よろずのモノ語り(『近代建築撮影日記』別館)

近代建築以外のよろずのモノを
あまたに綴ります。

宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その3-3】沢田研二「ヤマトより愛をこめて」映画用モノラルミックス版の検証

2020年05月29日 21時08分42秒 | 宇宙戦艦ヤマト

沢田研二が唄うシングルレコード「ヤマトより愛をこめて」(ポリドール/DR 6235/1978年8月1日発売)は同じ録音でミックスダウン違いの2種(通常版)(後期版)の音源を聴くことが出来るのだが、もう一つ『さらば宇宙戦艦ヤマト』本編で使用されたトラックダウン違いのモノラル音源があるということには触れたのみで検証はしていなかった。そこで、追加検証することにした。



このトラックダウン違いの映画用モノラルミックス版はシングルレコード(後期版)と同じ編成ではあるが、音の印象が違う。
どう違うのか、なぜ違うのか、ということを私なりに検証してみる。
※「なぜ」という点については、私自身は当事者でもなく音楽制作の経験者でもないので個人的な憶測にすぎない。憶測の部分には「おそらく」「多分」などの憶測の言葉を冠するように留意するが、関係者・経験者の方よりの間違い等の指摘があれば、遠慮なくお知らせいただければ幸いです。


映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』は何度かソフト化されているが、上映当時を忠実に再現したという4Kリマスター版のCS放送よりアナログ接続でWAVデータ化したものを検証に使用する。

今回も、音声編集ソフト「Audacity」でそれぞれ波形として可視化する。


上から映画用モノラルミックス版、シングルレコード(通常版)、シングルレコード(後期版)である。(以後それぞれ映画用、通常版、後期版と略す)

まず、ピッチ(スピード)について。これは映画用が一番遅いが、通常版とほぼ同じ。最も古いと思われる映画用が、おそらく本来のスピードであろうと考えると、後期版は早回しになっているのだろう。沢田研二の声の高さからの私自身の印象とも一致する。

次にフェードアウトのタイミングだが、映画用は後期版と同じ。前にも述べたように通常版の後奏が長い。
そして、映画用のみ前奏がフェードインになっている。これは、映画の演出上の都合だろう。

そういえば、前に紹介だけした
沢田研二ベストアルバム『Royal Straight Flush』(ポリドール/MR 3170/1979年4月1日発売)版(以後、Royal Straight Flush版と略す)
は後期盤の最初がフェードインになっただけのものであった。
これは、ベストアルバムを作る際に映画用のイメージに合わせたステレオミックスを作ったのではないか?
レコードの編曲が映画と異なっていたので、映画と同じものを望む声があったのかもしれない。
何故かピッチが速くなっているのだが、LPレコードの収録時間に収める、声質の透明感を高める、などの理由があったのではないかと憶測している。
何故だか理由はわからないことだが、そのフェードインを排したものがシングルレコード(後期版)になったのであろう。
(ただし、Royal Straight Flush版以前にシングルレコード(後期版)がプレスされた可能性も残されているので更なる検証が必要)


さて、どう違うのかということを耳で聴いて確認してみよう。

私自身は、映画用と後期版はトラックダウン違いであると知っていても、同じ編成であるという理解で完結し、その違いについては全く意識していなかった。今回初めてこの2曲を交互に再生して聴き比べた。

結論を言うと全然違う。
ボーカルとすべての楽器の分離が良いというか、輪郭がはっきりしているというか、耳コピで楽譜を起こすには最適なバランスでミックスされているのである。しいて言うとピアノが弱いのだが、全ての楽器を平等にミックスしたのでメイン楽器のピアノが相対的に弱く感じるということだろうか。だが、アコギのアルペチオやハープの一音一音までくっきりと見える。そう、目に見えるように聞き分けることが出来るのである。4Kリマスター版の為に特に状態の良いマスターが使われたということかもしれないが、泰先生が編曲して散りばめた「音」の全てを聴きとれるという意味でベストなミックスである。
そして、演奏するプレーヤの細かいテクニックの息遣いのような所まで感じることが可能である。ミックス違いで、しかも、音盤ではなく映画で聴く音にそこまでの解像度の違いがあるということに驚きを隠せない。

それに比べて後期版は、通常版よりはクリアに聴こえるとはいえ、アコギのアルペチオやハープの細かい所の輪郭は埋もれ気味に感じる。
それはなぜか?その原因を私なりの推測で考えてみたい。
1.音盤商品として聴かせるために、ステレオでミックスしたため。つまり、脇役であるアコギやハープの音は肩チャンネルのみにミックスされて、相対的に小さい音になってしまった。
2.音盤商品として聴き易くするため、楽器の音量バランスをメイン楽器であるピアノに集中させた。
3.音盤商品として聴かせるために、エコーなどのエフェクトをかけることにより音の輪郭がぼやけてしまった。
という所ではなかろうか。音盤商品として聴いてもらう為の音作りによってクリアな輪郭が失われたと考える。

映画用は製作作業スケジュールがひっ迫していたことを考慮すると
録音したままのマルチトラックから、かなり初期の段階でモノラルミックスされたものだと思われる。
即ち、エコーなどのエフェクトも加えず、各トラックの音を平等にミックスしただけのものではないだろうか。
その為、録音したままの音に最も近くクリアな音で聴くことが出来るのではなかろうか。



【まとめ】
・映画用はエコーなどのエフェクトをかけたり、各トラックの音量差の調整をしていない、録音したままの原音に最も近い状態なのではないか?しかし、モノラルなので、鑑賞用として良い音源とは言えない。
・レコードなどの音盤商品の音源は、聴いてもらう為の音作りによって鑑賞用の体裁を整えているが、そのことによって録音したままの原音が損なわれているのではないか?
・私個人的としては、エコーなどのエフェクトはかけず、各トラックのすべての楽器を均等に聴きとれるバランスでステレオミックスした音源があればベストである。
このブログのタイトルにある「宮川泰先生の音楽」を聴くということは、泰先生が編曲して散りばめた「音」を余すことなく楽しむということだと考えている。その為の音源としてベスト、ということになる。


宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その3-2】沢田研二「ヤマトより愛をこめて」レコード盤の分類

2020年05月25日 23時32分19秒 | 宇宙戦艦ヤマト

前回の
宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その3】沢田研二「ヤマトより愛をこめて」
について、仕舞い込んでいた盤を引っ張り出して撮影したので、
音楽としてではなく、モノから見た考察を追加します。


「ヤマトより愛をこめて」(ポリドール/DR 6235)のシングルレコードは手元には6枚残っている。
昭和53年当時新品で購入したものは傷みが激しく処分したが『宇宙戦艦ヤマト 完結編』以降の昭和58-60(1983-85)年頃に新品で購入したものが1枚、あと5枚は随時中古で購入したものになる。
では、ジャケットや盤などそれぞれの部分にどのようなバリエーションがあるのか見ていこう。


1.ジャケット

(表)


(裏)


(裏・曲名部分拡大)

ジャケットは目視する限り、すべて同一で1種類しかない。時間表記は収録時間の短い後期版も4’43”である。

余談ではあるが、B面の「酔いどれ関係」はヤマトとは無関係の曲。山口百恵の「プレイバック Part2」への返歌であるといわれる。沢田「勝手にしやがれ」→百恵「プレイバック Part2」→沢田「酔いどれ関係」という返歌合戦の様相を呈している。歌手同士というより、作詞家の洒落た遊びであると思われるが、歌詞を確認する機会があれば読み解いてみると面白いと思う。


2.レコード袋

(Aタイプ表)


(Aタイプ裏)


(Bタイプ表)


(Bタイプ裏)

沢田研二のファンなどポリドール・レコードに馴染みのある方なら、世界地図のAタイプは昭和57(1982)年まで、それ以降が赤い楽譜のBタイプになる(※)ということはご存知かもしれない。中古で購入した5枚と処分した1枚がAタイプ、昭和58-60(1983-85)年頃に新品で購入したもののみがBタイプであった。中古品は袋の入れ替わりも考慮しなければならないが、新品で購入したものでBタイプだったということは、製造(盤のプレス)時期も1983年以降であると断定できる。

(※)沢田研二のシングルレコードでは1983年1月1日発売の「背中まで45分」からレコード袋がBタイプに変更された。従って、実際の製造ベースでは1982年中にBタイプに変更されたと思われるが、便宜上切り替え時期を発売日ベースの1983年とした。


3.レーベル面

(Aタイプ)


(Bタイプ)


(Cタイプ)

Aタイプは紙、Bタイプは樹脂、CタイプはAタイプと同じ紙だがレーベル面に同心円状の細かい筋がある。中古で購入したうち2枚と処分した1枚がAタイプ、中古で購入したうち3枚がBタイプ、昭和58-60(1983-85)年頃に新品で購入したもののみがCタイプであった。

更にCタイプのみ下の写真のように、盤面が漆黒ではなく電球が透けて見える。

レーベル面が多種存在する理由は製造時期による変化というより、数社のOEM生産などによる製造工場の違いだろうと推察する。ちなみに、Cタイプの盤の特徴は日本ビクター製と一致している。
余談であるが、日本コロムビアのシングルレコードのレーベル面にもいくらかのバリエーションがあるので、製造時期による変化と他社OEMの可能性が考えられる。


4.収録内容

今回は、前回述べたシングルレコード(通常版)をAタイプ、(後期版)をBタイプと分類する。


5.それぞれの組み合わせ

組み合わせのパターンを、ジャケット-レコード袋-レーベル面-収録内容の順で示す。

パターン1・A-A-A-A
パターン2・A-A-B-A
パターン3・A-B-C-B

の3パターンがあり、中古で購入したうち2枚と処分した1枚がパターン1、中古で購入したうち3枚がパターン2、昭和58-60(1983-85)年頃に新品で購入したもののみがパターン3であった。

なお、盤面に打刻された記号で製造場所や時期が特定できると思われるが、そういった社内情報を持ち合わせていないのでこれ以上の分析は不可能である。


【まとめ】
・この盤は少なくとも昭和53(1978)年-58(1983)年の5年間に渡る長期間製造販売されていた。
・昭和53年に購入した盤はパタ-ン1であったことから、発売当初はパターン1であった。
・パターン2については中古購入であるため、発売当初にあったのか、その後追加されたのかは不明。
・パターン3はレコード袋がBタイプであることから昭和58(1983)年以降の製造だと断定できるが、収録内容がBタイプながらレコード袋がAタイプという昭和57(1982)年以前にプレスされたパターンの存在も否定できない。
・このレコードをコレクターズアイテムとして収集コンプする場合は、最低でも3パターン揃える必要がある。


宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その3】沢田研二「ヤマトより愛をこめて」

2020年05月18日 07時30分18秒 | 宇宙戦艦ヤマト

大変なご無沙汰です。
『ラジオ・スイート 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』が放送されヤマト音楽モード全開となり
重い腰を上げてかねてよりの懸案について記述しようと思った。

※この記事には続きがあります
『宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その3-2】沢田研二「ヤマトより愛をこめて」レコード盤の分類』
『宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その3-3】沢田研二「ヤマトより愛をこめて」映画用モノラルミックス版の検証』



ヤマトファンなら誰もが知る名曲「ヤマトより愛をこめて」
言わずと知れた『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の主題歌だ。

