嫋やかな乙女の想いを美しく描く、戦前戦後の少女小説家として名声を博した作家です。
ただ、ご本人は嫋やかな方と言うイメージに遠くて、大衆小説家と言う事もあり、私は学生時代にも殆ど読む事がなかったのです。
平成の終わりの古本市で買った『自伝的女流文壇史』は今迄抱いてた吉屋信子のイメージを一掃するものでした。
ただ、ご本人は嫋やかな方と言うイメージに遠くて、大衆小説家と言う事もあり、私は学生時代にも殆ど読む事がなかったのです。
ところが、勤めていた時、信州に旅して、土地の古本屋を覗くと彼女の本が片隅に置いてありました。何故か惹かれて読みだすと、古き昭和の香りを吸った気になりました。
内容もよく出来てて面白いのですよ。
平成の終わりの古本市で買った『自伝的女流文壇史』は今迄抱いてた吉屋信子のイメージを一掃するものでした。
この本に登場する、田村俊子、岡本かの子、林芙美子、真杉静枝、などなど当時の一流の作家です。対象の全ての方が当時としては飛んでる女性であり非常に魅力ある作家なのです。男性にモテるタイプの方ばかりです。
不思議な事に、個性派揃いの女流作家が揃いも揃って吉屋信子に対抗意識を持っていない、それがよく伝わってくるのです。
さらに言うなら、それぞれの作家の個性の違いを優しく包むような書き方でありますが、正確に表現しています。
非常に興味深い面白い内容です。
競争相手となる才女に、これも才能ある女流作家の方全てが心を許して(一段低く見て)己を曝け出してます。
どうしてでしょうか?
多分彼女の外見や態度から来るものなのでしょうね。朴訥で真面目な態度、美人から程遠い健康的な外見、それらが安心感を与えるのでしょう。
彼女の文章力や創作力、つまり文才は素晴らしいと思います。私が言うのはとてもおこまがしい話ですが。
晩年の彼女は経済的にも精神的にも恵まれていたようです。長年共に暮らすパートナーの存在も大きかった事でしょう。
そのパートナーは教養のある同性であります。お互いよく理解し合えた間柄だったらしい。
一流の芸術家には同性を愛する方が結構いらっしゃるようですね。
美しい少女画で有名な中原淳一(妻子ある方ですが)も相思相愛の高名なシャンソン歌手(男性)に最後を看取られた方です。
という事で、現代に限らず同性と恋愛をする人は結構いたみたいです。
私自身は異性にしか恋情を感じないですが、これらの方に違和感を持ちません。人はそれぞれ個性が違うから人間なのだと思ってますから。
ずっと昔から、一般の規範からズレた人は少なからずいたでしょう。
そこは大雑把に見た方が見る方も楽ではないでしょうかね。
人は規範の製品でないです。枠にはめられるモノではないと思います。