循環無端~cycle endless~

土を耕し野菜を栽培する。栽培した野菜を発酵作用等で加工し、食す生活を夢見ています。

短歌 / 夫婦 ・老い生く

2017年01月26日 12時50分39秒 | ETUDE
一月二十六日

※糟糠(酒の粕,あらぬかのような粗末な食べ物=糟糠の妻(貧苦の時代から苦労を共にしてきた妻)


・厳冬を幾多超え来て春ならんともに歩みし糟糠の妻

・夫婦歴四十年超え息災でゴール間もなく梅開花せる

・叶うならわが身を先に見送って君はゆっくり遊んでおいで

・如月の厳しき冬に身を置きてヒヨドリ餌に葉牡丹を食む


・婿入りをみちのくの果てに求めたり生まれ故郷は捨てたも同然

・愕然とただ呆れてる後頭写真俺はこんなに禿げ爺か

・侘しさを何で埋めよう今日の夜さしずめ鍋の奉行になるか

・この頃は無用の長物増えてきた女もいらぬ財布もいらぬ

・朝三時目覚めて我はラジ深で もそもそもそと覚醒準備

・安くても旨いというでもあるまいが妻の物言い発泡酒

・またぞろと物価スライド年金はダウンダウンで亭主もダウン

・古風かな一汁一菜慣れんとす間もなく始まる年金暮らし

・夜更かしは飲み食い多し肥満なり我は早々布団で読書

・わが友は故郷の地から旨き酒今年も届くや断酒中断

・親しける床屋に足は遠のいて禿げたる頭ぽりぽり掻きぬ

・この次の賀状は辞退と予告せん形ばかりの厚誼は辛し

・年寄りの冷や水とかの獅子踊り密かに上達めざして居りぬ


詩歌 / ネネムとマミミへ

2017年01月26日 07時08分09秒 | ETUDE
姉ネネムと妹マミミは
宮沢賢治の童話(※1)から
いただいた名前です
二人ともこの世に
生を受けた時から
脳に重いダメージを受けて
生まれてきました

その二人も
この2月8日で
マミミは39歳
ネネムは6月7日で
41歳になります

私と妻は
この二人が
幼い時から
一つの目標を持って
育ててきました
それは
会話ができなくても
楽しみを手にすることができること
笑顔がいつも
美しい子です

ネネムは絵本を
開くのが好き
キーボードを鳴らすのが好き

歩けないけれども
一生懸命
うつぶせの両腕日本で
前に前進します
およそ10メートルの距離を
移動して
ようやくキーボードに
手が届きます
でもそれが彼女の健康術です
心肺機能が活発になり
風邪など
引くこともありません

マミミは
電子ピアノが
大好きです
そして
彼女の得意は
愛想笑いです
名前を呼ばれると
ニコッと笑ってくれます

ネネム
お父さんの
頭ははげてしまって
白髪になってしまった
お前を
おんぶして
車に乗り降りさせるのも
最近は腰が痛くなった
お前がおんぶされたとき
お前の顔は見えないけれど
お前はとても
いい顔をしているらしい

マミミ
お母さんも白髪になって
体力が落ちてきた
お前が
入退院するたびに
病院に付き添いをして
見守ってくれた
これからいつまで
そういうことが
できるのだろうか

いずれにしても
おまえたちの
お父さんとお母さんは
お前たちが
一人の人間として
温かな人々に囲まれて
温かなごはんをいただけて
夜寝る前に
お風呂に入れてもらえる
そういう第二のお家を
完成させた

お父さんとお母さんは
同じ思いをしている
お父さんやお母さん
そしてその姿を
支えてくれる方々の協力で
重たいハンディを持つ
お前たちの日中を
充実させる通所施設や
家庭での手助けをしてくれる
ヘルパーさんを
派遣できるようにした
行きたい場所があれば
ヘルパーさんが
連れて行ってもくれる

そういう変わらない
日常生活を準備して
安心がつながったことを
とてもとても
ホッとしている
お父さんやお母さんが
居なくなっても
きっとそれは
君たちを
守ってくれると思う
いつまでも
お前たちは
楽しみを忘れずに
健康で暮らしてくれること
それが
お父さんとお母さんの願いだ
祈りだ

※1 「ペンネンネンネンネネムの伝記」ネネムは兄