作曲者は宮川泰先生ではなく大野克夫だが、先生は編曲を担当している。
この曲に関しては、考察すべきことが多々あるのでとりあげることにした。


今回は以下の4っつの音源について考察してみようと思う。

1.大野克夫デモテープ(1978年)
品切れでプレミアム価格の入手困難品だが
CD幻のメロディー VOL.1に収録されている
おそらく、歌唱者である沢田研二や編曲者の宮川泰先生が最初に聴いたのがこの音源であろうと思われる。

2.シングルレコード(通常版)(ポリドール/DR 6235/1978年8月1日発売)
1978年に発売された当時のシングルレコードに収録されたバージョンは
『さらば宇宙戦艦ヤマト』や『宇宙戦艦ヤマト 2202』で使われたものとは違い、「ピロリロリーン」というエレキギターが消され、2番にオーボエの副旋律が加えられたものであった。
私は1978年当時映画を一度見たきりでレコードを繰り返し聴いたため、このバージョンに最も馴染んでいる。
現在入手可能な音源として、アルバム『今度は、華麗な宴にどうぞ。』(オリジナルLP 1978年8月10日発売)のCDと配信がある。

3.シングルレコード(後期版)(ポリドール/DR 6235)
『宇宙戦艦ヤマト 完結編』以降、1983~85年頃に再度購入したシングル盤を再生して驚いたのだが、別バージョンに差し替わっていた。
いつプレスされた分から差し変わったのかは不明だが、
CD『沢田研二 A面コレクション』(1986年・2009年再発)やYAMATO ETERNAL EDITION File No.10『ヤマト・ザ・ベスト』(2001年発売)で聴くことが出来るのはこのバージョンになる。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』本編で使用されたのもこのバージョンのトラックダウン違いのモノラル音源である。
なお、中古でシングル盤を購入すれば殆どが2.シングルレコード(通常版)のバージョンで収録されている。そのため、2.を通常版とした。

4.カラオケ版
徳間音楽工業のフォノシート、ファンファニーシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』(FL 1001)のみに収録されているもので、CD化されていない。
これは不思議な音源で、はじめの50秒はエレキギターが消されておらず、3.シングルレコード(後期盤)と同じ、
50秒以降は、エレキギターが消され、2番にオーボエが加えられた 2.シングルレコード(通常版)と同じになっている。
更には、終りにフェードアウト処理が無く急に演奏が止まるという中途半端なものだ。


その他の音源として、

5.沢田研二ベストアルバム『Royal Straight Flush』(ポリドール/MR 3170/1979年4月1日発売)版
シングルレコード(後期盤)の最初がフェードインになったもの。

6.『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』(日本コロムビア/CQ-7011/1978年8月1日発売)版(インストルメンタル)

7.ささきいさお版とそのカラオケ
泰先生による再編曲のバージョン。
歌は、YAMATO ETERNAL EDITION「ヤマト・ザ・ベストII 宇宙戦艦ヤマトボーカルコレクション」に収録
カラオケは、YAMATO SOUND ALMANAC 1980-III「ヤマト・フェスティバル・イン・武道館・ライブ 1980」のボーナストラックに収録

8.大野克夫Windward Hill(WATER RECORDS/SW25-5001/1978年発売)版
デモテープと違うアレンジになっている。

9.沢田研二本人による各種ライブでの歌唱
音盤の紹介は割愛します。

などがあるので、機会があれば聴き比べてみてほしい。



では、一曲づつ聴いていこう。

1.大野克夫デモテープ(1978年)

JASRACのホームページに「作家で聴く音楽」というインタビューがある。
その中の大野克夫氏のページにCD『幻のメロディー VOL.1』についての記述があるのでそのまま抜粋する。

「当時、デモテープ大賞ができたらいいねとまじめに言っていたんです。デモテープでも、ギター、キーボード、ドラム、ボーカルなども加えて、アレンジしてと、ここまで凝ったものにするというのは、やっぱり趣味の領域なんですね。ただメロディーだけ作って担当者に渡して打ち合わせというのもなんだかもったいないし、同じ作るならカラオケまで作って、自分でも歌ってみたいという気持ちがあって、それはもう趣味でしかないんです(笑)。70年代のハードなスケジュールのときにここまでやったというのは、情熱と根気だったと思います。ぜひ聴いてみてください。
(中略)
■  『ヤマトより愛をこめて』(78年8月)この曲のピアノのサウンドがすごく気に入っています。アタッチメントを付けて弾いているんだけど。レコーディングのとき、編曲の宮川泰さんが「あのピアノの音どう出しているの」と聞いてこられて、「生ピアノにマイクを入れてこのコンプレッサーに通して・・・」と説明したんです。」

とあることから、この音源が泰先生や沢田研二が最初に聴いたもので間違いなさそうだ。
そのアレンジは、映画本編使用版や 3.シングルレコード(後期版)とほぼ同じで、ピアノ伴奏と「ピロリロリーン」という特徴的なエレキギターが入っている。


2.シングルレコード(通常版)(ポリドール/DR 6235/1978年8月1日発売)
3.シングルレコード(後期版)(ポリドール/DR 6235)

まず、音声編集ソフト「Audacity」でそれぞれ波形として可視化してみる。


上が 2.シングルレコード(通常版)下が 3.シングルレコード(後期版)で、ご覧の通り収録時間が異なる。
後期版の方は、フェードアウトが早く後奏が短い。それだけでなくピッチも幾分速くなっている。
どちらのピッチが正しいのか不明だが、聴いた印象では通常版の方がジュリーの声質に近いような気がする。
しかし、音がクリアなのは後期版。通常版は、少しこもっているように思う。エレキギターを消したりオーボエを加えたりして音をいじったからだろうか。
以上のことから、録音当初は後期版のアレンジで、通常版はリアレンジ版であると言えよう。
リアレンジ版(通常版)は大野克夫のデモテープを踏襲したエレキギターが消され泰先生オリジナルのオーボエが加えられていることから、泰先生のアレンジの完成版と考えられる。私個人も、通常版のアレンジの方が歌詞や曲調に合っていると感じる。特に「いつの日か~よみがえり」の歌詞とオーボエの副旋律の相乗効果は泰先生ならではのものと思うのだが、どうだろうか。


4.カラオケ版

この曲も、音声編集ソフト「Audacity」で波形として可視化してみる。


上が 2.シングルレコード(通常版)下が 4.カラオケ版である。
カラオケ版は通常版とほぼ同じピッチだが、フェードアウトが無く後奏が長い。録音当初の後奏の全貌が分かるという意味でも貴重な音源となっている。
更に言うと、通常版と同じくオーボエが入っているにもかかわらず前半のエレキギターが残ったままになっているので、何らかの手違いで編集途中の音源が商品化されたのではないかと思われる。

ちなみに、このピアノ演奏は羽田健太郎だといわれている。当時の沢田研二のヒット曲「勝手にしやがれ」「サムライ」「さよならを言う気もない」などのピアノ演奏も羽田健太郎で、歌謡界におけるスタジオミュージシャンの質は非常に高く、伴奏の質が最も成熟していた時代であった。



【まとめ】
・この楽曲は、宮川泰先生の編曲作品として考えると 2.シングルレコード(通常版)のアレンジが完成版である。この曲の歌詞・曲調を最も引き立てるアレンジであり、音楽として愉しむのであればこのバージョンがお薦め。
・ 3.シングルレコード(後期版)は大野克夫のデモテープに準拠した原初版。映画使用版に近く、サントラとして聴くならこちら。
・「宇宙戦艦ヤマト」のシングルレコード(日本コロムビア/SCS-241)のコーラスがミュージカル・アカデミーからロイヤル・ナイツに差し替えられたのと同様に、同一品番でありながら内容が差し替えられた謎についての真相は解らない。しかし、デモテープを含めて複数の音源を聴くことが可能であり、その制作過程に少しでも迫ることが出来るのは幸運というほかない。


宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その2】「新コスモタイガー」を聴き比べる

2018年08月22日 17時37分11秒 | 宇宙戦艦ヤマト

ご無沙汰しております。
サボっていたというのが一番の要因ですが、
書くのに四苦八苦で第2弾迄こんなにも時間がかかってしまいました。

皆様、前回の「想人」聴き比べはいかがだったでしょうか?
音楽知識が無いままの記述だったので、はたして意味が通じたのか?
ということが一番の懸念です。
しかし、意味が通じたのであれば音楽知識が無い人にも分かる音楽解説になったのではないか?
という期待もあります。

そういえば、大好きだった赤瀬川原平さんが、難しいと思われがちな美術鑑賞について、
知識が無くても自分なりの視点で楽しめば良いと解説した本があったのを思い出します。
これは、ちゃんと知識のある人が初心を思い出して、あるいは常に初心の気持ちで、
美術に触れて書いたものなので、分かり易かったのでしょう。

原平さんには及ぶべくもないことですが、
音楽知識が無くても、音楽を聴き比べたり分析したり、
あるいは聴いたままの音そのものを愉しむこともできるんだ!
という事が少しでも伝われば良いなと思って書いています。


【凡例】
曲名「」
アルバム名・作品名など『』
曲名、アルバム名は現在最新の『YAMATO SOUND ALMANAC』シリーズに準拠します。
失礼ながら、人物名は基本敬称略とします。

本文はですます調ではなくぞんざいに感じるかもしれませんが、
ただでさえダラダラした長文の字数を少しでも減らそうとしたものです。

音楽的知識が希薄なため、音楽用語等はネットで調べながら書いています。
記述内容に自信が無い所には?を付けたりしています。
更に、使用楽器は素人の耳で聴いて判断していますので間違いがあると思います。
音楽理論的な間違いの指摘や、更に分かりやすい表現方法など有りましたらご指導いただければ幸いです。
※公開後追記あります。赤で記述しました。


『宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-』2回目も聴き比べシリーズ。
避けては通れないであろう人気曲「新コスモタイガー」を選んでみた。
この曲は、自分自身も好きでよく聴いている。

ここで余談だが、アナログ盤時点(※)でのマイベスト3
(※95年版BGMやALMANACシリーズ発売後に順位が変わってしまった)
第3位「新コスモタイガー」
第2位「地球を飛び立つヤマト」
第1位「ボラー連邦」
「新コスモタイガー」はファン歴初期の段階からよく聴いた曲と云える。

聴き比べたのは、以下の5曲
1.「新コスモタイガー(BGM版・正式ミックス)」『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち BGM集』
2.「新コスモタイガー(音楽集版)」『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち 音楽集』
以上2曲は1979年『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』の際録音されたBGM版と音楽集版で泰先生作・編曲のオリジナル版。

3.「新コスモタイガー(2000年版)」『交響組曲 新 宇宙戦艦ヤマト』「第四楽章 伝説の戦艦ヤマト(二) 威風堂々」より
こちらは、松本零士の『新 宇宙戦艦ヤマト』を映像化するにあたって、その序曲的位置付けで録音されたもの。
結局『新 宇宙戦艦ヤマト』は映像化されず、諸事情によりこのアルバムもお蔵入り状態になってしまったのが残念だ。
このVer.は泰先生自らの手で再編曲されている。

4.「新コスモタイガー2009」『宇宙戦艦ヤマト 復活篇 オリジナルサウンドトラック』「戦火の渦へ」より
『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』に際して山下康介の手で再編曲されたもの。

5.「コスモタイガー (Wan・Dah・Bah)」『宇宙戦艦ヤマト2199 オリジナルサウンドトラック Part.1』
『宇宙戦艦ヤマト2199』に際して彬良さんにより再編曲された。


