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戦後昭和についてよく語られるが、戦前の昭和の世相や社会について知らない部分が多い。
今日、戦前派、戦中派は段々少なくなった。
少数派である私の母は1925年名古屋中村区生まれで、昭和を丸ごと体験した。
母の話を聞くと女学校に上がった頃は英語教育を受け、極めて長閑な生活をしていたようだ。
その長閑さは中流以上の家庭のみが味わったのでない。
平和で自由な昭和の生活があったのだと言う。
著者井上寿一は1956年生まれ、戦中はおろか戦後のドサクサも体験していない。
彼は多くの文献を調べ、埋れた戦前を発掘しながら驚きの連続だった。
灰色だと思った戦前は、庶民の豊かな感情が生きていた社会だった。