竜ヶ岳(1,099m) ((3)のつづき)
地図で「小峠」と表示された場所から車道に出ます。山道を登り切り、沢を登り詰めた雰囲気の場所で車道を見るのが、意外な感じがします。
大きなブロックが、寺院の門のように2つ鎮座しているのが目を引きます。左側には、車幅制限が2mと表示されています。
車の免許は持っていないのですが、それでもこの地点のことは『酷道をゆく』(松波成行ほか・イカロス出版)という本を読んで知っていました。この道はもと国道421号線でした。2011年に立派なトンネル(石榑トンネル:4,157m)が開通してからは、国道としては使われていません。
本で、「重厚なコンクリートブロック(通称「いじわるブロック」)」と紹介されているコンクリートのかたまりは、山中で異様な存在感があります。側面には、格闘の跡とでもいうか、車のこすれた模様が残されています。
石榑峠まで旧国道を歩いていきます。傾斜は急で、アスファルトでなくコンクリートの舗装が眩しいです。杉の落葉があちこちに飛び散っています。ガードレールは今でもしっかりしています。途中、電話ボックスより少し大きいサイズの小屋がありましたが、何のための小屋かは分かりませんでした。
登り切った石榑峠は三重と滋賀の県境で、「いじわるブロック」はここにもありました。トンネルが開通する前、国道421号線で県境を越えて行くには、2回もブロックをすり抜けなければならなかったわけです。
今でも、滋賀県側からであれば、ここまで車で走ってくることができます。峠は、ブロックの幅を体感しようとする車で賑わっていました。
(登頂:2022年5月上旬) (つづく)