今回も音源をお持ちの方は、聴きながらお読みいただけたらと思う。



1.「新コスモタイガー(BGM版)」をこの曲の基本形と考え、初めに聴くことにする。
実際にTVで使われたVer.で、当初は音盤化する予定も無かった。

まず、この曲のメロディー構成から。

・チャラッ チャラッ チャラッ チャラッ チャッ チャッの前奏
・勇ましいトランペットによる主旋律のAメロ
・優雅なバイオリンによる主旋律のBメロ
・再び前奏のメロディーを間奏として挿入
・バイオリン速弾きとトランペットがダブル主旋律のように両立しているCメロ
これを繰り返して、
前奏 Aメロ Bメロ 前奏 Cメロ 前奏 Aメロ Bメロ 前奏 Cメロ 前奏 Aメロ Bメロ 前奏
の順番で構成されている。
(※間奏や後奏として演奏されている部分も前奏と同じメロディーという意味で前奏と表記した)

各メロディについてみていこう。

・前奏
トランペットの主旋律とバイオリンの速いトリル?。このトリルの音程は段々と上昇している。
ここは、発艦のイメージだろうか。管楽器で勇ましさ、弦の速いトリルで機体の美しさと飛び立ち上昇するスピード感を表しているのだろうか。
・Aメロ
トランペットの主旋律と木管楽器・金管楽器ほかによるつむじ風が舞い上がるような副旋律。
ここで戦闘開始だろうか。管楽器の主旋律で勇ましさ、つむじ風が舞い上がるような副旋律は爆撃やミサイル攻撃を表している、という感じだろうか。
・Bメロ
ハープの第一声でバイオリンの和音と鉄琴で主旋律が始まる。更にビオラかチェロも主旋律に重ねて演奏。
前回言及した「永遠の生命 (M-65)」の「0:53頃からのサビ」と同じく、
泰先生特有の弦楽器の音をパイ生地のように幾重にも重ねる美しい音作りだ。
ここでは隊列を整えて優雅に飛行する様子を表しているのか。
・Cメロ
バイオリン速弾きとトランペットがダブル主旋律のように両立。チューバ?が表拍でリズムを刻み、後半に木琴がバイオリンの主旋律と重なる。
ここで再びトランペットの音で戦闘が始まるが、バイオリン速弾きで機体が美しく飛ぶ様子も表現しているのだろうか。そして木琴が加わると美しいばかりでなく、歯切れよく飛んでいるとも感じる。
・全編に渡って
ベース、ドラム、パーカッションによるリズムが入り、特にシンバルの裏拍リズムが目立っているように思う。
裏拍にすることにより、より歯切れよくリズミカルに感じる。

幾度となく戦闘シーンに合わせて使われているのを観たせいかもしれないが、コスモタイガーの具体的な動きをイメージして作られた楽曲だと感じる。


今回、裏拍・表拍のリズムという表現をしたが、以後の聴き比べにも関係するので少し説明しておこう。

ブン チャ ・ ブン チャ ・ ブン チャ ・ ブン チャとリズムがあるとすれば、
ブンで拍子を打つのが表拍、チャで拍子を打つのが裏拍という事になる。
足踏みでリズムをとる場合は表拍で踏込み裏拍で足を上げる。
そう考えると裏拍は跳ね上がるという感じがしませんか?
裏拍のほうがリズムに乗っている感じがすると思う。


なお、このVer.にはラフミックス版があり、
1985年版MVシリーズと1995年版『オリジナルBGMコレクション 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』に収録されている。
トランペットのエコーが少なく、エコー嫌いな人(私がそう)には聴き易いかもしれない。
このラフミックス版で特筆すべきことは、1985年版MVシリーズに宮川泰先生の声が入っていることだ。
(2014年版MVシリーズのBD・DVDは正式ミックスに差し替えられており、先生の声は入っていない)
曲の終りの余韻が消える前に「これはねぇ・・・」と喋り始めている。
恐らく、先生の心中にはもっとこうしたい、ああしたいという思いが強くあり、たまらず喋りだしたのだろうなと思う。
このことから、粗削りで洗練されていないVer.ではあるがスケジュール的に録り直しができず、
止む無くこのVer.をBGM版としてTV番組用劇判に使ったのではないかと予想している。
(スケジュールなどの裏は取ってないので、あくまで憶測です)

そして、先生の思いは次に聴く音楽集版に結実したのだろうと想像している。



2.「新コスモタイガー(音楽集版)」
音楽集用に修正、再演奏されたVer.で『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』の本編には使用されていないが、『宇宙戦艦ヤマト III』ではよく使われていた。

メロディー構成は、
前奏 Aメロ Bメロ 前奏 Cメロ 前奏 間奏(A’メロ) Bメロ 前奏 (ここで転調) Aメロ  Bメロ 前奏 Cメロ 前奏 後奏
の順番で演奏されており、BGM版と比べて構成自体が複雑になっている。

新たに加わったのが
・間奏(A’メロ)
本来Aメロが入るべきところにエレキギターで別メロディーを入れている。
従って(A’メロ)とした。
・後奏
チャカポン・ギター(※)の主旋律の繰り返しでフェードアウトする
(※エレキギターにエフェクトをかけて演奏することを一般的には「ワウワウ・ギター」というが、ここではヤマト風に「チャカポン・ギター」と云わせていただく。)
この後奏は本編でも使用されたブリッジ曲「若き大鷲達」『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち BGM集』の前奏部分を流用している。
ちなみに「若き大鷲達」のメロディー構成は、
音楽集版の後奏 Bメロ 前奏
である。


では、1.「新コスモタイガー(BGM版・正式ミックス)」との違いをみていこう。
前奏にチューバ?の表拍リズムが加わっている。泰先生はとにかく音の数を増やすのが好きなようだ。
Aメロを聴いて感じたのは、シンバルの裏拍が弱くなり、代わりに複雑なドラムワークが目立つようになっている。
BGM版ではシンバルの裏拍リズムが目立ち、少し単調なイメージだったが、音楽集版はより豊かなリズムになったような感じがする。
Bメロはほぼ同じだが、ハープの第一声が無くなり、チャカポン・ギターがはっきり聴こえるようになっている。優雅なだけでなく、リラックスして飛んでいる感じも加わっていると思う。
※ハープの第一声は聴き取れないが、Bメロ中にハープ自体の演奏はあるようだ。第一声は他の楽器に埋もれているのかもしれない。
そして、Cメロへの橋渡しとして前奏のメロディーが入るのだが、弦の速いトリルの最後の音程が揺らいでいる。
この「揺らぎ」は音として美しく響くだけでなく、機体の動きも表現しているように思われる(個人的には機首が少し曲がった金田のパースで飛ぶ画像に合っていると感じる)。
Cメロもほぼ同じだが、チューバ?のリズムは裏拍になっている。

BGM版のチューバは表拍でドンという感じだったのが、裏拍だと軽く跳ねる感じになったと思いませんか?
戦闘機のテーマ曲なので私個人は断然こっちの方が良いと思うのだが、実際に本編で使われたBGM版の方が馴染み深くて好き、という方も多いと思う。
更に、後に聴く 4.「新コスモタイガー2009」と 5.「コスモタイガー (Wan・Dah・Bah)」も表拍の方を採用している。
これは劇判の宿命で、純粋に楽曲の良し悪しだけを語れば良いというものではなく、どちらが耳に馴染んでいるか、実際に劇中で使われたのはどちらか、という事も重要な要素だという事だろう。
私個人は泰先生が裏拍で完成させたと考えているので2009やワンダバは
「あれれ、表拍に戻っちゃった・・」と思ったものだが、
見方を変えれば表拍でドンと鳴る方が力強いともいえるので、一概に良し悪しを語るのも難しいだろう。

間奏(A’メロ)は、1980年前後のロックやニューミュージックのヒット曲にかなりの確率で入っていたエレキの間奏(※)を意識したのだろうか?
(※自分が好きだった曲なら「いとしのエリー」(サザンオールスターズ)、「大都会」(クリスタルキング)、「さよなら」(オフコース)等がある)
それはさておき、このエレキの旋律はどこか不安定な感じ(音階の上下の動きが普通じゃないのかな?)がして、
機体の縦横無尽な動き(急降下、急旋回など)を表現しているような感じがする。

この後転調するのは、更にスピードアップした攻撃を表現しているように思う。
そして、チャカポン・ギターの後奏でコミカルな要素も加わり、泰先生らしい楽しげなラストを迎える。

以上のようなメロディー構成の再編や楽器演奏法の細やかな変更は、
音楽として聴くことを前提とした修正というよりむしろ、
コスモタイガーの劇判として更なる完成度を追及した修正だったと感じる。
だからこそ『宇宙戦艦ヤマト III』でよく使われたのだと思う。
前回の音楽集版「想人 (おもいで)」とは再編曲の方針が違うように思われる。



3.「新コスモタイガー(2000年版)」
聴いていると、泰先生が自由に編曲していると感じる。

この曲のメロディー構成は
前奏 Aメロ Bメロ 前奏 Cメロ Aメロ Bメロ 前奏 二人のコスモゼロ
の順番で演奏されている。転調する代わりにメドレーで「二人のコスモゼロ」に繋いでいる。

各メロディについてみていく。

・前奏
主旋律のトランペットは同じだが、その主旋律に重ねて木琴。先に聴いたVer.にも使われていたが、木琴は泰先生の音の要素として重要なピースだと思う。
バイオリンの速いトリルに該当する部分はクラリネットか何か木管楽器に変更され、ハープのグリッサンド、ドラムの早打ちも追加されている。
他にも何か楽器が入っているかもしれないが、聞き分けることはできなかった。バイオリンの速いトリルも入っているのかな??
とにかく音の洪水のようで、前奏だけでも泰先生の意気込みを感じ取ることができる。
・Aメロ
トランペットの主旋律と木管楽器・金管楽器ほかによるつむじ風が舞い上がるような副旋律。
ピアノもしくはハープ?が和音を刻んでいるのがおしゃれに響き、ベースワークも現代的でカッコイイ。
リズムの基本はBGM版と同じく、裏拍のシンバルだ。
・Bメロ
ハープの第一声でバイオリンの和音と鉄琴の主旋律が始まるのは同じだが、トランペットと木琴の楽しげな副旋律が加えられている。
何か楽しくて面白い音で聴く人に楽しんでもらおうという、泰先生のサービス精神の表れだと思う。
とりあえず、劇判として使われる予定の無い楽曲だからちょっとやり過ぎともいえるサービスてんこ盛りな編曲がほどこされたのだろう。
ミヤガマニア(宮川泰先生のマニア、私が勝手に造語した)としては、本当に嬉しくなってニンマリした部分であった。
・Cメロ
バイオリン速弾きとトランペットがダブル主旋律のように両立するのは前の2曲と同じだが、チューバ?が裏拍でリズムを刻むのは音楽集版と同じだ。
先に「泰先生が裏拍で完成させたと考えている」と述べた理由は、この楽曲があるからだ。
後半は木琴の代わりにチェロがバイオリンの主旋律と重なっている。弦楽器の重なりに変更されて、より豪華で上級な音に聞こえる。
木琴も無くなったのではなく、いきなり前奏で使われているのは泰先生の木琴に対する位置付けを感じずには居られない。
更にフルートか何か木管楽器による副旋律も追加されいて、ここにも聴く人に楽しんでもらおうという、泰先生のサービス精神が感じられる。

