よろずのモノ語り(『近代建築撮影日記』別館)

近代建築以外のよろずのモノを
あまたに綴ります。

氏神さんの鯛焼きと神宮寺

2012年01月29日 10時46分20秒 | 古寺・仏像

ずいぶん前の話で
恐縮ですが、、
元旦に氏神さんの
魚吹八幡神社で初詣。

実は露店の鯛焼き
(120円)が一番の目的。
あんこがはみ出して焦げたり
外皮がバリになったりしていて
見た目は少し悪いが
これが、絶品で美味しい。 

姫路には
回転焼き(大判焼きのこと)の
名店、御座候があり、
10年ほど前に
鯛焼本舗 遊示堂
と云う店が出来るまでは
店舗売りは回転焼きが
主流だった。 

鯛焼きは祭りの時しか
食べれない印象があり
特別な食べ物でした。


さて、もう一つの目的は
神仏分離令で
排された神宮寺は
どうなったのか
確認すること。

神社境内から塀を隔ててすぐ東側にそれはありました。


これが、神宮寺の遺構である徳寿院


廃仏毀釈で
破壊された物が多い
神宮寺とその諸仏像が
大事に遺されていること、
郷土の先人に感謝です。


初不動(板橋不動尊)

2012年01月28日 16時34分01秒 | 古寺・仏像

さて、風邪っぴきでしんどいのだけど、熱が36度台に下がったので今月最後のイベント、板橋不動のご開帳に出かけることにした。



板橋不動尊は関東三大不動尊の一つに数えられ、真言宗豊山派に属し、安産子育ての霊験あらたかなお不動さんとして親しまれている。正式名は清安山願成寺不動院。
808年(大同3年)、この地を訪れた弘法大師が手ずから彫った不動明王を安置した事が始まりと伝えられ、 国指定重要文化財の本尊不動明王並びに両童子を安置する。

本堂内陣

奥におわすのは、年に3度ご開帳される ご本尊不動明王並びに両童子像。
ちょうど、お坊さんが般若心経を唱えていました。 

本堂

戦国時代の文禄年間(1592年~1596年)に再建された(1737年(元文二年)再建とも。)と伝えられる。県指定重要文化財。
  
三重塔

尾垂木に竜頭彫刻が施された高さ約25mの三重塔。1772年(安永元年)建立。県指定重要文化財。 

楼門

江戸時代中期、元禄年間(1688年~1703年)の建立。このたび楼門保存修理工事が終了し、4月14日に「楼門落慶法要」が執り行われる。県指定重要文化財。 

狛犬
 
普通の犬、しかもここはお寺。
どんないわれがあるのだろうか?

お昼時なので、売店の赤飯をいただこうと思ったが売り切れ。
取手「青柳」のかりんとう揚げまんじゅうをいただく。
これが、カリッカリで美味しい。

露店が出ていたので、たこ焼きも。
熱々でとろっとろ。やけどしそうでした。

そして、行列が出来ていた「福田商店」の大判焼き。
行列の割には普通かな。
行列があると過大に旨いと妄想してしまうから駄目なんだねぇ。


鶴林寺(初詣)

2012年01月05日 21時54分09秒 | 古寺・仏像

あけましておめでとうございます

さて、今年の初詣は氏神さんのほかに寺詣でもしてきました。
一月二日でしたが、国宝のある寺とはいえ閑散としています。

以下、堂宇をご紹介


県指定文化財 仁王門




国宝 本堂

室町初期。ご本尊は60年に一度ご開帳される、木造薬師三尊像及び二天(持国天、多聞天)像。なお、今年10月に新宝物殿が完成し、特別公開される予定。
※表題写真も本堂です。

