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文在寅政権の命運を握る「4割」と「中道」 日本経済新聞 電子版

2019-11-02 09:09:44 | 日記

 

文在寅政権の命運を握る「4割」と「中道」
編集委員 峯岸博

2019/10/31 23:00
日本経済新聞 電子版
 
 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に10月中旬、動揺が走った。韓国ギャラップが実施した10月第3週の世論調査で、大統領支持率が39%と初めて4割を下回ったからだ。40%割れは政権の地殻変動を予感させる不吉な兆しだ。

2017年、支持率84%のロケットスタートに成功した文氏。その後は大きく減速しながらも、昨年11月から1年近くにわたって40%台に踏みとどまってきた。

 

文在寅氏は前回大統領選で特に20~40代の支持を多く集めた(2017年大統領選時の文氏)

文在寅氏は前回大統領選で特に20~40代の支持を多く集めた(2017年大統領選時の文氏)

■不安定な政権基盤

「4割」は文氏に因縁の数字だ。主要5候補の争いを制した2017年大統領選は当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領の即時退陣を求める「ろうそく集会」のうねりにうまく乗り、次点に500万票以上の大差をつける圧勝だった。ただし得票率でみると41%は歴代大統領で下から2番目の低水準だ。

革新系与党「共に民主党」も国会で議席占有率43%にすぎない少数与党である。文政権の基盤は安定していない。支持率のバブルはとっくにはじけているが、ここにきて「基礎票」ともいえる40%を切った意味は小さくない

■曺国問題で危険水域に

 

曺国前法相をめぐる疑惑発覚で中道層の多くが文在寅大統領から離れた=聯合・共同

曺国前法相をめぐる疑惑発覚で中道層の多くが文在寅大統領から離れた=聯合・共同

韓国のイデオロギーに関する世論調査の推移をみると、自分は「革新」との回答が全体の3割強、「中道」は3割前後、「保守」は2割台後半が最近の傾向だ。文大統領は「何があっても支持する」という"岩盤支持層"を3割程度抱えているといわれる。40%台の支持率をキープできていたのは、どの政党にも帰属しない中道層や無党派層の一定数をつなぎ留めてきたからだ。

しかし、曺国(チョ・グク)前法相の件では、富や権力を利用した不正にみえる疑惑が相次いで報じられ、革新政権下で「公正な社会」を期待した中道層の多くが法相に強行指名した文氏のもとを去った。特に20代と50代、地域では首都圏で中道層の離脱が表れているという。政権が危険水域に差し掛かった証左だ。

 

ソウル中心部で開かれた韓国の曺国法相の辞任や文在寅政権の打倒を訴える大規模集会に参加した人々。その後、曺国氏は辞任した=共同

ソウル中心部で開かれた韓国の曺国法相の辞任や文在寅政権の打倒を訴える大規模集会に参加した人々。その後、曺国氏は辞任した=共同

■過去にも「中道の乱」

 

朴槿恵前大統領の罷免や逮捕への道は2016年に保守系与党が惨敗した韓国総選挙から始まった。選挙当時、投票の順番を待つ朴氏(右)=聯合・共同

朴槿恵前大統領の罷免や逮捕への道は2016年に保守系与党が惨敗した韓国総選挙から始まった。選挙当時、投票の順番を待つ朴氏(右)=聯合・共同

筆者は「中道の乱」が政界を揺さぶった16年4月の韓国総選挙を思いだす。

朴槿恵政権3年への評価と位置づけられ、終盤まで保守系与党は過半数獲得が確実視されていた。が、フタを開けてみるとまさかの惨敗で少数与党に転落した。中道右派や穏健保守が、選挙の公認をめぐる与党の親朴派と非朴派の内紛や景気の低迷に嫌気が差し、野党支持に回ったのが主因だった。

振り返れば、その後の朴氏の逮捕や罷免の出発点となった。当時、朴大統領の支持率は40%台を維持していたが、この半年後に発覚した友人をめぐる一大スキャンダルと相まって、求心力を瞬く間に失い、あっという間に4%(不支持率93%)まで急降下した。

■ろうそくの火が向かう先

中間層が厚みを増してきた韓国でも支持政党なしの無党派が2~3割存在し、革新、保守にとって無視できない勢力になった。最近は保革両陣営が激突する選挙でキャスチングボートを握るケースも増えた。

来年4月に迫った総選挙は政権後半期に差し掛かっている文氏にとってレームダック(死に体)を防ぐために負けられない戦いだ。「4割」と「中道」の行方が文政権の命運を左右する展開になっている。

文大統領の支持率は10月第4週の調査で2ポイント上昇し41%と再び4割を回復した。保守層の逆襲に危機感を強めた革新系が結束して巻き返したとされる。それでも不支持率は50%と依然高い。不支持率が支持率を上回るトレンドは8月半ば以降、変わっていない。

韓国国民の気移りは早い。文氏が南北融和や所得主導経済にこだわりすぎて成果をあげられなければ、文氏はつい2年半前に喝采を送られた若者や中道層から矛先を向けられないとも限らない。

峯岸博(みねぎし・ひろし)
1992年日本経済新聞社入社。政治部を中心に首相官邸、自民党、外務省、旧大蔵省などを取材。2004~07年ソウル駐在。15~18年3月までソウル支局長。2回の日朝首脳会談を平壌で取材した。現在、編集委員兼論説委員。著書に「韓国の憂鬱」、「日韓の断層」(19年5月)。
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