日本をセールス!通訳案内士

日本観光、エンタメ、旅行、英語etc 日々の雑感

米原万里

2011-11-06 00:26:09 | 日記


今 「心臓に毛が生えている理由」を再読している。

歯に衣着せぬもの言いと鋭い洞察が興味深く睡眠不足気味になること必至である。

通訳や翻訳者の書いたエッセイは論旨がわかりやすいということとことばの使い方、さらには

元々の語彙力に圧倒されるので半ば尊敬している自分もいるような気もする。

話の一つに忘れられないほどおいしかったハルヴァといわれるお菓子のくだりがある。

その後同じ味を求めて調べるのだが、トルコ密飴は似ていて非なるもので子供の頃 友人から

さじにすくってもらった一口の味が忘れられないという内容だった。

読んだこちらが無性に食べてみたくてしょうがなくなった。そのくらいの描写力なのだ。


彼女は語学の勉強は最低でも母語とは別に2ヶ国語以上学習するべきで

理由は複数の言語を知っているとものごとを俯瞰的に見ることができるからと書いていた。

確かにことばイコールその国の文化なのだから 異文化理解には非常に役立ち、個々人のものの考え方にも

幅というか、受容できる範囲が広がる気がする。

そして実際国際的に見ると通訳や翻訳者は2、3国語以上話せることが条件のところも多く、

日本語はその言語体系が違いすぎるため例外的に第二言語だけでも許されていると考えられている。

「通訳ができるくらいの最低2言語。」

気が遠くなる。通訳ガイド試験だって 自分には大変なハードルだった。花粉症に、骨粗鬆症、菊だのの書けなそうなスペルを

必死で覚え、ディケンズや縮みの文化を原書で読み、天声人語を英訳して、高校の日本史を通読し、

「いくやまいまいおおくまやい」と歴代総理大臣の頭文字を覚え、国立公園と国定公園の正式名称の

漢字を何度も書いて覚えた勉強、さらにぶつぶつ見えるものを英語で表現する練習をしたりと課題満載だった。

資格の難易度は失墜しただとか、意味がないという声も聞かなくはないが難しいと思う。

通訳と比較する人がいるので困るが通訳ガイドは通訳と違って黒子になってなんかいられない。日本をセールスするのだから。

(時には通訳をすることもあったりするが)だから通訳のほうが難しいとかはいえない。ベクトルが違っているものを

比較するようなことはできないのと同じ。

少なくとも自分の周りの通訳ガイドの方々のことばの使い方は不断の向上心が生んだものだと思う。

そして忘れてはならないのは、合格者たちは語学、日本の地理、歴史、一般常識はもちろん

ホスピタリティのある存在であること。

話してみてもやっぱり楽しい。初対面でもすぐ打ち解けられる雰囲気がある。

なんとなく米原さんにもごくたまに出ていたテレビ番組からそんなにおいを感じていたのだが

鎌倉で開催していた米原万里展を観にいったとき、かつて添乗員や通訳ガイドをやっていた時代があったことがわかった。

なるほどホスピタリティつながりだ。

好きな作家が自分とつながりあるというのはうれしいものだ。少しではあっても近づけたような気になれる。

米原さんには仲良しの通訳者が何人かいて集まると機転のきいた抱腹絶倒で笑いの絶えない楽しい場になったそうだ。

イタリア語通訳の田丸さんは書籍を出していて

即読破。通訳に関する話からシモネタ、旅行記まであっという間に読んでしまった。

さらに英語だか仏語だかの重鎮名人級通訳がいるとあった。この方、どんな人なのだろう?


京都にて・・・

2011-06-15 04:40:52 | 日記


ここ3年くらい月に一回位の割合で旅行に出かける。
東京から近場の伊豆や草津、千葉あたりでは非日常の体験にならないらしく、
その行き先の多くは関西で、京都、京都、大阪、京都、奈良、京都・・・のように
圧倒的に京都である。

何度行っても、やっぱりいい。必ず何らかの発見がある。2,3ヶ月ごとに行くことになるので
季節も変わり、その目的も変わる。
当初、通訳ガイドの自己研鑽と称して神社仏閣、外国人利用の店、体験施設(茶道、絵付け、象嵌など)、
から始まったものが、今では「食」一色である。食べたいもの、買いたいものに終わりはないようだ。

もともとは鯖寿司3切れとお吸い物で3000円に目が飛び出るほど驚いたが
食べてみたら納得した経験からで、ガイドブックや京ナビ(案内センター)、泊ったホテルで
知り合った人からの口コミだとかであちらこちら食べまくるようになった。

だから地図を片手に旅するわけだが
気になっている雲母漬けと出町柳ふたばの大福を買いたくても、どちらも迷子になって買えずじまい。

そもそも碁盤の目のようになっているから京都市内はわかりやすいというけど本当だろうか?
地名、バス停や駅名はどうだろう?
河原町○条、烏丸○○などなどなんとも紛らわしいのだ。
バスのアナウンスはよーく聞かないと間違える。
京都の人からみれば武蔵境、武蔵小金井、武蔵小杉、武蔵新城、武蔵五日市などを区別できないようなものか?


かつて京都駅で新幹線を降り、コインロッカーにキャリーケースを入れ、
バスに乗る。そこで大徳寺と大覚寺を間違えたこともある。徳と覚 似ているような気がしませんか?

