最後の夏…

高校野球福島大会…
プレハブの仮校舎から参加する学校もあれば
バラバラになった3校が纏められたチームもある…
事故のため、たった10人となった野球部もあれば
まともな練習が出来なかった球児達もいる…
避難先で校舎を間借りしている生徒達もいれば
これで名前の無くなる学校もある…
こんな高校野球を見た事はない…

試合の勝ち負けが決まるドラマよりも
球児達のその悲しい境遇に涙が止まらない…

1年と2ヵ月…

薫小学校…
校庭を走り回る事も
夏のプールで泳ぐことも
空の下での運動会も
なにもかもが無かった1年2ヶ月…

制限の解除と除染大作戦で
土の上を走り回れる喜びや
水の中で遊べる楽しさに
子供達が目を輝かせて
まるで風のように舞っている…

本と鉛筆を与えられるより
何も無い場所で遊べるほうが
ずっとずっとずっと楽しい…

二度目の夏の…

積み上げられた街の欠片が
遠くまで遠くまで…

その積み上げられた大きさだけ
街の灯りが消えている…

雨が降って虹が出ても
明るい月に虫が鳴いても
二度目の夏に、花はまだ咲かない…