サークルのグループで湖に近いバンガローで合宿した。
木々の緑が眩しい5月だったと思う。
研修会は名目、キャンプで自炊して皆でワイワイお喋りすると言う中身だった。
遊んでばかりで、と言っても、トランプとか、花札とか、飯ごうで御飯を炊く講習とか楽しんでた。
最終日、ボートで湖を一周する事になった。
私としてはお目当の相手も来ないし、漕ぎ手は誰でも良かった。
と、一級下のガタイの大きい男の子が名乗りを上げてくれた。
他の女の子はチャッカリ好きな人をパートナーとしてる。
まあ、いいかと私はその子と(子供としか思ってない)一緒にボートに乗った。
小高い山に囲まれた湖は静かで、新緑は小気味良い程若い香りを漂わせていた。
彼は何も言わずに一心にボートを漕ぐ。
私はここに居ないあの人の事をうっとり夢想してた。
突如ボートが揺れた。
「イヒヒ!」
信じられない男の声。
それは私の後輩が出してる声だった。
「ボート流されてるんだ。気が付かないの?」
「嘘!」
相手は笑う。
後輩は「このまま流されて何処へ行くんだろうなあ。いいなぁ。面白いなあ」
能天気な事言ってる。
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