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読書の森

袴田事件無罪判決に冤罪の怖さを考える

昨日、長い長い期間冤罪を訴えた袴田事件に地裁の無罪判決が下りました。検事側が控訴しない限り、袴田さんは無罪放免の身となります。
彼を支え続けた90歳を超えた姉の悲願も弁護団の努力もやっと実る事になります。
それなりの補償がされ、安定した余生を送られる事になるでしょう。
しかし失われた彼と姉の長い長い屈辱の年月は還る事は無いと思います。

事件発生1966年6月で同年8月に袴田氏起訴される〜2024年9月昨日地裁の無罪判決出るまで58年の長きに渡って凶悪な殺人犯とされた無念はどんなものでしょうか?

残念ながら、歴史上冤罪事件は数多いです。

海外の最近の例では、観光に行った国で写真好きの日本人が撮影禁止の場所をパチリした途端に逮捕されてスパイ容疑で今も拘置されてるケースがあります。

果たして犯人と言っていいか分からない人間が長く拘束される事実はあり得ます。
上は帝銀事件の写真を載せてますが、犯人と見なされた平沢が病死した為、冤罪事件(?)の謎を秘めたまま埋もれてます。

何故か?
事件、特に凶悪な殺人事件が起きた場合、真犯人逮捕のプレッシャーはかなり多い筈です。地域の不安を除く為にも、悪者は排除する使命を警察官は持ってます。
その使命に縛られてとんでもない誤認逮捕が生まれる事はあると私には思えます。


袴田事件を振り返ってみましょう。

1966年6月30日未明。
当時静岡県では有数の味噌製造会社の専務(社長の息子)一家4人が、惨殺され金を奪われ家は放火された事件が起きた。
状況から見て強盗殺人に違いない。

東海道線に近い民家で工場は線路を挟んで30cm先にあり、隠居部屋(親の社長夫婦と手伝いにいた被害者の長女)が併設されていた。
この人たちは無事です。

捜査陣は即活動を展開して、同年8月最も怪しいとみた袴田被告の尋問が始まった。この主たる理由が柔道有段者の夫(被害者)と格闘出来る人は元ボクサーの袴田氏の他ないと言う事。
そこで会社の品物を盗んだ窃盗容疑(自供後不問)で彼を捕まえて、次に一家殺人について尋問する。

非常に過酷な尋問(炎天下の中、食事はおろか、水も飲ませずトイレも行かせず、そこで彼が堪らず垂れ流しになる迄放っておく、を1か月近く行ったとか。
さらに拘置所の彼の隣室に夜喚く酔っ払いを入れて、睡眠を殆どとらせなかったそうです。

控訴され裁判となり1980年死刑確定、この間袴田氏側(弁護人)は冤罪を訴えている。その間14年長過ぎると思う。
やってない訳ですから、袴田氏は不当な扱いへの戸惑いと悔しさと死の恐怖で神経が相当やられたと思います。
ついに精神を患い、弁護側は心身喪失により刑の執行猶予と刑務所からの解放を申し出る。
ところがこの当時の法務大臣は死刑執行には問題無い精神状態と報告を受けたと言う。

おかしいですね。
袴田氏の自白調書は45通あり、強制尋問として44通は後に無効となってます。つまり有効な調書は一通しかない。
その調書で殺人犯と決められるのでしょうか?
民間団体の働きもあって彼は姉の保護の下家で暮らせるようになりました。
しかし失われた正気はかえってこない。

こんなひどい話はない、と私は思います。


それで私なりに事件の検証をしました。

1、なぜ工場内の人間だけ疑ったのか? 現場の家は東海道線に近い。夜中の事件だとしても逃亡しやすいのに外部の人は疑わないのか?
2、被害者の家の玄関は施錠されていたのか?外から開けられた可能性も高いと思う。警察は裏口から袴田氏が逃げたと自白させてるがどう言う事か、先ず犯行時に袴田氏が現場に居たかいないかを確認するべき。
3、無効とされた調書を掘り返して見直してほしい、無理矢理彼が犯人と仕立てられる道筋が知りたい。
4、この事件の決定的証拠となったのが翌年(!)味噌樽から見つかった血染めの衣類である。
その血液型が袴田氏と同じB型であるから、後にDNA鑑定で袴田氏と異なると出たと検事側が主張してる。
これは捏造されたものか?当時に味噌製造会社の同僚が見つけたとされてる。それは誰か?
袴田氏の最初の自白調書によるとパジャマのままで殺したそうだ。そのパジャマには殆ど血がついてないのは何故か?

血が大量に付着しているとすれば、当然被害者の返り血ではないか?被害者それぞれの血液型は何か?B型だけならかなり変な話だ。

5、袴田氏と工場従業員の間にトラブルがなかったか?これは(おそらく)所内のリークから始まった容疑ではないか?

もはや関係者は老いて、取り調べ官は皆80歳90歳をすぎて老耄状態にあると言います。
袴田氏自体が88歳なのです。

さらに当時唯一一家で生存している長女は袴田氏が冤罪だと世間のネットの噂が立ってから夫を亡くして、ひどい鬱症状をきたし2014年68歳で孤独なまま病死したそうです。

その長女が漏らした言葉が
「袴田氏が真犯人でないなら真犯人は他にいる」という事。
ところがその後「もう事件を忘れたい」と撤回したそうです。
その頃、ネット上で「彼女自身が両親や弟妹を殺した真犯人」という噂が流されたと言う話です。彼女の長男が証言してます。
噂を知って、彼女は携帯もTVも新聞も一切見なくなったのです。
世界の噂に怯えて一人で味噌工場後の家に住んでたのですから、鬱陶しくなるでしょうね。
ちょっと考えれば、当時19歳の娘が4人の人間、しかも力の強い父親を刺し殺すのは不可能で、出鱈目と直ぐ分かる噂です。これを信じて言いふらした人がいたと言うのです。
出鱈目過ぎて、怖いものです。
誤認とはっきり分かる疑いによって、被疑者も被害者も心を壊されたのです。

多分製造した味噌の味が美味しかったのでしょう。事件直前まで近隣の人が買い人気のあったこの味噌製造会社の痕跡は、今全く無くなっているそうです。

事件の代償はあまりにも大きいです。
「真実」は一体どこにあるのでしょうか?




読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

コメント一覧

airport_2014
@sasurai-no-depta 私も同感です。被疑者の人権が守られていない事は歴然としてますし、被害者家族についても何の配慮もしてない。
世論はミーチャンハーチャン。
この体質を改めていただきたいです。
sasurai-no-depta
おはようございます。どうも納得がいかない事件ですね。
怠慢な警察捜査、不十分だった検事、不明な点が多い。
では、真犯人は誰だったのか?その捜査は封印したのか?
謎が多すぎる冤罪事件ですね。
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