添乗などをする前にこの異常なほどの地理感覚のなさをなんとかしなければと思う次第、
下見は自分にとっては絶対条件ともいえる。大阪駅も大きく変わり右往左往。それも下見と
考え実際に案内するときに間違えなければ筋肉痛になるほど歩いた価値はあるというものだ。


そして徒歩移動が多いので軽装第一。
少し前まではリュックサックで両手が使える格好が一番だと思い、ずっとバックパックスタイルだったが
メモやデジカメをすぐ出しにくい、歩けば歩くほど背中が熱くなり不快なのが難点だった。

最近では、肩にグリップつきのトートバックに変えてみた。意外に使いやすく重宝している。
ユニクロとダイムがコラボしたもので、ノートパソコンを持ち運べるようなビジネス仕様なのだが
マチが広く、ポケットがあるのでデジカメ、折りたたみ傘、ペン、リングノート(A4)、電子辞書、
クリアファイル(拝観券やリーフレットなどを入れる)、地図、タオル、ペットボトル、マイ箸、飴など
こんなに入れても十分に余り、軽い。

旅の支度は整った。こんどこそ雲母漬けゲットせねば。




アラフォー

2011-05-10 01:18:00 | 日記



月日の経つのはとてもはやいもので、

英語にはじめて触れてから25年も経っていた!!!

この間には受験、就職、転職があり

涙枯れるほど悪くもなく、平凡に生きてきた。

ロストジェネレーションとも言われるこの世代、

受験戦争は激しく、就職は氷河期、どうにか入った企業も

経営が厳しく 残業につぐ残業。

かといってがんばった分が報われるわけでもないので

非常に醒めているといわれている。

終戦後 食べるのにも事欠くことは当然ないし、バブルの頃は

こどもだったから恩恵はあずかっていない。

自分の経験を当てはめてみると・・・

就職 超氷河期 仮面留年するものもいた。

通訳ガイド試験合格 その年に9.11ニューヨークビル爆発テロ事件勃発。

なんか時代とのタイミングが悪い気がした。

そしてなんとなくの予感だが

通訳案内士試験はこれまでのネームバリューは下がり

総合特区制度が導入されれば淘汰されることだろう。

民間外交官という崇高な役回りだったはずだったのに

いまでは英語等外国語でコミュニケーションができればいいくらいに

成り下がっている。

こんな話を知り合いにしたら、

「ボランティアでも英語が使えればそれも勉強になるし、出会いにもなるからいいんじゃない。」

と返答された。

「わかってないよなあ。」と思う。

第一、自分だけの問題ではないのだ。「業」としている通訳案内士にとっては

ダンピングのみならず、へたすれば職を失いかねない。

こういう状況を見てみぬ振りをするなんて、自分も端くれだからゆるせないというか

むかつく。

また相対的にみても「業」についている人が少ないからという理由で

保障されないことがあるとすれば それもまたむかつく。

観光を本気で考えているのなら取るのが難しい(とされる)通訳案内士試験をなくすのではなく

海外でももっとたくさんの地域で試験を行うとか、合格セミナーを設けるとか

何らかの策を打つべきで、安易に外国語で話せればOKは国益にならないはず。

3年もかけてやっと取ったので 総合特区制度に賛成の方々も

受かって、資格を取れたら同じような気持ちになるのではないか?

と思ったりしている。





リニアと高速化

2011-04-25 13:12:47 | 日記
東京 大阪間 約一時間で結ぶリニア構想は日本経済を変え、
大都市間ではより格差もなくなり活性化することは相違ない。

その一方、いわゆる地方都市は通過の対象や大都市圏への流動が懸念され空洞化する可能性もある。
世の中はより合理化、より経済的へと流れていて国内旅行者にとってはいささか寒々とした旅情もない単なる移動手段となってしまった。

周りをみてもカーテンなしの車両、ロングシートの車両ばかり。昔の車両には栓抜きがつき、窓も開いたから五感で風やにおいを感じられたものだ。

鉄道利用はビジネスばかりではない。旅行では列車に乗ることも楽しみのひとつ。
寝台や夜行列車 長距離鈍行など需要あると思う。安ければの話だが。

無駄にスペースをとる食堂車をなくしていること、あらゆるものが画一化していることからもわかるように
合理化と利益追求ばかりしている企業が圧倒的である昨今、
アメリカ的経営をお手本としているのかもしれない。

高速化、経済発展がリニアのプラス面とすれば、マイナスの面は何だろう。
環境破壊は建設するからもちろんのこと、リニアが発する電磁波も
長期的には問題があるかもしれない。

このあいだ、こだま号で東京から名古屋へ行った。
のぞみ号なら1時間40分程度だが、こだま号は約3時間。
途中駅のほとんどで後発の列車に抜かれる。2本の列車に抜かれることもある。

でも、この3時間はみそ。何かと有効利用可能である。
文庫本なら一冊読み切れ、PC仕事をするにもちょうどいい。
弁当もゆっくり味わえ、満席ということはまずない。
それに何といっても「旅してる感」がある。

高速で走る新幹線が東京駅から数分単位で出発する。
通過待ちでは5分のあいだに200キロ以上の新幹線が2本やってくる。
閉そくというシステムを採用しているようだが
怖く感じる。「本当に大丈夫なんだろうか?」と。

東京に戻ったとき、車窓から東京タワーが見えた。
でも、ライトアップはしていなかった。
中央線が新宿を少し出ると歌舞伎町のネオンが見えるところを通る。
でも、真っ暗だった。車もあんまり走っていなかった。
経済はまわって(流通して)なんぼの世界なので
暗澹たる気持ちになった。

明かりがないと気分までふさぎがちになるもの。
また旅行行って、楽しんで、支援。
やってみようと思う。