お陰様で、私は本日やっと退院出来ました。
雑事に追われ、ネットに割く時間は少ないですが、制約を受けず自由に楽しめます。
病院で読書(漫画を含めて)も何冊かしました。
印象に残った本の一つが道尾秀介の作品、『鏡の花』でした。
実は、最初、私にとってあまりに現実離れして付いていけないと投げ出したこの本でした。
病院という極限的状況の中で、スルスル謎が解ける様に懐かしい親しい作品になりました。
道尾作品の登場人物は、皆何処か、淡く美しい植物の様な印象があった。
連作短編小説『鏡の花』で描かれる人物も然り。
突き抜けていきそうな透明感がある。
共通してるのが、死者とのミステリアスな関わりの物語である。
美しいリボンをかけてプツンと切っていく無情さで、親しい人はこの世を去っていく。
なのに、何故か悲劇の様相を示さず、遺された者の激情がない。
もどかしい気がする。
最後まで、謎が掴めない感があったが、鏡の世界の向こうに死者がいるという作者の寓意でストンと胸に落ちた。
道尾秀介の小説の中では、たとえ別れても自然に交流出来るのだ。
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