、ひげ面のおっさん二人ですからね。映画の中では「分かったな、ヤングマン」とか呼びかけられてますが、まあ高校生ではないんですよ。幾つの設定か知らんけど、存在の説得力が凄い。(ちなみに主演の二人は、現在40歳と38歳なので、撮影時は30代後半ってところでしょうか。)

 そして冒頭しょっぱなから、がんがん差し込まれる群衆シーン。

 もうむやみやたらと人数が多い。もみくちゃにされたり、うわーっと寿司詰めで取り囲んでいたり、と思ったら、突然整然と組み体操みたいな、わーきれいだなーなんて(笑)

 動物力ももちろん爆発。

 良く見ると動物の毛並みがちょっと荒い?画もありましたが、もうそんなん関係ないんですよ。動きですから。動き。

 

 動きと言えば、ダンスです。

 インド映画と言えばダンス。

 このインド映画お決まりのダンスシーンには、「いや、急に?」と違和感を感じられる人もおられると思いますが、この映画では割と「急に」感は感じませんでした。没入しすぎて自分が気づかなかっただけかも知れませんが。

 ダンスシーンは、家に帰ってからYouTubeで何回も見てしまいました(楽しい!)。念の為(?)貼っておきますね↓

 (これだけ先に見ると、「急に」感が強まる可能性があるので、既に本作を観た人用でお願いします。)

 

Naacho Naacho (Full Video) RRR - NTR, Ram Charan | M M Kreem | SS Rajamouli | Vishal Mishra & Rahul

 

 ちなみにこの動画、半年で約1.8億回再生されています。うち何回かは私です(笑)

 主演のお二人は、インタヴュー映像を見る限り、とても奥ゆかしい物腰、また謙虚で静かな微笑みを絶やさない好紳士ですが、このシーンを見れば恐怖さえ覚える強靱ぶり。CGじゃないですよ(笑) ちなみにダンスシーンは、ウクライナはキーウのマリア宮殿にて、戦争前に撮影されたそうです。

 ついでに、もう一つ。

 こちらも既に観た人用なので、これから観るという方は目を瞑り、サムネイルも見ないようお願い申し上げます(汗)

 

映画『RRR』最強の肩車

 この足腰と体幹です。人知を更新した動くマッチョとはこの事。秒で入る(笑)スロー再生もぐっと来る!!インタヴューによると、監督は「動物たちの伸縮性、特に伸びる方」のイメージを取り込めたら、と良く考えるそうです。

 

 

 で、結局はどんな映画なの?

 という訳で・・舞台は1920年代の英国領インド。

 独立運動が高まり、ガンジーが表舞台に現れたのもこの頃。当時の、実在の抗英闘争の英雄のうち二人を下敷きに、インドの『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』という2大叙事詩の登場人物のイメージを重ね合わせたそう。最後はもう武神でほぼ神話になっちゃってます(これは個人の感想)。

 二人のキャラクターは、森の穏やかな少数民族出身のビームと、都会人で知識人のラーマ。

 名前も実在人物と同じだけど、実際にはこの二人は出会ってはいないそうです。そこを、架空の出会いと友情で繋げたらどうなるだろう、という発想から出来たストーリーとのこと。

 

 

 3時間と、上映時間も熱々です。インド本国では休憩があるようだけど、日本では無し。

 しかし想像をはるかに超えた怒濤のアクションと展開が、これでもかこれでもかと休むことなく繰り広げられ、3時間はあっという間でした。

 シーンごとの映像もきれいでした。

 

 一切泣かせに来ない、感動巨編。いや~、これは。

 3時間あるのに、もうまた観たい(笑)次はIMAXで観たいなぁ。これは、今年の1,2を争う傑作かも。

 

 

これだけ見ると、どうなっちゃってんの?というカットだけど大丈夫です。(何が)↓

果てしなく期待が膨らむ冒頭シーン↓

ほのぼのシーンもあります↓

「RRR(アールアールアール)」とは、監督と主演二人の頭文字。仮称だった呼び名がそのままタイトルに。英語圏では「Rise(蜂起)Roar(咆哮)Revolt(反乱)」、本国テルグ語、タミール語等では「怒り、戦争、血」の意味のRの入った語が、サブタイトルに付いているそう。↓

気になった方、まだ映画館でやってますよ!(笑)大画面でぜひ。