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木造りの昭和レトロな喫茶店の片隅で、智恵子と智は向かい合って座った。
智は暫く出されたチーズケーキに夢中になっていた。
コンビニのチーズケーキとはひと味違う、蕩ける様な甘さであった。
無心に食べる智を母の様に見守りながら、智恵子は呟く様に言った。
「小田君って本当にまっすぐな人ね」
「エッ何故ですか?僕って結構保身の事ばかり考えてるし、ズルい男ですよ」
「そんなのと関係ないの。心の中で汚ない声や匂いを全然出してよ!」
智恵子が何を言っているのか、分からず智は焦ってケーキを一気に呑み込んでしまった。
「おかしな事言ったでしょ?
実は私、人の裏側や未来が見えちゃう人なの。直接その人の心の中が匂いや声で感じちゃうの。凄く辛いの」
智恵子の目がキラキラした。
「はああ」
この人、例の智恵子と一緒でおかしな人だったのか、とソロソロと後ずさりした。
「逃げないで!お願い。最後まで聞いて」