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白山(2,702m) (つづき)
「室堂では、日の出の1時間前、白山比神社祈祷殿の太鼓が鳴らされる。これを合図に、防寒具と懐中電灯を持って御前峰へ向かう。雲海の遥か彼方、北アルプス連峰からの日の出を万歳三唱で迎えると、神官が奥宮で日供祭を執り行なう。~」(栂典雅、津野祐次、島田靖著 ヤマケイアルペンガイド11「中央アルプス・御嶽山・白山」(山と渓谷社))
書かれた通りの朝を迎えることができました。朝3時半すぎ、確かに太鼓の音が室堂の宿舎に聞こえてきました。小さいもののくっきり聞こえる音でした。
外に出ると、二十六夜の月がきれいです。御前峰の頂上に向かってヘッドランプの列ができています。
山頂へは45分程の登りでした。小さな神殿があり、思ったより広い山頂には、百人以上の登山客が詰めかけて御来光を待ち構えています。白山では、御来光のことをお日の出と呼びます。薄らとした雲海が広がっています。少しのすき間もありません。白山と相対するのは北アルプスの山々です。槍ヶ岳がくっきりと見えています。
天気さえよければ、どこからでも決して槍の穂先を見逃すことはありません。
御嶽山も見えます。噴火の様子はまったく伝わってきませんでした。大きな山です。北アルプス連峰はいくつもの山々の集まりですが、御嶽は一座であれほど大きいのです。
雲海の向こうから小さな陽光があがってきました。身体ごと射抜かれそうなくらい鋭い光でした。
神主さんが、「万歳の仕方を知っていますか?」万歳は手のひらを自分の方に向けて行うということです。逆だと「お手あげ」になってしまうからです。なるほど。
すごい高揚感の中万歳三唱が行われました。
万歳三唱の後は神事が執り行なわれ、希望者は参加することができます。御祓いを受け、御神酒をいただきました。神殿には御神酒の徳利が二提置かれていました。ここまで持って登るのも大変ではないでしょうか。
密度の濃い朝の一時間でした。ここには、昔からの尊い山岳信仰と登山の愉しさの、最も有機的な結びつきがあると思います。
(登頂:2015年7月中旬) (つづく)