菅首相、文大統領と初の電話会談 韓国側は経済関係改善狙うも…突き放す菅氏 元徴用工訴訟問題など「韓国に適切な対応を強く要求」 「元徴用工」どうなる日本企業の資産現金化
日韓の首脳が公式に意見を交わすのは、2019年12月に中国で開かれた日中韓サミットの際に行われた安倍晋三前首相と文大統領の首脳会談以来となる。
菅首相は会談後、官邸で記者団に「日韓両国は、お互いにとって極めて重要な隣国であり、日韓、日米の連携は重要だ。新型コロナウイルス問題をはじめ、さまざまな課題に共に取り組んでいこうと話した」と説明した。
「非常に厳しい状況にある両国関係をこのまま放置してはならないと伝えた」とした上で、いわゆる元徴用工訴訟など「さまざまな問題に関するわが国の一貫した立場に基づき、今後とも韓国に適切な対応を強く求めていきたい」と述べた。
第2次安倍政権時のスタンスからブレがないことと、ボールは韓国側にあることを改めて強調した形だ。
菅首相は20日にトランプ米大統領と初の電話会談を行ったのに続き、オーストラリアのモリソン首相とも電話会談した。22日にはドイツのメルケル首相、欧州連合(EU)のミシェル大統領、23日午後には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長やジョンソン英首相と相次いで電話で会談した。
25日には、中国の習近平国家主席との電話会談に臨む予定で、その前に文氏と会談を行ったという流れだ。
日韓首脳の「対話」をめぐっては、文大統領が16日、菅首相に「地理的・文化的に最も近い友人である日本政府と、向かい合って対話し疎通する準備がある」との内容の書簡を送った。
その後、韓国メディアは日本側から返事がないと気をもんでいた。龍谷大教授の李相哲氏は、「もし米国からの書簡であれば忙しい中であってもすぐに返信しただろう。それほどに日韓関係が冷え込んでいるということだ。韓国側は日本の反応を非常に気にかけており、政権が代わったことへの期待感がある」と読み解く。
19日に「3日遅れの便り」が菅首相から届いた。韓国大統領府は、書簡には「難しい問題を克服し、未来志向的な日韓関係を築いていくことを期待する」「日韓両国は重要な隣国だ」と書かれていたと説明した。
書簡のやり取りについて、ジャーナリストの室谷克実氏は、「書簡で韓国側は『友人』という言葉を使ったが、日本側は『隣人』扱いに終わった。日本にすり寄るきっかけがほしい韓国はチャンスと考えているが、現在の日韓関係で日本が社交辞令の範囲を超えることはない」と解説する。
韓国側が菅政権側の対応にここまで気をもむ狙いは、日本との経済面での関係改善だ。直近の問題では、新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限の緩和を目指している。
韓国メディアによると、韓国の経済団体、全国経済人連合会(全経連)の許昌秀(ホ・チャンス)会長は18日、菅首相に書簡を送り、「入国制限が解除されて両国のビジネス関係者の往来が円滑になることを望み、両国の投資が拡大するよう新首相が努力することを希望する」と強調したという。
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