国宝 太子堂

平安末期、兵庫県下最古の建造物。
ご本尊は、宝物館の釈迦如来。

重要文化財 常行堂

平安時代、太子堂とほぼ同時期の建物。元は桧皮葺であったらしい。
ご本尊は阿弥陀如来。

新薬師堂


新薬師堂 内 薬師如来と両脇侍

江戸時代、大阪の医師津田三碩翁の発願により60年に一度しか拝むことが出来ない本堂ご本尊の代わりに、いつでも拝める仏様が作られました。像の大きさから平安~室町に作られた物ではないかとの説もあります。

重要文化財  鐘楼 

室町時代

観音堂 

江戸時代

重要文化財 護摩堂 

室町末期。ご本尊は不動明王。

県指定文化財 三重塔

室町時代の建築。1976年に放火のため一部焼損したが、1980年に修復完了。


佐伯快勝 著 『古寺めぐりの仏教常識』

2011年11月23日 22時23分28秒 | 古寺・仏像

朱鷺書房 刊『古寺めぐりの仏教常識』は浄瑠璃寺住職の佐伯快勝さんが1985年に書いた書物。古い本だが、現在も書店で入手可能。

仏像めぐりを始めてから、仏像の本をいくらか買ったが、仏像のことしか説明していないのが殆ど。

しかしこの本は、お寺のこと・仏像のこと・仏教のことを総合的な観点で分かりやすく説明している。

たとえば、伽藍の変遷、仏像の変遷、仏教の変遷を何故こうなったのか、それぞれのかかわりはどうなのか?といった視点で解説してくれる。

仏像だけを見ても、木を見て森を見ずという事態に陥る。寺全体を見ないと多くのことは見えてこない。
その、多くのことが見えるようになるための、基礎を学ぶに最適の一冊といえる。


浄土寺(兵庫県小野市)

2011年11月19日 22時23分50秒 | 古寺・仏像

さて、約20年ぶりに古寺巡りを再開したわけですが、
そのきっかけは、2011/9/18に訪れた浄土寺です。

国宝浄土堂

東大寺大仏・大仏殿の鎌倉復興に尽力した俊乗坊重源により開山された当時の建物。
大仏様(天竺様)と呼ばれる様式で、東大寺南大門と並んで数少ない現存例です。
安置されている御本尊、阿弥陀三尊像は国宝で快慶作。
大きく美しい仏さんに圧倒されました。両脇侍の観音菩薩、勢至菩薩は美しいシンメトリーを成しています。
浄土堂は西(西方浄土)を背に建てられており、阿弥陀様の背後の蔀戸(しとみど)を開けると西日が入り、堂内全体が朱赤に染まり、阿弥陀様御来迎の風景が演出されるそうです。
当日は曇りでその様子は拝めませんでしたが、それでも神々しいお姿でした。

八幡神社拝殿

これは重要文化財。左奥に少しだけ見える赤い建物は本殿(重文)です。
敷地内に神社があり、神仏習合の名残を感じます。


この見仏をきっかけに、奈良・京都へと向かうことになるのです。


生き別れの仏さん

2011年11月06日 10時22分55秒 | 古寺・仏像

山川出版社の『図説 仏像巡礼事典 新訂版』13頁に、薬師三尊像の写真が載ってる。

京都高山寺の薬師如来坐像東京国立博物館蔵の日光菩薩半跏像東京藝術大学蔵の月光菩薩半跏像。天平時代の木心乾漆造の像である。

月光菩薩像はお腹の部分が大きく欠損していながらも非常に美しい。
いかにも大変なドラマの末に3箇所に分かれてしまったようで、初めて見たときから気になっていたのである。


そして昨日、東京藝術大学大学美術館の「彫刻の時間—継承と展開—」という展示会でその像を見ることが出来た。やはり美しい。美術館に展示されると、仏さんから美術品に変質して畏敬の念を忘れてまじまじと見入ることが出来る。この仏さんは破損したがゆえに、学生たちに乾漆造の構造を見せる教材として、学校で所有されたのである。

