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読書の森

君死にたまふことなかれ その2



「妻を娶らば 才たけて 見目麗しく
情けあり
友を選ばば 書を読みて 六分の侠気
四分の熱」

これは鉄幹の詠んだ「人を恋うる歌」
である。
威風堂々とした体格、熱く国を想う言動、華やかな歌の才能、などでその当時もてはやされた男だった。

彼は二度目の妻を孕ませながら、弟子の晶子と山川とみ子という二人の女性を同時に愛してしまった。

女性たちの間では優柔不断に振る舞う彼に、果敢に飛び込んだのが与謝野晶子である。
倫理や友情は彼女の強引な燃える恋に押し切られた。

与謝野晶子という人、情熱のみならず実行力に満ちてたのでありましょうね。

しかし、単に恋の勝利者と言うだけならザラにある話だが、与謝野晶子の真価はその後の情熱や信念や実行力が死ぬまで持続した事にある。



晶子は生涯を通じて一貫して鉄幹を愛し、それによって生じた情感を歌に表した。

鉄幹としては、偉大な妻がかなり重たかったろう。
妻の才能が花開き、世間がもてはやすほどに、鉄幹は萎んでいく。才能を持つ人で気の毒だと思うのは、世間的に見て妻の方がどうしても目立ってしまうから萎縮した事である。

鉄幹はあちこち遊び回って、嫉妬する妻と派手な立ち回りをした上に家出を繰り返したそうである。
愛するが故に浮気に怒った晶子であるが、彼に去られたら自分の心の支えが一気に崩れてしまう。メロメロの詫び状を出して夫に帰ってもらうのである。かなり喜劇的な印象がある。

このような修羅場を繰り返しながら晶子は十一人の子を生み、5万首の歌を詠んだ。



ため息の出るようなダイナミックな体力と精神力である。
だからこそ、戦勝に湧き立つ中で、高らかに反戦歌を世に出す事ができたと思う。
もっとも彼女は一貫して反戦の歌を出してはいない。愛国の想いを込めた歌もあげているのである。

ただ一貫してるのが、男女平等と教育の自由で、これが彼女の生き方そのものだと思える。
11人の子は優秀な子が多くて外交官や医師になっている。次男の外交官の息子、彼女の孫が政治家の故与謝野馨氏である。
この方はリアルタイムで知っているが不屈の人というイメージだった。

ここまで記すと、彼女の歌の持つ熱いロマンと離れたつまらない話に思われる向きもあるだろう。

そこでとっとときの歌(?)
「春短かし 何に不滅の命ぞと
力ある乳を 手に探らせぬ」 
これは彼女の初期の歌ですが、こんな迫力を今どき女性が見せたら逃げちゃう草食男子が多いでしょうね^_^
それにしても少子化解決の為、与謝野晶子みたいな女性いっぱい現れぬものかと、関係ない婆さんは思うのであります。

又ガッカリでしょうか。


読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

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