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読書の森

『鬼滅の刃』を読み直して(゚∀゚)

上空を、北朝鮮のミサイルが飛び交う、危険な世の中になってしまいました。
飛躍し過ぎか、「あれもこれも、みんなコロナ禍が悪いのよ」と思えてしまいます。
世界中を襲ったコロナ禍による経済成長の低下が不安感を呼び、独裁者の焦りも招き、戦闘意識を助長して一触即発の世の中になった、と思えるのです。

心を楽にしたく、『鬼滅の刃』を読み直しました。そしてビビッビときました‼️
素人っぽいとしか思えなかったコミックの価値が何か、やっと分かったからです。


『鬼滅の刃』の主人公は大黒柱の父を失った炭焼きの少年、炭治郎です。
家族思いの働き者で正義感の強い、ただし平凡な子です。
片田舎の山中の炭焼き小屋の側で、貧しくても仲良く暮らしていた一家に、恐ろしい災厄が降りかかります。それが凶暴な人喰い鬼の襲撃でありました。
偶然その晩、知人宅に泊まった炭治郎は生き残ります。

そして帰宅後、この世の地獄を見てしまうのです。家族のほぼ全員が血を流して、むごたらしく殺されていたのです。
ただ、たった一人、すぐ下の禰豆子(ねずこ)だけ息をしています。

炭治郎は、この妹を守り通そうと、ショックにめげず必死の決意を固めて、普通でない妹を背負い山を降りるのでした。

以上要約ですが、
一体この「鬼」とは何でありましょうか?

私は、単に恐ろしい悪漢と受け止めるよりも、人間に巣食う普遍的な悪の象徴に思えてしまうのです。



実は半死半生の妹は鬼と化していました。
何故なら傷口に鬼の血を浴びた人間は鬼と化してしまうからです。そして人間の血に飢えているのです。
絶対的な飢餓の世界では鬼は親でも兄弟でも殺して食べてしまうのです。

つまり、ゾンビみたいなものですね。炭治郎は助けた妹に襲われても、妹を捨てません。それどころか、命がけで化け物となった妹を守ります。

そして鬼退治の剣を手に入れるため、眠り続ける妹を知人に預けて、長い旅に出るのでした。

ここまでが第一巻の粗筋です。
今のコロナ禍退治を彷彿とさせます。



物語の誕生は2016年、終結が2020年。覆面の作者は吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)です。

発刊後、しばらくしてコロナ禍の日本で爆発的な人気を得ます。若者だけがファンでもないようです。
人の心に忍び寄る得体の知れない不安感が「おぞましい鬼」として具現化されたと思えます。

ただ、そんな理屈以上に人の心を打つのは「家族愛」でしょう。
「家族を虐げる悪に対する純粋な怒り」を持って、絶対挫けずに悪をやっつける、それが一番の魅力です。
そして、この本の中に驚くべき言葉が載っています。

それは
「奪うか奪われるかの時に、主導権を握れない弱者は、、、おまえに何の権利も選択肢もない」炭治郎を哀れむ刺客の言葉です。それでもめげないお兄ちゃん!

この非常な世の中の、困難さに口をつぐみ耐えるのみの庶民にとって、この子の活躍はどんなに痛快なものでしょう!

作者の素性やその後は、この物語にとって何の意味もないと思います。
今の世の中が求めている人の心を集約した作品だと、私は思います。


読んでいただきありがとうございました。

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