ガラス越しながらごく間近から見ていると、ふっくらしたお顔に切れ長の眼、乾漆造ならではの細やかな造形。1200年以上の長い歴史を潜り抜けて来たそのお姿に感動。

この展覧会は、近代で継承~現代で展開と云うことで、日本の彫刻美術の歴史を見ることが出来るものでしたが、現代彫刻の詰まらないこと甚だしい。技術的には退化し、その表現は作者の独りよがりでしかない。
やはり、仏像のように決まった形式があるなかで、作者が技術と個性を表現する、そのせめぎ合いから万人に支持される良い造形が生まれてきたのであろうと思う。



次に、隣の東京国立博物館。法然上人800回忌・親鸞聖人750回忌 特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」が開催中。私の守り本尊である阿弥陀如来像を多数拝んで満足。

しかし、メインはこの特別展ではない。
トーハクにおられるはずの、日光菩薩半跏像に会いたいのである。
展示のローテーションがあるので会えるとは限らないが、本館の日本ギャラリーへ。

仏像の間に入ると、美しいお姿が見えた!

撮影禁止かと思っていたが、さすがトーハク、写しても良いらしい。

先ほど見た像とは左右対称に作られた左脇侍像。
こんな近くに居ながら、生き別れて違った運命を背負っている。
そして、しばらくの間、像の前でたたずむ。


残る中尊の薬師如来像は京都におはす。期を見て会いに行こうと思う。
脳内三尊像を完成するために。



表題写真は日光菩薩半跏像。
(カメラ;RICOH GR Digital II・2011/11/5撮影)



注;「彫刻の時間—継承と展開—」は本日11/6まで。
日光・月光菩薩半跏像のエピソードは『彫刻家・籔内佐斗司流 仏像拝観手引』のテキスト39頁に紹介されている。なお、中尊の薬師如来像は京都国立博物館に寄託されている。


『彫刻家・籔内佐斗司流 仏像拝観手引』(Eテレ・直伝 和の極意)

2011年11月05日 01時06分33秒 | 古寺・仏像

こないだの火曜日に始まった番組です。 全9回のシリーズで、放送時間は
毎週火曜 PM10:25~10:50
再放送は翌週火曜 AM10:30~10:55

NHKの番組紹介でも「空前の仏像ブームです」と言われているように、仏像ガールが流行っている昨今。
そんな折とも知らず、約20年ぶりに古寺巡りを再開したおじさん(私)にとっては、まさにタイムリーな番組です。

大阪の羽曳野に住んでいた1993年前後約2年間は、いつでも奈良に行けるという恵まれた環境の中、よく古寺巡り・町並み探訪に出かけていました。
しかし当時の私は、仏像に対して「仏像」というくくりしか持っていませんでした。
古建築の方に興味があり、仏像は中にあるモノでしかなかったんですね。

その後東京に移り住み、興味は近代建築へ移ったのでした。
以来15年以上、遠くなった奈良に足を運ぶことも無くなり、近代建築採集の旅が続いたのです。

しかし、今年9~10月の3度の3連休で、久々の古寺巡り、そして仏像に開眼するに至ったのです。建築眼(けんちくめ)に加えて仏像眼(ぶつぞうめ)も得ました。

注;「~め」は仲間内の造語で、「~に目が向いていて~を見付けたり見分ける眼力も少しはある」と云う感じの意味。気楽な趣味なので、眼力の方を控えめに表現するため「がん」ではなく「め」と読む。


さて、私事はこのくらいにして、この『彫刻家・籔内佐斗司流 仏像拝観手引』と云う番組は、篠原ともえを生徒役に迎え、初心者にも分かりやすく、(私は初心者なので、たぶん)上級者でも見るに耐えうる一歩踏み込んだ内容です。

そして、テキストがすばらしい。A4判オールカラーのムック本形式なので、放送を見ずにテキストだけで完結させるのもアリでしょう。

表題写真は奈良の大仏さん
(カメラ;RICOH GR Digital II・2011/9/25撮影)