最も温室効果ガスを排出している“都市”ランキング。ワースト25都市のうち23は「あの国」
2015年に採択された国際的な枠組み「パリ協定」で、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力をする目標が掲げられた。しかし、国連環境計画(UNEP)の「適応ギャップ報告書2020」によると、2019年の温室効果ガスの排出量は過去最大を更新。今世紀末までに平均気温は3度上昇すると予測されている。 そんな中、中国・中山大学の研究チームは先月、世界各都市の温室効果ガス排出量を『Frontiers in Sustainable Cities』に発表した。
ワースト25都市で、都市全体の温室効果ガス排出量の52%
地球の表面積のわずか2%の範囲にしかない都市。しかし現在、世界の総人口の50%以上が都市に居住し、排出している温室効果ガスは、全体の70%以上を占めており、都市は脱炭素社会へ向けたキーとなっている。 ところが、これまで温室効果ガスインベントリ(排出量・吸収量のデータ)の算定方法は、各都市によって異なっていたため、排出削減の進捗状況を正確に把握することが困難だった。そこで今回、研究チームが世界で初めて、世界53カ国167都市の温室効果ガスインベントリを作成した 温室効果ガス排出量、ワースト10都市はこちら。
1位 中国・邯鄲(199.71)
2位 中国・上海(187.93)
3位 中国・蘇州(151.79)
4位 中国・大連(142.51)
5位 中国・北京(132.58)
6位 中国・天津(125.89)
7位 ロシア・モスクワ(12.53)
8位 中国・武漢(110.86)
9位 中国・青島(93.56)
10位 中国・重慶(80.58)
カッコ内はCO2換算量で、単位はメガトン
なんとワースト25都市のうち23を中国の都市が占めたというから驚きだ。またこのワースト25都市で、都市全体の温室効果ガス排出量の52%を生み出しているという。ちなみに日本の都市は、17位に東京、67位に横浜、70位に大阪が名を連ねた。
中国の排出量の多さは先進国が影響
今回の調査で、温室効果ガスの排出量が多い都市は先進国にも発展途上国にも存在するものの、アジアの大都市が最も大きな排出源となっていることが判明した。 また、1人当たりの排出量を見ると、欧米やオーストラリアの都市の排出量が発展途上国のほとんどの都市と比べ、著しく多い傾向にあることがわかった。一方、国連により発展途上国に分類されている中国は、1人当たりの排出量では先進国に匹敵している。これは、多くの先進国が、炭素排出量の多い生産チェーンを中国に委託していることが大きく影響しているようだ。 今回の調査を受け研究チームは、現在の取り組みは地球規模の気候変動目標を達成するに至っていないと警鐘を鳴らす。温室効果ガス排出量削減に向けた動きに、今後も注目していきたい。