これは、正真正銘ミヤガマニア向けの楽曲である。


4.「新コスモタイガー2009」『宇宙戦艦ヤマト 復活篇 オリジナルサウンドトラック』「戦火の渦へ」より
2006年に泰先生が亡くなり、復活篇は間に合わなかった。
2007年に羽田さんまで亡くなり、西崎プロデューサーは旧作の音楽を超えるという目標達成のためには
クラシックで行くしかないという決断を下した。
この決断が正しかったかどうかは別として「旧作を超える音楽」をめざすという姿勢は素晴らしいと思う。
結局、旧作のBGMもそのまま使われたので音楽的統一性は損なわれたが、映画の冒頭に『交響組曲』の「序曲」が流れただけで感慨深く思い、私は目頭が熱くなった。
旧作から直接的に続く本流は『復活篇』であり、言ってみればヤマトの正史。
現在、頓挫した状態で10年近く経過してしまったが、ユキの消息や生きているはずのデスラーの再登場など正史の行方を観れる日が来ることを願ってやまない。

話は少々脱線したが、
西崎Pの決断を受けてフルオーケストラで再編曲されたのがこの楽曲だ。

結論を先に言うと、泰先生の編曲を尊重した内容で大変好感が持てると感じた。
簡単にポイントを述べると、
・Aメロの勇ましいトランペットによる主旋律
・Bメロの優雅なバイオリン
・Cメロの木琴
など、重要な要素が比較的残っているのである。
山下康介氏はこの楽曲をよく理解したうえで再編曲したのだろうと感じる。

なお、ほぼ同じ編曲で別演奏の
4-1.「コスモパルサー」『宇宙戦艦ヤマト 復活篇 ディレクターズ・カット オリジナルサウンドトラック』
も存在するので音源をお持ちの方は聴き比べてみると面白いだろう。


5.「コスモタイガー (Wan・Dah・Bah)」『宇宙戦艦ヤマト2199 オリジナルサウンドトラック Part.1』
現在コスモタイガーと云えばこの曲、というくらい人気の編曲であるが、個人的には好きになれないVer.である。
まず、ワンダバについていろいろ意見があろうかと思うが、他作品のパロディーをヤマト音楽に使うということが気に入らない。
ワンダバVer.がお好きな方は気を悪くされるかもしれないが、人それぞれ許容範囲があるという事でご容赦願いたい。
ここまでの聴き比べで泰先生の編曲の素晴しさを述べてきたのだが、ワンダバVer.は泰先生の編曲の特徴的な部分は殆ど踏襲していないと感じる。
これは、彬良さんが敢えて泰先生との決別を選んだのではないかと思うのだが、真相はどうだろうか?
もちろん彬良さんのこの試みに対しては敬意を払っているが、泰先生独特の編曲が好きな私にとっては好きになる要素が希薄な楽曲ということになる。

メロディー構成は、
ワンダバVer.の前奏 Aメロ Bメロ 前奏 Cメロ 前奏 Aメロ Bメロ 前奏 Cメロ ワンダバVer.の後奏

この曲もポイントのみ説明する。
・前奏と後奏が新たに作曲されている。
・前奏は発進準備の情景を上手く表していると感じる。
・後奏は勝利を感じさせる勇敢な仕上がり。
・全体的にテンポが遅く、雰囲気はロッキーのテーマに似ているように思う。
・Aメロの勇ましいトランペットによる主旋律とBメロの優雅に飛行する様子を表しているかのようなバイオリンの和音以外は泰先生の編曲の特徴が殆ど残っていない。
・Cメロに至っては、表拍のチューバがドスンという感じで軽快に飛ぶはずのコスモタイガーとは程遠く感じるが・・
・このドスンを逆に力強く戦闘しているととらえれば、後奏の勇敢な勝利に繋がる。
・敢えて泰先生の特徴をそぎ落として、彬良さんなりのセンスと工夫で組み立て直された編曲だと思う。
※良く聴いてみると一発目は表拍だが、二発目は裏拍(しかも泰先生と異なる所で打っている)。
一発目が表拍なので全体の印象は表拍だが、彬良さんは気付き難い所で凝ったことをしている。


なお、ワンダバVer.は何パターンかの演奏が音盤化されている。音盤名と内容を紹介する。

5-1.『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海 オリジナル・サウンドトラック 5.1ch サラウンド・エディション』
Blu-ray audioという珍しい媒体だが、通常のBDプレーヤーがあれば再生可能。
『宇宙戦艦ヤマト2199 オリジナルサウンドトラック Part.1』と同じかと思っていたが、やたらとワンダバを連呼しているのでびっくりする。

5-2.『宇宙戦艦ヤマト2199 ヤマト音楽団大式典2012』
ライブ盤でブラスバンドアレンジ。前奏にホルンの副旋律が入っている。

5-3.『宮川彬良 Presents 宇宙戦艦ヤマト2199 Concert 2015』
ライブ盤でオーケストラアレンジ。

5-4.『「宇宙戦艦ヤマト 2199」からの音楽』
ライブ盤でブラスバンドアレンジ。前奏にホルンの副旋律が入っている。

更にYouTubeでワンダバなしVer.等も聴くことができるので、比べてみると面白い。



以上「新コスモタイガー」の聴き比べでした。

二回目を書いてもやはり、四苦八苦で音楽の知識の無さを痛感するばかりでした。
今回も、どうにか意味は通じるように書いたつもりですが、分かりづらい所があればどうかお許しください。


しかし、宮川泰先生とヤマト音楽の素晴らしさを伝えたい!その気持に嘘偽りは有りません。
泰先生とヤマト音楽は本当に素晴らしいものです。


そして、個人的趣味全開で書いた駄文を最後までお読みいただき、本当に有難うございました。


宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-【その1】「想人」を聴き比べる

2018年06月09日 16時46分21秒 | 宇宙戦艦ヤマト

2018年5月5日は忘れられない日になりそうだ。
4時間にも渡り、ヤマト音楽だけで構成された『ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマト』が放送されたからだ。

以来、ヤマト音楽ファンの血(というより宮川マニアの血)が騒いで仕方なく、
宮川泰先生と宇宙戦艦ヤマトの音楽について語ってみたいと思うようになった。

しかし音楽学と言うのか、楽譜を読んだり、そういう知識が全く無いため的を得た表現は出来そうにない。
特にメロディーについての分析能力は無く、編曲についての記述が大半になると思う。
泰先生はアレンジャーとしての手腕が傑出しており、自分自身もその編曲に魅了された一人である。
泰先生の楽曲を聴きたいがためにレコードやCDを山ほど聴いたが、
自分自身が愉しい、面白いと感じ、先生の楽曲にはまった原因はその編曲によるものだと思う。
もちろん、メロディーの美しさにも屈指の物があるのだが、
何故美しい?どういう構造のメロディーか?ということはさっぱり分からない。
感性で美しいメロディーと感じる事は出来るが、自分にとってはそれ以上でもそれ以下でもないので
メロディーに関しては「美しい」以外どうにも言い表す事は出来ない。
メロディー分析を期待される方には参考になる内容ではないと思いますので、悪しからずご了承ください。

更に、使用楽器の音を正確に聞き分けることも出来ない。
編曲について語るには、ここでこの楽器がこういう音で演奏している、ということを文章表現しなくてはならないと思うが、
楽器名を間違えたり、不明のまま話を進めることも多々あると思う。
使用楽器名が明確に分からなくても、こういう音で編曲しているという事が伝われば話は成り立つという前提で、
このような場合も、そのまま話を進めさせていただく。


宮川泰先生と宇宙戦艦ヤマトの音楽が好きで好きでたまらない音楽素人が、
音の魔術師と云われる泰先生の編曲の魅力を皆さんに伝えたい、という一心で書いてみた、いう感じでしょうか。
駄文乱筆長文(三拍子揃った悪文です(汗))ながら、お読みいただければ幸いです。


【凡例】
曲名「」
アルバム名・作品名など『』
曲名、アルバム名は現在最新の『YAMATO SOUND ALMANAC』シリーズに準拠します。
失礼ながら、人物名は基本敬称略とします。

なお、音楽的知識が希薄なため、音楽用語等はネットで調べながら書いています。
更に、使用楽器は素人の耳で聴いて判断していますので間違いがあると思います。
間違いや、更に分かりやすい表現方法など有りましたらご指導いただければ幸いです。



『ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマト』の核ともいえる企画が「聴き比べ」だった。
以来、私も聴き比べに凝り始めている。
ヤマトは、その長い歴史の中で市販された音源の豊富さは日本のみならず、世界的に見ても稀有なレベルであろう。
音源の豊富さ故にサンプルを揃えることも可能で、聴き比べはヤマトならではの愉しみ、いや、醍醐味とも言えよう。
そこで、恥ずかしながら『宮川泰先生の音楽-宇宙戦艦ヤマト-』と大きく銘打ったブログシリーズの1回目は「聴き比べ」にした。
特に、音の魔術師といわれた泰先生の編曲について分析してみたいと思う。


今回は2202でもリアレンジされ、『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』で名曲との誉れ高い「想人」を選んでみた。

聴き比べたのは以下の通り。
1978年の『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』&『宇宙戦艦ヤマト2』のBGM、音楽集より
1.「想人 (M-72B[5])」(オールナイトニッポン『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』使用BGM)『YAMATO MUSIC ADDENDUM』
2.「永遠の生命 (M-65)」『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち BGM集』
3.「永遠の生命 (M-66A)」『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち BGM集』
4.「想人 (おもいで)」『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』
以上、宮川泰先生 作・編曲のオリジナル楽曲。

それから40年を経た『宇宙戦艦ヤマト2202』より
5.「想人の記憶 (スキャット)」『宇宙戦艦ヤマト2202 オリジナル・サウンドトラック vol.1』
父泰先生の楽曲を息子 彬良さんが編曲。

では、聴き比べ開始!
音源をお持ちの方は、聴きながらお読みいただけたらと思う。

1.「想人 (M-72B[5])」
全編に渡り川島和子のスキャットが主旋律を唄い、ピアノと弦楽器が伴奏するという形。
このバージョンが、スキャット曲である「想人」の基本形だと仮定し、最初の曲に選んだ。

「無限に広がる大宇宙」の「アー アー」という澄んだ声と同一人物とは思えない、
少しハスキーでため息のような「ハーァ アー」という哀愁を帯びたソロ・スキャットで始まる。
この、哀愁を帯びたスキャットこそが「想人」という曲のプロトタイプだと思う。
ソロ・スキャットに続きピアノの伴奏が加わり、
そしてチェロ、バイオリン(またはビオラ?)、コントラバスっぽい低音の伴奏も加わり、
更に、和音で表現されたバイオリン主旋律も加わり、楽曲の最高潮を迎える。
「ボレロ」のようにだんだんと華が添えられていく感じで構成楽器が増えていく。
そして、それらの楽器が絡み合いながら静かに終了する。
オーソドックスな構成ながら、スキャットを引き立てる編曲だと思う。

