竜ヶ岳(1,099m) ((2)のつづき)
さらに宇賀渓を遡ると登山道と沢が一体になってきます。流れが二手に分かれても水量の減ることはありません。
右から左へ、流れを横切るようにロープのわたされたところもあります。時にはストックの力を借りて先へ進みます。
長尾滝はこの日で一番大きな滝です。落差は30mといいます。真下ではなく、急な岩盤を伝って水が勢いよく流れています。滝壺は、底は深くないですが、これ以上考えられないほど透明な姿をしています。
滝の右側に大きな鉄製の梯子があります。
砂防ダムをこえると、幹の細い杉の木が現われます。自然林でなく人の手によって植えられたものだと思います。広くはないですが平地があり、建物は残っていませんが前の日に霊仙山で見たのと同じような整然とした石垣があり、焼き物のかけらが落ちているところもあります。
山の麓の便利な場所ではなく、渓谷をずっとさかのぼって大きな滝を乗り越えた先に、昔人の暮らしがあったことに驚きます。その雰囲気が消えていないことが有難く思えてきます。頂上を目指してきましたが、今まで知らなかった仙境のような場所に辿り着いて、今日はここまでで満足だという気持ちすらしてきます。
(登頂:2022年5月上旬) (つづく)