読書の森

遊び歌のミステリー 最終章



「かごめかごめ」は「子とろ子とろ」とも言われる遊び歌だ。
今残る歌詞は千葉県野田市に伝わったものである。

「かごめ かごめ 籠の中の鳥は
いついつ出やる 夜明けの晩に
鶴と亀と滑った
後ろの正面だあれ」

この遊びは、じゃんけんで決まった鬼が目隠しをする。
その子を囲んで輪になって他の子が歌いながらぐるぐる回る。
後ろの正面だあれで歌い切った時、鬼に真後ろの子供の名前を当てさせるのだ。
そして名前が当たれば、当たった子が鬼になる。
当たらなければそのまま鬼を続ける。
しごく単調な遊びだが、見えない相手を五感で当てるのに妙味があると思える。
動物的勘は昔の子の方があったようだ。

この歌は遊び方から「囲め 囲め」とも呼ばれたが、一見して感じるのが歌詞の意味不明さである。

なんで、籠の鳥が出るのか分からないまま、夜明けの晩にと続く。
夜明けは晩が過ぎ明けてくるものだ。
さて、夜明けの晩なんて時はいつ来るのだろう?
鶴と亀が滑るとは想像しただけで奇妙な光景だ。
それに後ろは後ろで、正面は真ん前ではないか。
などなど、この歌詞を英訳したら、それこそチンプンカンプンである。

ということでこの歌が深い寓意を秘めて、しかも意味が幾通りも考えられているが分かる。



この歌は当時の世情を反映した幾多の解釈がされている。
その内の三つを紹介する。
どれも衝撃的でまさかの意味だが、こんな現実があった事は確かだ。

1、かごめは籠女、即ち妊婦を意味する。
彼女は家に閉じ込められ監視されている。
それは彼女を憎む姑故である。
暗い夜明け、彼女は姑に呼び出され庭の井戸端に行く。
そこで後ろから突き飛ばされて滑り転げ流産するのである。
「鶴と亀が滑った」は吉、凶両方の意味にとるがここでは凶となる。



2、かごめは籠の鳥の遊女を表す。
1日中男性の相手させられ(鶴と亀が滑ったは卑猥な意味も含むらしい)、いつ遊女宿から抜けられるのだろう。
次の相手は全く(目隠しされた鬼の様に)見えないのだ。

ギョッとする解釈をもう一つ。

3、かごめは江戸時代の処刑場を囲む竹垣を表す。
暗い牢屋に閉じ込められた罪人はいつ出られるのかと必死の思いである。
しかし、暗い夜明けに処刑場に目隠しされて引き出され、後ろから斬首される。



陰惨な解釈ばかり紹介したが、歌自体は長閑である。
単調な節回しは眠気を誘う様に平和な感じだ。
子どもたちは何も知らず楽しそうにこの遊びをしている。
懐かしい昭和の光景が意味を調べると暗転する。

昔から伝わる子ども向けの歌やお話の中に理不尽な目に遭わされた庶民の悲劇が隠されている。

おそらく本当の事をありのままに伝えるのが許されなかったのだろう。
道徳にも倫理にも人間の情にも反した事は、生きていくため必要悪として存在した。
そこで、子どもの遊び歌であれば見逃されると何気なさげに作ったものかも知れない。
歌の解釈は自由だからだ。

昔の出来事をただ懐旧するだけでなく、事実をそのまま受け止めるのはかなり辛いものがある。

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