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コレステロールの誤報 / 中部大学教授 武田邦彦

2019年08月07日 06時40分08秒 | マスコミが言わない健康情報

武田邦彦ブログより転載
2015/05/05

コレステロールの誤報

(この記事を書いている時に、以下のニュースが出ました)
・・・・コレステロール:「気にせず食べて」動脈硬化学会が声明・・・

これに基づき、厚労省もコレステロールの制限を撤廃しました。
実に無責任です。
この記事は4月19日にかかれ、この発表のあった5月2日の前なので、改めて機会を作って新しい発表についてコメントしますが、この記事は科学的に書かれているのでそのまま掲載します。)

「コレステロールが体に悪い」という医学的にも栄養学的にも、生理学的にも間違った風評が日本の常識になったのは、次の理由です。

1) 医師が故障修理(治療)から、設計(健康管理)に進出した初期の間違い

2) マスコミが「衝撃的なことで注目を浴びよう」とした商業主義

3) 人種差別健康論。

コレステロールが人体に害になるという間違った情報は、まだ医療が「治療中心」の時に、「健康」ということをよく考えなかった医学者が「ウサギの実験」と「ヨーロッパの超肥満体の人のコレステロール」を測定して、言い出したことです。

時期もかなり前で、まだ「予防医学」が進んでいなかったこともあります。
ウサギの実験はとても雑なものでしたし、肉食でコレステロールが350などというヨーロッパの人の話をそのまま200以下の日本人に適応するという馬鹿らしい状態でした。

でも、当時「コレステロール」という名前自体が珍しく、なにかそれを知っているのが「偉いこと」だった時代でした。
そして、コレステロールが人体に必要なもので、間違っていたことに気がついたのですが、その中でNHKは、まず「善玉、悪玉」という造語を作り、次第にコレステロールのことを放送しないという方法で、間違いを訂正せずに責任を逃れようとしています。

表紙の図のように日本人では220ぐらいまでは問題がなく(基準値は間違って悪玉と呼ばれているものが140程度)、一日も早くコレステロールの誤解を解く報道や説明が求められます。

もっとも大きな問題は、日本人が普通の日本食を食べている場合、コレステロールというものを注意する必要があるのかということです。
コレステロールは体に必要なものですから、体内で80%も合成されます。
だから、「病気ではない人」なら食事からコレステロールを多くとるようになると(食事からはわずか20%)、体内合成を減らすので、それで十分調整できます。
次に病的な人、つまり体がコレステロールを調整する力を失った人の場合、病気ですからコレステロール調整力を回復させる方法が必要ですが、今のところ、十分な医学は進んでいません。
そこで、「その人の正常なコレステロール値」が分かっている場合は、緊急避難として若干食事の制限なども有効とされています。

これから血圧などについても理解を深めていきたいと思いますが、コレステロールも万人に共通の「基準」があるわけではありません。
その人の「正常コレステロール値」が分かっている場合に限り、治療が有効になるでしょう。コレステロールが低いとがんを発症しやすいことはよく知られていて、もしかすると「健康に注意してやせ気味」の人ががんを発症しやすいのも、中途半端な知識をテレビや医師から得て、ストレスがかかっていることも原因と考えられます。 

 

 

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