2.「永遠の生命 (M-65)」
スキャットは無く、楽器のみで演奏されている。
バイオリンの主旋律とピアノの伴奏で始まる。
次にピアノの主旋律と伴奏、そこにバイオリンがバックコーラスのように和音で伴奏を付ける。
楽器の役割を交代しながら聴き飽きさせることなく、サビに向けて少しづつ盛り上げていると思う。
そして、0:53(演奏開始後53秒)頃からがこの曲のサビだ。
主旋律はバイオリンの和音表現、伴奏はピアノ、更にバイオリン、チェロ(もしくはビオラ?)の音を主旋律にハモらせるように加えている。
数えきれないほどの音が重なりつつも、大変美しく響き合う泰先生の魔術的な編曲を聴くことが出来る。
このように主旋律をバイオリンの和音表現で聴かせるのは、泰先生の編曲で最も美しく響く部分のひとつだ。
この部分は前後に比べて音の多さ・美しさが突出しており、泰先生の「やり過ぎる」という特徴も出ていると思う。
(※泰先生、編曲だけでなく紅白「蛍の光」の指揮でも分かるようにあらゆる面で「やり過ぎる」のが持ち味だと思う。
そこを玉に瑕と思われる方もあるかもしれないが、それこそが泰先生の本質なんだと思う。
編曲に関しては、音を重ね過ぎる、騒がし過ぎる、激し過ぎる、忙し過ぎる、速や過ぎる、美し過ぎる等、先生の「やり過ぎ」は枚挙に暇ない)
個人的には、今回聴いた5曲で一番好きなのはここ。パイ生地のように幾重にも重なった音が本当に美しく響く。
パート2・26話の古代と雪が寄り添い歩くシーンで初めて聴いて惚れ込んだのだった。
とにかく、泰先生の「やり過ぎ」な編曲が好きなのである。
最後に初めと同じ、バイオリンの主旋律とピアノの伴奏に戻ってこの曲は終了する。

次に聴くのが、ほぼ同じ編曲で主旋律をスキャットに変更し、楽器数を増やした曲。
今聴いたスキャットの無いバージョンは、映画のシーンを想定して音楽表現を控え目に、楽器を減らしたように思われる。(あるいは逆の手順で楽器を増やした可能性もある)
このように同じ編曲から楽器を間引いたバージョンを聴くことができると、各楽器の編成や息遣いの聴き分けが出来るので面白い。

3.「永遠の生命 (M-66A)」
この曲は、2.「永遠の生命 (M-65)」とトラックダウン違いかと思っていたが、
同時再生してみたところ、音ズレにバラつきがある。別テイクなのか?
まあ、これは余談でした。では、本題。

主旋律はスキャットとバイオリンとピアノ、伴奏はピアノで始まり、早い時期にコントラバス?っぽい長い低音の伴奏も加わる。
チェロの伴奏が加わった時点でバイオリンの主旋律が和音表現に変化(もしくはバイオリンの主旋律がビオラの和音表現に交代?)して軽くサビをむかえる。
次に、主旋律はピアノ一本になり伴奏もピアノ。コントラバス?の長い低音に合わせてバイオリン(もしくはビオラ?)も長音で伴奏している。
ここは、ピアノを聴かせるために、少しおとなしくなった印象。次のサビを引き立たせる意味もありそうだ。
この曲も0:53頃からがサビ。
主旋律はバイオリンの和音、伴奏はピアノ。バイオリン、チェロ(もしくはビオラ?)、金管楽器(ホルン、もしくはトロンボーンかな?)、
更にコントラバス?の低音も主旋律にハモらせるように加わり、ここで最高に盛り上がる。
先程聴いた、2.「永遠の生命 (M-65)」は、楽器が少ない故に、この部分の何重にも重なった音を聴き分ける手掛かりになると思う。
(※仮に楽器の名前が分からなくても、ここにこんな音が入っているということが聴き取れたら、泰先生の編曲の魅力を理解できると思う。
そういう訳で、楽器名が出鱈目のまま話を進めさせていただいた。本来なら楽器名を特定させたうえで公開すべきところ、自分の無知故、申し訳ないです)
そして、金管楽器以外の全ての楽器を使いながら静かに終了する。


ここまでの3曲は実際に映画で使うことを前提に編曲されたものだ。元々音盤化の予定も無く、音楽として鑑賞することは考慮されていないと思う。
それぞれは、大体以下のようなことを念頭に作られたのだろうと思う。
1.「想人 (M-72B[5])」はスキャットをメインに哀愁をより深く表現した作品だと思う。(ただし、この曲はラジオドラマのみの使用にとどまった)
2.「永遠の生命 (M-65)」はスキャットを排し小編成にすることによって哀愁の深さや感情の高まりを押さえ、セリフの邪魔をすることなく細やかな感情を表現するように作られていると思う。
(実際に、沖田艦長のセリフのシーンで効果的に使われていた)
3.「永遠の生命 (M-66A)」は楽器を多く使用することにより、哀愁の深さや感情の高まりをより豊かに表現しており、セリフの無い場面で効果的に使用されている。
このように映画で使うことを前提とした制約があるものの、それぞれの曲は音楽としての美しさ、愉しさも堪能できるような工夫も加えて編曲されていると思う。

次に聴く、4.「想人 (おもいで)」は、音楽として鑑賞することを前提として編曲・演奏された曲だ。
音楽としての美しさ、愉しさを堪能できるように、どのような編曲がされたのか、上記3曲と聴き比べると面白い。


4.「想人 (おもいで)」
泰先生作・編曲、伊東ゆかりが唄う「青空のゆくえ」に似たピアノとハープからなる前奏から始まり、スキャットの主旋律が入り、
ピアノとハープによる前奏はそのまま伴奏となって続き、トライアングルかフィンガーシンバルのような「チーン」という音が入る。とここまで、ほんの出だしだが先の3曲より豪華な編成なのがわかる。
映画で使うことを前提とした制約が無く、自由に編曲しているようだ。しかし、音楽として鑑賞し易くするために控え目にした部分もあると思う。それは、後で述べる。
しばらくしてバイオリン(もしくはビオラ?)、ベース、ドラム更にギターのアルペジオ伴奏が加わり、先の3曲に無かったポップスの要素も顔を見せる。これは、愉しくなってきた!
ドラムは、村上秀一。そう、ポンタさんだ。思わぬ所に大物登場で、その正確なスティック捌きに耳を傾けるのも良い。ちなみにこの演奏のピアノは羽田さんではない。
次に、バイオリン(もしくはビオラ?)伴奏が和音になり、更に高音のバイオリン和音伴奏と鉄琴(ビブラフォン?)も加わり、ちょっとした盛り上がりを見せる。
ここで主旋律はホルンに交代、伴奏にフルート?が登場し、更に管楽器も加わり、ベース・ドラムも大きくなる。
次にバイオリンはトレモロ?(セミやキリギリスのように弓を高速で震わせる奏法)で美しく主旋律を奏で、主旋律がチェロにバトンタッチされるとトロンボーン?がリズムを刻むように伴奏する。
更にバイオリンの和音で主旋律、ホルンが副旋律の伴奏を奏で、ここでサビをむかえる。先の「0:53頃からのサビ」に該当する部分だ。
ただし、ちょっと音の重なりが減った印象だ。

主旋律、副旋律が様々な楽器にバトンタッチして演奏されているが、
同一楽器が再登場すると奏法を変えるなど、聴き飽きさせない工夫が感じられる。
そして、哀愁のあるオーボエが主旋律を引き継ぎ、最後のスキャットへの橋渡しとなる。
最後は静かに哀愁を帯びて終了するのではなく、もう一度サビをむかえてハープのグリッサンドも絡めて明るめの曲調で終わる。

この曲、先に聴いた3曲と比べて豪華になっているのだが、
音楽としてのバランスを考えて逆に控えめになった部分もあると思う。
・哀愁が深くなりすぎないように、スキャットの声色を明るく澄んだ方向にシフトしている。
・本来、哀愁が深まって終わる曲だが明るめのラストに変更している。(音程は先の3曲と同じく下がって終わるのに明るく感じるのは何故だろう?)
・2.「永遠の生命 (M-65)」と3.「永遠の生命 (M-66A)」の数えきれないほどの音が重なり合いつつ、大変美しく響き合う0:53頃からのサビに該当する部分の音の重なりが減りシンプルになっている。
「永遠の生命」ではこの部分が前後に比べて突出しており、「想人 (おもいで)」では曲としての流れを整えるために前後に合わせてシンプルにしたのではないかと推測する。

以上のように、4.「想人 (おもいで)」は音楽としての美しさ、聴き易さ、飽きの来なさを考えて編曲されていると言えよう。


こんなに念入りな聴き比べは初めて試みたが、
映画に使うことを前提に作られた曲、音楽として聴くことを前提に作られた曲、双方に一長一短があるものの、
両方を比べて聴けばその楽曲に対する理解が深まると実感した。
更には、宮川泰先生の緻密で美しく魔術的ともいえる音作りを改めて再認識出来て有意義だったと思う。


5.「想人の記憶 (スキャット)」
3.「永遠の生命 (M-66A)」をベースに彬良さんが再アレンジした最新録音版。
こちらは、簡単にポイントのみ。
初めは、1.「想人 (M-72B[5])」や 3.「永遠の生命 (M-66A)」に近く、哀愁が深い印象だが
後半はベース、ドラム、木管楽器が加わり、4.「想人 (おもいで)」のようなポップスの要素も加わり、
主旋律は多くの楽器でバトンを繋ぐように演奏されている。
更に、2.「永遠の生命 (M-65)」の「0:53頃からのサビ」も踏襲されて残っている。
(音の重なりはやや減っているように思うが、4.「想人 (おもいで)」ほどシンプルにはなっていないと感じる。程よい着地点でまとめていると思う。もしくは、ミキシングでバイオリンの音を絞っただけで同じ音の重なりかもしれない。)
曲の終わりは、3.「永遠の生命 (M-66A)」と比べると少し明るい印象。(この曲は音階が上がって終わっている!)

このように「想人の記憶 (スキャット)」は、1978年の「想人」4曲の記憶から良い所を選んで紡ぎ直した曲と言えそうだ。
図らずも、名は体を表しているということだろうか。
映画に使う、音楽として鑑賞する、という双方の要望を一曲に集約した、彬良さんの手腕が光る一曲だ。


これら5曲のような密接な関係性は無いが、泰先生がそれぞれ違ったコンセプトで編曲したヴァージョンとして、
以下の3曲も紹介しておきたい。

6.「想人(おもいびと)」『不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ』
1978年の演奏。
この曲はポール・モーリアの「オリーブの首飾り」を思わせるアレンジになっている。
「オリーブの首飾り」と聴き比べるとメロディーは全然違うのに楽器の使い方はかなりの部分で一致している。

7.「想人 YOU BE THERE」『ギターが奏でるヤマト・ラプソディ』
1982年の演奏。
ラテン風のパーカッションとドラムから始まる軽妙なアレンジ。
哀愁を帯びた曲が楽しい曲に化けている。
木村好夫のギターも素晴らしい。

8.「想人 YOU BE THERE」『バイオリンが奏でるヤマト・ラプソディ』
こちらも1982年の演奏。
バイオリンの徳永二男、ギターの木村好夫、そしてピアノの羽田健太郎という
ヤマト音楽奏者のビッグスリーが揃って共演している。
3人の名プレーヤーが、代わる代わる主旋律と伴奏を巧みに絡ませ合いながら演奏している。
この3人の会話のような絡み合いを追いかけながら聴けば、それぞれの稀有な演奏技術を堪能出来ると思う。



以上「想人」の聴き比べでした。

元々音楽用語の知識もなく、オーケストラ楽器それぞれの音も判別できずにこういう文章を書こうとするのが間違いだったかもしれない。
そして、音楽を文章で説明するのは難しいと思い知った。
だが、宮川泰先生とヤマト音楽の素晴らしさを伝えたい。その一心でこんな文を書いてみました。
どうにか意味は通じるように書いたつもりだが、分かりづらい所があれば、どうかお許し願いたい。

