bon voyage!

ボディボーダー・ママののんびりオーストラリアライフ

ultimate destination

2004-08-25 | Weblog
「きっと私たちは、多くの選択などないのかも知れない。
 ただそれぞれが行き着くところに行き着くだけだ。」

星野道夫の「長い旅の途上」 からの一節。
彼にそう言われると、すごく心に響く。
彼の生き方は本当に自然で、最後まで
徹底して自分らしかったからだ。

アラスカに魅せられ、留学をきっかけに移住。
以降、その雄大な自然を題材に多くの素晴らしい作品を
残した写真家、星野道夫。 不幸にも93年に、ロシアの
カムチャツカで番組の撮影中に熊に襲われ死亡した。

彼の死は本当に残念でならない。
しかし逆に彼の死は、死というものに対する恐怖を
和らげてくれる気がする。熊を愛し、その生態を
知り尽くしていた星野道夫にとって、その熊に襲われて
死ぬことはある意味本望だったのではないか。
人間は自然の一部であることを、彼は身でもって
証明してくれた気がするのだ。

死とは人間にとって最大の恐怖だ。
しかし、死という終わりを意識することで、
心に平和をもたらすこともできると思う。
何事も期限があると気持ちに張り合いが出るもので、
私もワーホリでの一年間、常にこの一年という
期限を意識して生活していた。終わりがある、と
分かっていたからこそ色々なチャンスを最大限に活かし、
一日一日に深みが増した気がするのだ。

行き着くべきところに行き着く。
それぞれの人が持つタイムリミットまでの
残された時間を、いかに自分らしく生きるか。
それが星野道夫のメッセージだったのだろうか。


photo: byron bay, australia