野田律太さんの「労働運動実践記」 (読書メモ)
参照
「労働運動実践記」野田律太1936年11月発行
(国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1438269/1
野田律太さんは、1920年代、30年代の真っただ中で労働運動に奮闘なさった大先輩です。とりわけ、今学習している1924年の日本労働総同盟大会からはじまる総同盟の右傾化、「現実路線」「方向転換」を経て、翌年1925年の総同盟第一次分裂により「日本労働組合評議会」結成に参加し、以後1928年4月に国家権力により解散させられるまで評議会の委員長を務められました。
野田律太さんは、1891年(明治24年)9月12日岡山県に生まれ、幼い時から働き、給仕、徒弟、船員、旋盤工として働きます。1916年(大正5)日本兵器製造会社で職工組合期成同志会に加入、翌年友愛会に加盟します。1920年野田造船所を解雇されたのち、友愛会大阪連合会のオルグとなり、1923年以降は日本労働総同盟の常任活動家として活動。1925年以降は「日本労働組合評議会」委員長としてご活躍なされます。1928年には最初の普通選挙に労農党公認として大阪一区から立候補して闘います。その直後の同年の三・一五事件で検挙されます。
1931年(昭和6年)「評議会闘争史」 野田律太著 中央公論社より発行
1935年『工場世界』の編集主幹
1936年(昭和11年)11月「労働運動実戦記」 野田律太著発行
1948年(昭和23年)「労働運動千一夜」野田律太著 日本労農通信社発行
敗戦後は日本社会党香川県連の結成に参加。1948年(昭和23年)3月16日死去。
「労働運動実践記」野田律太著
序
私は前に『評議会闘争史』を書いたことがあるが(昭和六年・中央公論社発行)本書はその闘争史の『前記』ともいうべきものである。
本書では、筆者が自伝風に書き出したが勿論自叙伝を書くのが目的では無く、貧しい家庭に育った労働者がやがて労働運動に投じて行く経路を見るために、筆者自身の経験を描いたまでである。・・・
記述全体はかなり古い昔の、今とはまるで様子の違った労資関係の記述であるが、これこそは現在の労資関係の起源であり発端であるから、この歴史を無視することは断じて出来ないと思う。我々が歴史を学ぶのは単に昔話を楽しむというものではない。
私は、私のこの記述が身を以て経験したその経験の忠実な記録であることをひそかに満足に思っている。私は又私の記憶がまだ可成りの正確さを保つていることと、大抵の資料を持っていることと、相当古くから計画した著述であったから事実の報道においても断じて大きな過失や粗漏を侵していないと自負している。・・・
終わりに本書出版にあたり御仁力下さった諸先輩に感謝の意を表す。
昭和十一年十一月
野 田 律 太
目次
労働運動に入るまで
一、少年時代
二、職工修行
三、海上生活
四、階級意識の目覚め
友愛会時代
一、初期の運動
増加するストライキー目覚めかけた労資双方―大衆の中へ―労働者の革命観
二、大正七年の頃
三、米騒動と友愛会
四、友愛会の発展
五、政治闘争への進出
六、ストライキの経験
京都市電の闘争に就いてー奥村電気のストライキ
七、川崎造船所の怠業事件
八、協調主義を捨てる
八時間制問題ー第七回大会を見るー大日本労働総同盟ー協調会の出現
九、第一回国際労働代表選出問題
十、争議戦術の進歩
労働運動の成長
一、闘争への前進
二、大正十年序曲
ストライキの時代
一、東亜セメントのストライキ
二、大阪電燈會社のストライキ
三、田中と川崎鉄工と油谷の争議
四、藤永田造船所のストライキ
五、住友三工場の争議
六、惨敗した伊藤製鋼所ストライキ
七、神戸川崎、三菱の大ストライキ
野武士組時代
一、野武士組の活躍
二、資本攻勢の前に立つ
三、野武士組の行動
総聯合運動決裂前後
一、総聯合運動の決裂
二、左翼になった総同盟
三、工場生活の最後
總同盟全盛時代
一、藤田農場争議応援記
二、三國紡績のストライキ
三、法廷を利用した闘争
四、三大悪法反対運動
五、ヨッフェ訪問記
六、総同盟撲滅運動の顛末
關東震災前後の闘争
一、高知遊説記
二、奥村電機會社第二回の闘争
三、関東大震災と労働運動
四、発動機會社争議
総同盟の分裂と評議会の創立
方向転換草案を中心として―大会と第二の宣言草案ー本部派と左翼派の対立ー合同主義の勝利と左の左翼の台頭と分裂的傾向ー関東地方評議会の態度ー分裂直前のー総同盟分裂すー評議会創立
(目次了)
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評議会闘争史 野田律太著 (国立国会図書館デジタルコレクション)1931年(昭和6年)中央公論社
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444003
労働運動実戦記 野田律太著 (国立国会図書館デジタルコレクション)1936年(昭和11年)11月発行
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1438269