そして、個人的趣味全開で書かせていただいた文章を最後までお読みいただき、本当に有難うございました。


『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第1章』初日【個人的感想】

2017年02月28日 00時21分20秒 | 宇宙戦艦ヤマト

『宇宙戦艦ヤマト2199 第1章』初日【個人的感想】
という記事をUPしてからほぼ5年。
嬉しいことに、再び同じような記事を投稿出来ることになった。
2/25から続編の
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第1章』
が劇場公開されたのである。

2199第1章の時は旧作しか知らず
最近のアニメも見ていなかったので
様子があまりにも違うことに戸惑いを感じていた。

今回は、そういう意味では免疫が出来ているので
すんなりと入り込めた。

では当日レポート。

※本編感想前まではネタバレはありません。
※本編感想が始まるときに一度合図を入れます。
 
阪神梅田駅から歩いてJR大阪駅へ
 


『追憶の航海』以来2年数か月ぶりの大阪ステーションシネマ。



今回は前日にネット予約したので
並ぶことなく自動発券機でチケットを手にした。
大阪ステーションシネマの初日3回目、12:30。
座席は後ろから2列目の右寄りL-18。
一番大きいスクリーンの回をチョイス。



アンドロメダ プラモデルの実物展示

なんとなく細い気がする

見慣れた角度でもう一枚

この角度の方が違和感が少ない

早くも第2章のポスターが

もう前売り券を売り出している

そして、新聞も販売中


第2章の前売りがあったのでパンフレットと一緒に購入。
あと、サンスポの「宇宙戦艦ヤマト2202新聞」も購入。
なお、この新聞は内容が充実し過ぎているので
映画鑑賞後に熟読する方が良いと思う。

チケットをもぎってもらって、
入場者プレゼント「【複製】キャラ原画&メカ設定線画」を受け取る。

購入品等は表題写真参照。
上から2202新聞、入場者プレゼント、パンフレット、チラシ。

シアター入口



いよいよシアターへ。

ほぼ満員で男女比は見回した印象では7:3くらい。
2199と比べると女性が多いように感じた。
1978年に『さらば』を観たとき
中高生と思しき女子が多かったのを思い出した。

年齢層は40~50代でほぼ9割。
5年の歳月が年齢を押し上げたようだ。
新たなファン層として最も期待したい20~30代は
残念ながら少なかった。
仮に完結編までこのペースでやると、
あと15年くらいかかるのではないか?
すると、60~70代になってしまう。
ただし、親子連れがちらほらと見え
良い傾向だと思った。

では、本編感想を書きますので
ネタバレOKの方のみ下にスクロールしてください。
























【個人的感想】ですので偏った思い入れも多々あります。
一般的には通用しない内容かもしれませんが
お付き合いくださる方は更にスクロールしてください。
↓ 


























本編が始まると「無限に広がる大宇宙・・・」
とお決まりのナレーション。
しかし、これは大帝の台詞。
ここはナレーションの方がしっくりくるのだが・・

理由はよく判らないが
2199ではナレーションで説明するということを嫌い
「時に西暦2199年、地球は最期の時をむかえようとしていた・・・」という有名なナレーションを
森雪の台詞で代弁させたという経緯がある。

2199の続編として
”ナレーションを排しながらも台詞で代弁させる”
という手法を再び採用して統一感を持たせたのだろう。
しっくりこなくても、2199を観ていたら理解できる。

個人的には、無理やり台詞にするくらいなら
素直にナレーションにするなり、無しにするなりした方が
しっくりくると思うのだが。 

2202第1章は導入部にもかかわらず大艦隊戦から始まる。
古代進は兄譲りの突撃戦法で大活躍!
そして、早くも地球滅亡の危機をヤマトが救うのである。
(ここは手に汗握る展開なので是非とも映画館で観てほしい)
いきなり見せ場を作っている。

『2』の1~2話を再現しただけなら
見せ場なし、ネタバレあり、になってしまい
映画としてはちょっと成り立たない。

この2202第1章は
見せ場がありながらもネタバレは殆どなく
次章に向けて謎が謎を呼ぶような展開。

本編では説明がなかったが
お坊さんらしき人物が多数虐殺された惑星が
テレザートだとパンフレットに載っていた。
この虐殺シーンも、第2章で明かされる
「惑星テレザートとテレサの物語」と
何か関係があるのだろう。

テレサの発したコスモウェーブで
ヤマト乗組員が身近な人の幻を見たが
ファンタム星のスーパーサイコエネルギー
と同じようなものなのだろうか?

テレザート星が宗教国家ならば
テレサはマザーシャルバートのような存在なのだろうか?

シャルバート星の役割が
イスカンダルとテレザートに振り当てられたのなら
2202の続編としてのIII(タイトルは2205になるのかな)は
もう期待できないのだろうか?

III至上主義の私にとっては、そこが一番の問題である。
彬良さんが「ボラー連邦」や「ルダ王女の恋」を
どう料理するか聴きたい!
板橋さんのシンプルで格好良いメカニックが
どのようにリデザインされるのか見たい!
そして第一艦橋に訪れるデスラーを見たいのである!!

そのデスラーについては
今回の2202第1章では全く触れられず
生死とその扱いに関しては謎として残された。

2202本編のストーリーとは関係ない方向に脱線したが
謎が謎を呼ぶ展開であったことは間違いない。

2202第1章の内容については
これは許せないなという程のものは無く
合格点だったと思う。
次章以降に期待を持たせるような
謎を散りばめている点は上手いと思った。

さて、
私個人的にはヤマトの半分以上のウエイトを持つ
音楽について。

2199第1章の感想では
生意気にも彬良さんに対してダメ出しをしたが
2199の回を重ねるごとにダメ出しをする事も無くなった。
彬良さんがオリジナリティを発揮し始めたからだ。

今回の音楽制作は、劇場で聴く限り良かったと思う。

『さらば』の完全再現を目指した「白色彗星」には
意気込みを感じた。
ヤマト廃艦 M-10」には
彬良さんのオリジナルアレンジがスパイスのように加えられていた。

再会 M-5」、
地球艦隊の反撃 M-45新造戦艦アンドロメダ M-4」、
テレサの祈り M-29A」には

彬良さんによるスペシャルアレンジが施され
よりゴージャスになっていた。

2199の後半以降は
父・泰先生ならどう編曲するか?
ということを念頭に置きながらも
彬良さん独自のアレンジを加えていると思う。
今回、さらに磨きがかかったように感じる。

サントラの発売が待ち遠しい。

そして、事前に公表されてはいたが
ジュリーこと沢田研二の「ヤマトより愛をこめて」が
エンディングテーマに選ばれていることが
第1章の音楽の最大ポイントではないかと思う。

ここでこの曲を使ってしまうということは
第7章のエンディングは違う曲であるということ。
つまり、2202の最終的なテーマはこの曲では代弁できない、
もっと別な何かが用意されているのだろうと想像される。
そして、イメージの壊れるようなカバーで
この曲を聴かずに済みそうであることに
ほっと胸をなで下ろしたのである。 

ヤマトもジュリーも今年でファン歴40年。
再び両者が接点を持ったことに喜びひとしおなのである。 


とりあえず劇場で一度観た段階での感想はここまで。

バンダイで頼んだBDが3/4に届いてから
もっと詳細に見ていこうと思う。


【おまけ】
観終わった後・・・
阪急古書のまちと阪急東通商店街のまんだらけに行って買い物。

そして、二十数年前に一度食べただけなのに記憶に残っているラーメン店を求めて徘徊。
古い記憶ながら難なく発見!
 

味の記憶はほとんど無いが、とにかく薄い色が印象に残っていたのである。
 
二十数年ぶりに見た印象は、ウサギの餌っぽい・・?

しかし、この薄いスープが美味しかった。
生の菊菜(春菊)もヘルシー。
こってりを積極的に食べたいとは思わなくなった昨今
これこそ理想のラーメンかもしれない。

時刻は15時を過ぎていたが、客は4人ほどいた。
12時代には満員だったかもしれない。


『YAMATO SOUND ALMANAC 1974-1983 YAMATO MUSIC ADDENDUM』

2015年10月28日 19時57分06秒 | 宇宙戦艦ヤマト

通称『アデンダム』
ヤマト音楽ファンの間で話題のCDです。
本日手元に届きました。

本編未使用曲を含む未発表曲のCD化を希望している私にとっては
忸怩たる思いの内容ではありますが・・

初CD化音源・初商品化音源もありますので、抜粋して感想を書きます。


DISC-1

アクションシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』より
1.宇宙戦艦ヤマト
2.真赤なスカーフ
初CD化音源です。
こんなレコードもあったということで、知らない人にとっては資料的価値の高い音源です。
二曲を繋げてワントラックで良いと思うのですが、効果音の途中でちょん切られています。


オールナイトニッポン『宇宙戦艦ヤマト』使用BGM
3.J-2(Alternate Version)
BGM集と聴き比べてみると0:50あたりのオーボエの吹き方が違うというか、吹き損じのボツテイクのように聴こえます。(CDの解説にも「本来であれば使用不可のテイク」とあります)
TVやラジオで使われたという理由だけで音楽的に質の悪いものや新鮮味に欠けるものをCD化してもしょうがないと思います。ボツテイクでも編曲等が明らかに違ってこそ聴く価値があると思うのですが・・


『宇宙戦艦ヤマト完結編70mm版』使用BGM
4.序曲(Alternate Version)
スキャットを重ね録りしたのか、変なエフェクトをかけたのか分りませんが、幽霊のような気持ちの悪い出来上がりになっています。しかし、完結編の使用シーンにはぴったりで『宇宙のお葬式』というこの曲の原題にふさわしい仕上がりともいえます。
録ってみたはいいけどボツになった音源が完結編のシーンにマッチして陽の目を見たのか?あるいは、完結編の4チャンネルミックスダウンの時に作られたのか?いずれにしても、音楽的にはちょっと?な出来です。
5.誕生(Alternate Version)
よく知られている『交響組曲』版の演奏から楽器を間引いた、いわゆる引き算のヴァージョンのように聴こえます。楽器をプラスした足し算のヴァージョンならもっと楽しめるのですが・・
しかし、完結編の使用シーンではこの引き算のヴァージョンがぴったり合っていました。


オールナイトニッポン『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』使用BGM
6.大いなる愛(M-53B[8])
宮川先生らしい、2曲を繋げて1曲にしたものです。途中で「雪の最期」のモチーフに変化しています。
7.白色彗星(EX-15[6])
宮川晶(彬良)少年の演奏だそうです。パート2 BGMの「ヤマトよ永遠に EX-2(6)」と並んでパイプオルガンらしい編曲の好演です。前後が物足りなく感じるのですが、これは果たしてフルコーラスなのでしょうか?
8.想人(M-72B[5])
個人的にはBGM版「永遠の生命 (M-66A)」の演奏が好きなのであまり感じ入るところはありませんが、最も「想人」らしい雰囲気をかもし出しているスキャットと編曲だと思います。


『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』使用BGM
10.放浪のイスカンダル(Alternate Version)
TVで使用されたヴァージョンです。モノラルながら各楽器の音がしっかりと聴き取ることが出来る、迫力有る音源となっています。


