それから数日後、
恵が今いるのはXX県外れの片田舎である。
ぼうぼうと雑草が茂る休耕田の畦道を男が一人彼女に向かって手を振った。
近づいてきたのは懐かしい徹に見えた。
近づいてきたのは懐かしい徹に見えた。
嘘みたいに昔のままだ。
彼の着ている清潔な白いシャツが風を受けてる。
彼の着ている清潔な白いシャツが風を受けてる。
恵は思わずニッコリした。
「変わってないわ。河上さん」
近眼の彼女は目を細めて、もう一度彼の姿を確かめようとした。
しかし、お辞儀をしながら彼女の側にきた白シャツの男は全然別人だった。スリムな身体つきの若い男である。
彼は「はるばるご足労です」と、恵に向かってぎごちない礼をする。
「えっ、どなた様ですか?」
「はい、河上徹の義弟でございます。上司の奥様がわざわざ訪問してくださると言う事で、お迎えに参りました」
「義弟?」
「はい、私の姉の夫ですから」
「、、、」
「義兄が赴任地に行く前に幼馴染の姉に連絡をとったのです」
「、、、」
恵は目がクラクラしてきた。
最近の不眠と食欲不振の日々が祟ったのか、足元から力が抜けて気を失いそうだった。