オールナイトニッポン『ヤマトよ永遠に』使用BGM
12.重核子爆弾の脅威
「重核子爆弾」関連楽曲のなかで、このヴァージョンが一番宮川先生らしい編曲でベストだと思います。
13.傷ついた戦士たち
途中でハープが絡み、オーボエ・ソロの間奏が入る面白い編曲のヴァージョン。この間奏部分がIIIの「シャルバート巡礼船」に似ているように思います。しかし、この曲は初収録ではないようで、1995年のBGMコレクションに入っているそうです。初めて聴いたと思った私は、いかに昔のアルバムを聴いていなかったかと反省しなければなりません。
14.愛し合う二人(ギターソロ)
15.サーシャ(ギターソロ)
この2曲は今は亡き木村好夫によるギターソロ。このアルバム一番の収穫といっても過言ではありません。
まさしく、クラシックギターの白眉といえる日本一の演奏をしばし愉しみましょう。
16.古代と雪の悲しみ
『ヤマトよ永遠に 音楽集 part.1』収録「別れ」の原曲ということですが、こっちの方がテンポが速くて好きです。「別れ」はバイオリン・ソロを聴かせるように編曲されていて、編成楽器が少なくて面白みに欠けるような気がします。
18.悲恋
これは、初めて聴きました。よく知っているヴァージョンにプラスが有るので間違いないです。徐々に盛り上がっていく所の繰り返しが多くなっており、最後の落ちもちょっと違う。音楽的にもこのヴァージョンの方が良いと思います。


『ヤマトよ永遠に』使用BGM
19.巨大戦艦グロデーズ(Alternate Version)
映画の冒頭で聴いた音はこれですね。 ラフミックスという感じがしないでもないが楽器のバランスが違うせいか、迫力があるように聴こえます。個人的には、1995年のBGMコレクション版の方がエレキギターが激しく、宮川先生らしい音楽に聴こえます。
20.運命の対決~アルフォン少尉とユキ
初収録曲ではありませんが、木村好夫による日本一のクラシックギター演奏をしばし愉しみましょう。


オールナイトニッポン『宇宙戦艦ヤマト完結編』使用BGM
21.反撃
いわずと知れた『復活篇』で使用された曲。復活篇のときと比べて音がはっきりしているので、ミックスをやり直したか、別テイクなのではないかと思います。
22.悲劇
こんなに素敵な曲が映画本編ではボツになりながら、たまたま完結編のラジオドラマに使用され、CD化に至ったということを考えると、まだまだ未発表の未使用曲の中にも素晴らしい楽曲が眠っているのだろうと思います。
1995年版のBGMコレクションを最後に新規発売のCDは本編・ラジオドラマなどに使用された楽曲か、既に何らかのメディアで発表された楽曲に限られるようになってしまったことが本当に残念でなりません。
往年の音楽集LP・交響組曲などは本編で使用されたかどうかには関係なく選曲、あるいはレコード用に別録音していました。1995年版のBGMコレクションまでのLP・CDは、1枚のアルバムとして聴くということを考えた選曲、曲順になっていましたが、近年新たに発売されるCDの選曲、曲順はアルバムとして聴くことを無視した資料的なものになってしまいました。
さらに、以前購入したCDと重複する楽曲を何度も収録し、酷いものは曲名が不一致で同じ曲かどうか判別し難くなっています。
同じ演奏でもフルコーラスだったり、カット版だったりする重複収録や、違う演奏でありながら同じ曲名での収録など、どの音源が同じで、ヴァージョンが違うのか判別し難くなっています。
特に、重箱の隅をつつくような僅かな違いの音源を、本編に使用されたという理由だけで収録する方向性に疑問を感じます。神経を研ぎ澄まして聴き比べなければ気付かないようなヴァージョン違いを収録することより、ボツになった音源の中から、明らかにヴァージョンの違う編曲や、聴いたこともないメロディーの楽曲を発掘・CD化してほしいと思っています。
現状、少なからず重複曲のあるCDを買い続けていますが、「全曲初商品化」のCDを発売することが、本当にファンのことを考えた商品のあり方だと思います。
24.宇宙戦艦ヤマトのテーマ '83
これは、素晴らしい。ボツになった音源にもまだまだこういう素晴らしい曲が残っているだろうと想像していますが、実際の所はどうなのでしょうか?


DISC-3
BONUS TRACK『ヤマト・ザ・ベストIII』
31.別離(TVサイズ)
32.ヤマトよ永遠に(TVサイズ)
この2曲のステレオミックスは初収録です。モノラル版と比べて、いろんな楽器の音がより鮮明に聞こえるように思います。


以下、全収録曲の内容です。


DISC-1 YAMATO BGM ADDENDUM
アクションシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』より
1.宇宙戦艦ヤマト 2:51
2.真赤なスカーフ 3:13

オールナイトニッポン『宇宙戦艦ヤマト』使用BGM
3.J-2(Alternate Version)* 1:18

『宇宙戦艦ヤマト完結編70mm版』使用BGM
4.序曲(Alternate Version) 1:39
5.誕生(Alternate Version) 1:21

オールナイトニッポン『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』使用BGM
6.大いなる愛(M-53B[8]) 0:47
7.白色彗星(EX-15[6]) 0:46
8.想人(M-72B[5]) 1:50

『宇宙戦艦ヤマト2』使用BGM
9.M-13(1)(Alternate Version) 0:28

『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』使用BGM
10.放浪のイスカンダル(Alternate Version)* 2:44

オールナイトニッポン『ヤマトよ永遠に』使用BGM
11.重核子爆弾 0:27
12.重核子爆弾の脅威 2:38
13.傷ついた戦士たち 3:39
14.愛し合う二人(ギターソロ) 1:20
15.サーシャ(ギターソロ) 3:34
16.古代と雪の悲しみ 2:05
17.二重銀河 1:14
18.悲恋 2:05

『ヤマトよ永遠に』使用BGM
19.巨大戦艦グロデーズ(Alternate Version) 2:59
20.運命の対決~アルフォン少尉とユキ 3:56

オールナイトニッポン『宇宙戦艦ヤマト完結編』使用BGM
21.反撃 1:37
22.悲劇 0:54
23.追跡 1:44
24.宇宙戦艦ヤマトのテーマ '83 2:31

 作曲・編曲:宮川泰(1~24)
 作詞:阿久悠(1、2)
 歌:ささきいさお、ミュージカル・アカデミー(1、2)
 演奏:シンフォニック・オーケストラ・ヤマト(1~24)

BONUS TRACK『アニメピアノ組曲・宇宙戦艦ヤマト』より
25.宇宙戦艦ヤマト ~序曲・誕生~ 6:10
26.試練・出発・決戦 4:04
27.真赤なスカーフ ~追憶・回想・イスカンダル~ 6:24
28.想人 ~大いなる愛・スターシャ・白色彗星~ 4:01
29.大いなる愛 ~デスラー孤独・好敵手・ヤマトより愛をこめて~ 5:40

 作曲:宮川泰(25~28、29の一部)、大野克夫(29の一部)
 編曲:青木望(25~29)
 ピアノ演奏:長谷川尚子(25~29)


DISC-2 宇宙戦艦ヤマト ファイナルへ向けての序曲(Instrumental Version)
1.水物語 5:20
2.アクエリアスの神話 4:53
3.大銀河系星雲の衝突 7:37
4.大ディンギル帝国星 6:46
5.水の惑星アクエリアスとクイーン・オブ・アクエリアス 9:33
6.ヤマト出撃 4:26
7.宇宙戦艦ヤマト・メモリアル 12:19

 作曲:宮川泰(1~7)
 編曲:宮川泰(1~3、5~7)、宮川彬良(4)
 演奏:シンフォニック・オーケストラ・ヤマト(1~7)

BONUS TRACK『合唱組曲 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』より
8.宇宙戦艦ヤマト 4:31
 無限に広がる大宇宙/宇宙戦艦ヤマト
9.宿敵 5:29
 好敵手/白色彗星/探索艇
10.想い 5:02
 おもかげ星/イスカンダル/ヤマトより愛をこめて
11.新たなる旅立ち 5:09
 愛の生命/出発/ヤマト!!新たなる旅立ち

 合唱編曲:久石譲(8~11)
 演奏:岡本仁指揮、くにたちカンマー・コール(8~11)
 ピアノ:法嶋晶子(8~11)


DISC-3 YAMATO BGM Collection Refresh
『BGMコレクション 宇宙戦艦ヤマト2』より
1.ヤマトの闘い(M-2[2]) 1:06
2.葛藤(M-19A[2]) 1:46
3.好敵手I(M-EX17[4]) 3:01
4.好敵手II(M-25A[1]) 1:21
5.追憶(M-24'[2]) 2:08
6.宇宙の脅威(M-24A[6]) 1:50
7.エンディング各種(M-13[2]、M-32[2]、M-26[2]) 0:44

『BGMコレクション 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』より
8.新たなる旅立ち(ギターコンボ) 2:52
9.神秘的なヤマト 2:02
10.デスラーの苦悩 1:41
11.流浪 2:36
12.別離(ギターソロ) 2:58
13.サーシャわが愛(インストゥルメンタル) 3:48

『BGMコレクション ヤマトよ永遠に』より
14.暗黒星団帝国 3:46
15.新宇宙 ~二重銀河 3:14
16.ミオの幸せ 2:12

『BGMコレクション 宇宙戦艦ヤマトIII』より
17.シャルバート星のテーマ 2:43
18.ヤマト新乗組員のテーマ 2:18

『BGMコレクション 宇宙戦艦ヤマト完結編』より
19.ディンギル星の水没(Alternate Version) 5:06
20.ユキのテーマ 2:32
21.ユキの悲しみ 2:21
22.ディンギル少年のテーマ 2:18
23.薄幸のディンギル少年 1:05
24.島大介のテーマ 2:12
25.父と子 2:48
26.決断 1:07
27.ファイナル・ヤマト 2:03

 作曲・編曲:宮川泰(1~18、20、21、24~27)、羽田健太郎(19、22、23)
 演奏:シンフォニック・オーケストラ・ヤマト(1~27)

BONUS TRACK『ヤマト・ザ・ベストIII』
28.ヤマト!! 新たなる旅立ち(TVサイズ) 1:48
29.サーシャわが愛(TVサイズ) 1:48
30.星のペンダント(映画用) 2:43
31.別離(TVサイズ) 1:29
32.ヤマトよ永遠に(TVサイズ) 1:26

 作曲・編曲:宮川泰(28~32)
 作詞:阿久悠(28~30)、和田順子(31)、安藤ありさ(32)、補作詞:山口洋子(31)
 歌:ささきいさお(28、30、32)、フィーリング・フリー(28)、島倉千代子(29)、堀江美都子(31)
 演奏:シンフォニック・オーケストラ・ヤマト(28~32)

*モノラル録音


『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』第2週・2回目の乗艦!

2014年12月13日 23時17分25秒 | 宇宙戦艦ヤマト

12/13、再び神戸国際松竹のスクリーン4。
今回も朝一の回。
小さなスクリーンなので前から3番目の中央をとった。
これで、音も良く聞き取れると思う。

客の入りはせいぜい2割程度。
先週の映画ランキングは初登場7位と、
スクリーン数が少ないながら健闘したが、
興業的に厳しいのではないかと心配になった。

前のブログ内容の再検証と新たに思ったことを書いてみようと思う。
ネタバレOKの方は下へスクロールしてご覧ください。

































・蓄音機の音とSP盤のジャケットは、やはりおかしかった。
しかし、今回の映画で
私の好きなレコード盤やクラシカルな建築が登場したことを
素直に喜ぶことにしよう。
以前のブログで書いたように、自分の好きなモノ同士がリンクし合うことがよくある。

・音楽について気になったこと
1.白色彗星のテーマとデスラーのテーマの掛け合いになっているように聴こえた曲は、サーベラーが初登場したシーンに使われた曲で『2』23話に使用されたBGM「M-10(4)」のリメイクのようだ。
曲の最後にデスラーのテーマから派生したと思われるメロディーラインがあり、2つの曲をつなげる手法で彗星帝国とデスラーの関係や心情を表現するために作られた曲だと思う。
宮川泰先生の曲は、よく注意しないと別のモチーフが隠れていることがある。
2.謎の惑星が正体を現したところの「テレサ・愛のテーマ」に酷似した曲。
テレサのテーマにインスパイアされた可能性は否定できないが、メロディーは違った。
彬良さんによる新曲と考えて良いだろう。
3.新曲だけでなく、おなじみのBGMも録り直しているようで、アレンジや演奏が良くなっているように聴こえたのは以下の曲。
「ブラックタイガー」「大河ヤマトのテーマ」「夕陽に眠るヤマト」「元祖ヤマトのテーマ」「ヤマト渦中へ」
中でも特に「ブラックタイガー」が格段の差で良くなっているように聴こえたのだが、これは、『さらば』のときに再録されたヴァージョン「M-14(2)」の再現だからだ。
『2』『III』で一度づつ使用された、アップテンポで力強いヴァージョンである。
「夕陽に眠るヤマト」も『2』で使用された「ヤマト起つ!!」のアレンジの再現になっている。
これらの曲は、映画の画像に合わせてアレンジ・演奏されているようで、フルコーラスになっていない。
サントラで音楽として聴くときに満足できるだろうか?
かつてのようにサントラ盤用のフルコーラス演奏は用意されているのだろうか?
サントラ盤CDは2枚組なので両ヴァージョン収録という淡い期待を抱きながら来年2/25を待つとしよう。
4.ラストの「新銀河誕生」は、やはりここで使ってはいけないと思った。
チャカポンギターの入ったアレンジはなかなか良かったが、彬良さんの新曲が欲しかった。
5・彬良さんの新曲と思われる曲を2つ。ヤマトが謎の惑星の古代遺跡のような構造物にたどり着いたときの曲と桐生が床面の文字に気付いたときの曲は秀逸だった。
6.歴代ヤマト映画の主題歌には歌唱力のある人が選ばれていた。
沢田研二、布施明、岩崎宏美、八神純子、など。
今回の主題歌「Great Harmony ~for yamato2199」には平原綾香。
この人の歌唱力も確かで、ヤマトのスケールにぴったりな人選だと思った。
偶然なのか、そういう人脈ゆえか「名匠 宮川組」のサックス奏者、平原まことは実父である。
この曲のエンドが「大志」になっているのが、なんとなく2199のすべてを物語っているような気がした。

・『星巡る方舟』は、大作並みの過剰な期待をせず、外伝あるいはサイドストーリーと思って観賞したほうがいいかもしれない。それでも2199で一番大事なテーマ「異星人と判りあう」ことを具現化した重要な作品であり、2199の真の結末というにふさわしい。


『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』初日を観て

2014年12月12日 18時01分26秒 | 宇宙戦艦ヤマト

いよいよ、ヤマト新作映画初日!
今回も、初日第1回目の上映で鑑賞。



神戸国際松竹のスクリーン4。145席と小さめのところ。
ブログには書かなかったけど梅田で見た『追憶の航海』はもっと大い画面だった。 

客の入りは9割程度で男女比9対1くらい。
関東より更に女子が少ないように感じる。

子供は気付いた範囲で1人だけ。
『復活篇』では比較的子供が多く、次世代への継承を期待していたが
2199は子供の受けはあんまり良くないようだ。
宮崎アニメのような親子で楽しめる作品をヤマトに求めていた私は
この点に限れば『復活篇』の方に軍配を上げたい。

では、本編の個人的感想や気になったことを書きますので、ネタバレOKの方は下へスクロールしてご覧ください。

 



























・冒頭、古代シュメール粘土板の記述がクレジットされた。
神話と関連があるというのは『完結編』や『2520』を思わせる。
ある意味、西崎さんのヤマトを受け継いでいると感じた。 

・最初に登場するのは斉藤始ら空間騎兵隊。
今回の本編とは関係ないキャラだが、
ここで登場するからには次回作があるん
じゃないかと思わせる。
そして地球を発進したヤマトが登場してオープニングタイトルへ。

・葉加瀬太郎のバイオリンによるオープニングテーマで
イスカンダルへの航海をダイジェストで見せてから今回の本編へ入っていく。
この編曲には賛否あるかもしれないが、流石は一流のプレーヤーによる演奏だと思った。

・今回、一番気になったのは沖田が聴いていた蓄音機の再生音が綺麗過ぎたことだ。
針音ノイズを入れるという凝りようだが、鉄針で再生する蓄音機で、あんなに綺麗な音質で再生できない。
更に再生していた盤は、ジャケットやレーベル面から判断すると、SP盤ではなくLP盤のように見えた。
ジャケットやレーベルまで判別できるほどの細かい作画がリアリティを損なっている。
そもそも200年も未来の話に、現代か過去に存在する事象を登場させると、
現代劇か昔話のように見えるので賛成できない。
しかも、見聞きしたことがある物だけに、間違いがあるとすぐに分かってしまう。
CDともレコードとも分からない「何か」で音楽を再生するくらいの方が
リアルに200年先の未来を感じることが出来ると思う。
本筋とは関係ないことだが、くだらないことでリアリティを損なわないでほしい。

・謎の惑星の正体について
謎の惑星で戦艦大和が現れるのは、惑星ファンタムだからではないのか?
予告編でテレザート上陸作戦のテーマを使っていたので、テレサが登場するのではないか?
など考えていたが、どちらでもない。
惑星ジレルの聖地であるアケーリアスの遺跡だった。
アケーリアス=アクエリアスではないかと思っていたが、どうやらその通りのようだ。
このあたりの詳しい内容は是非とも映画館でどうぞ! 

・ガミラスとの共同戦線は『新たなる』を意識しているように思う。
赤い戦闘空母と三段空母を見ると、そう思う方は多いだろう。

・音楽について気になったこと
1.白色彗星のテーマとデスラーのテーマの掛け合いになっている?ように聴こえたところがあったのだが・・
宮川泰先生がよくやっていた2つの曲をつなげる手法だが、 デスラーが登場しない所ではありえない。
もう一度映画を鑑賞して確認しようと思う。
2.謎の惑星が正体を表したところの曲が「テレサ・愛のテーマ」に酷似していた。
ここでこの曲はいただけない。どうせなら、「神秘の星アクエリアス」あたりを使ってほしかった。
この曲も、もう一度映画を鑑賞して確認しようと思う。
3.新曲だけでなく、おなじみのBGMも録り直しているようで、アレンジや演奏が良くなっているように聞こえた。
サントラ盤が来年2/25に発売されるので、ちゃんと聴き比べてみようと思う。1.2.の曲も収録されるだろうから、検証してみたい。 
4.ラストの「新銀河誕生」は、ここで使ってはいけないと思う。
雰囲気的にはよくマッチしていたが、完全新作映画なんだから彬良さんの新曲を当ててほしかった。

・『星巡る方舟』は、『永遠に』に対する『新たなる』のように、
次回作『宇宙戦艦ヤマト 2201』(まだ製作決定していません)への橋渡し的な作品と見えた。

・今回ガミラスとの共同戦線をやり、「新銀河誕生」
を使ったということは、
2199の続編として『新たなる』と『永遠に』をリメイクするつもりは無いなと思った。
個人的には、この2作は無くていいので『III』はやってほしいと切に願う。

・一番感動した(というよりほっとした)のは、最後にバーガーが助かっていたこと。
この一点が映画の後味を良くしていると思う。
私は、見終わって沈んだ気持ちでは帰宅したくないので
映画はハッピーエンドであるべきだ、と思っている。


以上、超個人的な感想や思いで失礼いたしました。 


「宇宙戦艦ヤマト」ハイレゾ音源 と LPレコード音源 聞き比べ

2014年08月07日 18時22分29秒 | 宇宙戦艦ヤマト

遂にヤマトのハイレゾ音源配信。

「mora」で24bit/96kHzのFLAC(フラック、Free Lossless Audio Codec)データによる提供。
一曲400円、アルバム単位で3200円。

音楽ソフトというものはジャケットも含めての物としての価値だと思っているので、データだけでこの値段ではちょっとしんどい。
コレクターズアイテムにならないので、個人的にはSACDかDVD-AUDIOソフト化されれば良いと思う。

それでも、CDを凌駕する24bit/96kHzデジタルリマスター音源を入手できると考えれば安いと言えるかもしれない。


しかし、常日頃からLPレコードでハイレゾ再生している私としては、はたしてLPレコード以上に高音質なのか?ということが一番気になる問題である。

とりあえず、メドレー的に演奏とボーカルが入っている「ヤマト新たなる旅立ち (挿入歌「ヤマト!!新たなる旅立ち」入り)」を購入して、LPレコードの音源と聞き比べてみた。


自分の耳で聞いた感想は、配信ハイレゾ音源もけっして悪くないのだが、
LPレコードの方が音の切れが良く、スピード感があるように思う。
(ただし、針音ノイズを差し引いて聴く必要がある)
聴覚的にはLPレコードに軍配が挙がったが、実際はどちらの音が良いのか波形表示して視覚的に検証してみよう。


1.配信ハイレゾ音源のFLACデータを「Audacity」でWAVEデータに変換して「WaveSpectra」で波形表示してみた。
(20kHz以上の音域が入っていると思われるトランペット演奏部分を抽出) 


20khzを少し過ぎたあたりから、右下がりの弱々しい波形になっている。トランペットの高周波音が再現されていないのだろうか?
次に、同じ部分のLPレコード音源を見てみよう。


2.LPレコード音源をサウンドカード「Sound Blaster Audigy 2 Value Digital Audio」を使って24bit/96kHzのWAVEデータでPCに取り込んだ波形。(レコード再生機材は、ターンテーブル:Technics SL-1200 MK4、カートリッジ:DENON DL-103R、フォノイコライザー:SOUND PE50)


20khzを過ぎた部分にも「ゲジゲジの足のような上下に大きく左右に細かい力強い波形」が見られる。これがトランペットの高周波音特有の波形である。
録音自体が悪い音源では、LPレコードでもトランペットの高周波音波形は見られない。

この音源には、元々20khz以上のトランペットの高周波音が入っていたのに、リマスターの段階で消えてしまったのではなかろうか?あるいは、マスターテープの劣化で消えたのか?
いずれにしても、レコード盤には録音してすぐの新鮮な音が刻まれているのであろう。


視覚的にもLPレコードに軍配が挙がり、アナログの力を再確認できた。
私は、今回の購入を見送りLPレコードで楽しむことにした。

誤解なきように書き加えておくが、配信音源の質が悪いわけではない。
LPレコードではノイズが無いという訳にはいかないので、配信音源に勝てない部分もある。

それでも、自分の耳にはLPレコードの方が高音質に聞こえるし、
ジャケットや盤の物としての形が無いデータのみの販売にも魅力を感じないのである。
(ただし、入手困難な廃盤音源や未発表音源はデータ配信で構わないのでどんどん販売してほしいと思う)

日本コロムビアさん、出来ればSACDかDVD-AUDIOソフト化をご検討ください。